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※紙面抜粋
※2023年2月20日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
色をなして猛反論(日本共産党の志位和夫委員長)/(C)日刊ゲンダイ
通常国会の召集から、20日で4週間。国会の審議は驚くほど低調だ。理由は単純明快。野党の追及不足に尽きる。
今国会で印象に残っている野党議員は1月31日の衆院予算委員会で質問に立った立憲民主の長妻昭政調会長くらいなものだ。「異次元の少子化対策」の修正ポイントとなる児童手当の「所得制限撤廃」に絡め、民主党政権時代の2010年に「所得制限なし」の子ども手当法案を採決した際、「ある自民党の女性参院議員」が「愚か者めが!」と激烈なヤジを飛ばしたと指摘。岸田首相に猛省を迫った場面である。
長妻は「挙げ句の果てに『愚か者めが』と書いたTシャツを、自民党の公式グッズとして1500円で発売、当時の広報委員長がそれを着てハシャいでいた」と追い打ちをかけ、岸田も「節度を超えていたとのご指摘は謙虚に受け止め、反省すべきは反省しなければならない」と陳謝を余儀なくされた。
当時ヤジを飛ばした丸川珠代元五輪相も「反省」を口にしたが、14年越しの大ブーメランにネットは大炎上──。とはいえ、この程度の騒ぎは現政権にとって痛くもかゆくもないだろう。
今国会の前に、岸田政権は日本の安全保障政策を大転換。国民にロクに説明もないまま、敵基地攻撃能力の保有を閣議決定し、憲法9条に基づく「専守防衛」の理念を投げ捨てた。蛮行は憲法破壊の大軍拡路線で戦争国家へと邁進しているだけではない。ロシアのプーチン大統領がおっぱじめたウクライナ侵攻に便乗し、「電力不足」を口実に原発再稼働を推進、老朽原発の運転期間延長、新増設にまで踏み込んだ暴政も忘れてはいけない。
おまけに、同性婚を法制化すれば「社会が変わってしまう」という岸田自身の発言に端を発した首相秘書官の「見るのも嫌だ」のLGBT差別発言も飛び出した。岸田は慌ててLGBT理解増進法案の成立を急がせているが、自民党の保守系議員は「『差別は許さない』という文言に反対」と倒錯しきった状況だ。
旧態依然とした家族観に基づく差別むき出し政権の本性まで明らかになれば、野党は絶好の攻め時だ。それこそ攻撃材料は腐るほどある。
今国会は暴政の限りを尽くす岸田政権への徹底追及がなされるべきなのに、何を攻めあぐねているのか。野党のふがいなさにはつくづく、ため息しか出ない。
マトモな野党を揺さぶる勢力には思うツボ
とりわけガッカリさせられるのは、自分たちに向けられた批判に「攻撃だ」などといきり立っている共産党だ。
発端は、共産党本部の政策委員会で安保外交部長も務めたジャーナリストの松竹伸幸氏が先月19日、「シン・日本共産党宣言」(文春新書)を刊行したこと。松竹氏は著書で党トップの委員長を全党員の投票で選ぶ「党首公選制」の導入を提案。実現すれば自ら立候補すると宣言した。
しかし、共産党は党規約に「党内に派閥・分派はつくらない」と掲げるほど「民主集中制」が組織の絶対原則だ。松竹氏の著書の出版から2日後に機関紙「しんぶん赤旗」は党首公選制への反論記事を掲載。複数の候補者による多数派工作が派閥・分派をつくることを奨励することになると指摘した。
すると、出版から半月余りの2月5日、共産党は松竹氏に党規約で最も重い「除名」処分を科した。その理由について「党に敵対する行為はおこなわない」「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」などの党規約に違反したと説明するが、はた目には「異論を封じ込める粛清」のようにも映る。
共産党も組織である以上、党のルールに反した党員を処分するのは当たり前だ。松竹氏を除名する、しないは共産党の勝手だが、異様に感じるのは党の対応だ。
朝日新聞が2月8日付の社説で〈党のあり方を真剣に考えての問題提起を、一方的に断罪するようなやり方は、異論を許さぬ強権体質としか映るまい〉と批判すると、翌日の会見で志位和夫委員長は血相を変えて反論。「『結社の自由』ということを全く無視した、乱暴な攻撃だ」と強い言葉で朝日を非難した。
その後も毎日新聞や産経新聞が社説などで除名処分を批判するたび、党幹部や赤旗は「憲法が保障した『結社の自由』や民主主義に対する乱暴な攻撃」などと食ってかかり、松竹氏の言動を「党に対する攻撃とかく乱以外の何物でもない」(田村智子政策委員長)と決めつける。
松竹氏が党首公選制を提案したのは共産党の「異論を許さない怖い政党」とのイメージを払拭する狙いがあるという。しかし、共産党がその反論にムキになればなるほど「異論を許さない怖い政党」という印象が逆に強まる悪循環である。
坊主憎けりゃで人格攻撃スレスレ
19日付の赤旗は「FLASH」(2月28日号)に掲載された松竹氏のインタビュー記事を紹介。〈「志位一派を追い出せ」と支持してくださる方もいます〉〈来年1月の党大会で復党への再審査を求めるつもりなので、その方には「離党せずに、1月の再審査に代議員として参加してください」とお願いしました〉との発言を引用し、こう書いていた。
〈“善意の改革者”を装っていますが、党の破壊者・かく乱者であることをみずからの言動で明らかにしています〉
〈党大会のかく乱を企図し、表にあらわれない形で、みずからを支持するグループ=分派をつくるための活動をはじめたことを告白したものにほかなりません〉
ここまでやると「坊主憎けりゃ袈裟まで」の類いで、人格攻撃スレスレだ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「組織の論理を守るため、異論を封じる閉鎖的で硬直した党の体質を印象づけているだけです。それも『民主集中制』のマイナス面が浮き彫りになっています。この独自の原理には戦後まもなく、旧ソ連や中国共産党の干渉によって党内で激しい路線闘争が繰り広げられ、党が分裂した歴史的背景がある。しかし、党首公選制を導入すれば『派閥・分派づくりにつながる』という論理は民主主義そのものを過小評価したものです。除名批判への反論に掲げる『民主主義への乱暴な挑戦』という主張とも矛盾します。民主集中制は指導部の独裁と結びつきやすく、志位氏が20年以上もトップに居座り続ける政党は民主主義の原則からみても、やはりおかしい。長期権力は絶対に腐敗する。少なくとも委員長ポストに任期制限を定めるべきで、共産党は負のイメージを自ら克服すべきです」
近年の共産党は現実路線にカジを切り、野党共闘を強力に推進、国会でも政権の不祥事追及で存在感を発揮してきた。党員以外にも共産党の政策や活動に理解や共感を示してきた有権者や知識人は多い。今回のような残念な振る舞いを続ければ、そうした人々の心は離れる。今後どんどん支持者を失ってしまうことを肝に銘じるべきだ。
「今やマトモな野党と呼べるのは共産党だけ。敵基地攻撃能力をとっても、日本維新の会は保有に賛成。その維新と国会で『共闘路線』を強める立憲民主党の安保政策は曖昧で、保有に反対しながらもミサイル能力の向上には理解を示しています。ほぼ与党の国民民主党は言わずもがなで、岸田政権の軍拡路線に100%明確に反対しているのは共産党ぐらいです。除名問題を機に共産党の組織に揺さぶりをかけたい勢力にすれば、今の対応は思うツボ。理想主義に固まり過ぎず、もう少し柔軟に対応できないのでしょうか」(政治評論家・本澤二郎氏)
かくして岸田暴政に国会は無風状態。ふがいない野党に落胆する国民にとっても、共産党の頑迷固陋な体質には苛立ちと絶望を覚える。
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