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「リベラル」と「左翼=旧革新」は全く別の概念である5つの理由 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/319130
2023/02/22 日刊ゲンダイ
旧民主党結成時(左から岡崎トミ子、鳩山由紀夫、菅直人、鳩山邦夫)/(C)日刊ゲンダイ
先々週に文化放送の「大竹まことゴールデンラジオ!」に出演したところ、番組パートナーの室井佑月が、私がどこかで「リベラルと左翼=旧革新の違い」について語っているのを読んで「目から鱗」の思いをしたと言う。
それについては、かつて立憲民主党の皆さんに「リベラルと左翼=旧革新を一緒にしてくれるなよ」と題してレクチャーした時のメモがあるので、後に送って差し上げた。
これはなかなか複雑なテーマで、マスコミは総じてリベラルと左翼=旧革新とを混同して「同じようなもの」だとみている。しかし、私などが1996年の旧民主党の結成に関わった際には、左翼=旧革新がもうダメだからそれを脱ぎ捨てて新しいリベラル政党をつくることがテーマになったわけで、両者ははっきりと区別されなければならない。
どこが違うのかというと、第1に人間としての基本姿勢として、リベラルは「自分に厳しく他人に優しい」が、左翼は「自分に甘く他人に厳しい」。第2にコミュニケーションの方法として、リベラルは「意見の違いを発展の原動力として味方を増やす」ことを心掛けるが、左翼は「意見の違う者を排除して身内で固める」。
第3に政治的な目標設定の仕方として、リベラルは「選挙に勝って政権を奪らなければ話にならない」と考えるのに対し、左翼は「勝つのは結果論で常に正しいことを言い続けることが大事」という“善戦満足主義”に陥りがち。
第4に政策的な発想として、リベラルは「あるべき社会への接近」を目指して匍匐前進を図るが、左翼は「過去の自分らの主張の正しさ」=無謬性神話にこだわるので実際には政治を前に進めることができない。
第5に組織論として、リベラルはソフトでフラットなネットワーキング型の水平協同主義を採るが、左翼はハードで縦の上意下逹的垂直統合主義を死守しようとする。
そういうわけで、リベラル観念は21世紀の先取りであるのに対し、左翼観念は20世紀的な遺物であって、この両者を混同することは許されない。いま話題の、共産党による異論を吐いた幹部党員の除名という世間常識からかけ離れた愚行も、実はこのあたりに原理的な根源があるのである。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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