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※2022年11月28日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※文字起こし
汚れた五輪の利権構造は底なしだ。東京五輪のテスト大会に関する入札で談合があったとして、東京地検特捜部と公正取引委員会が独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで強制捜査に乗り出した。
家宅捜索したのは、広告大手「電通」本社やイベント制作会社「セレスポ」など。電通は大会組織委員会の理事だった高橋治之被告が受託収賄罪で起訴された汚職事件でも事件の関係先として捜索を受けたが、今回は容疑の直接対象として“ガサ入れ”された。
談合の疑いがもたれているのは、組織委が2018年に発注したテスト大会の「計画立案、計画支援業務」。競技会場ごとに計26件の一般競争入札を実施したが、特捜部は「電通主導」で骨抜きにされたとみている。
テスト大会関連の業務は組織委の「大会運営局」が担い、ナンバー2の局次長(当時)の自宅も捜索対象となった。この日本陸上競技連盟出身の局次長こそ業務の取りまとめ役で、局内の電通やセレスポなどから出向してきた職員や電通の担当者と協議し、どの企業にどの競技を受注させるかを事前調整した疑いがあるという。
入札に参加する各社の意向については、電通からの出向職員が各社の担当者にメールや直接会って希望する競技を確認。各社の意向を反映して作成した「割り振り表」は電通本体と共有された。26件の入札のうち少なくとも半数以上が「1社」応札で、実際の受注はほぼ表の通りになったとされる。
発注側と受注側が表裏一体で、電通が双方で中心的役割を担った“お手盛り談合”の疑い──。五輪を食い物にした悪しき構図が浮かび上がってくる。
電通はテスト大会の計画立案業務の入札で、得意とするサッカーの競技会場など計5件を総額約8000万円で落札。陸上競技の運営に実績があるセレスポも、やはり得意な陸上会場となった国立競技場など5件を総額1億2000万円、共同事業体として1件約1000万円を落札した。
計26件の契約総額は5億円余りだが、落札企業はその後のテスト大会の実施運営や本大会の運営業務についても、入札を伴わない随意契約で受注。後続業務は数百億円規模に跳ね上がったという。いわば巨額利権の入り口を談合ですみ分けた格好である。
そのかいあってか、業務の取りまとめ役だった大会運営局の局次長は現在、セレスポに在籍中だ。つくづく歪み切っているが、価格競争が行われなかったことで大会経費が大きく膨らんだ可能性まで浮上している。
国威発揚に向け、不正に目をつむった疑い
27日付の産経新聞によると、本大会の運営業務を随意契約した際、組織委は委託費用を当初、総額約149億円と見積もっていたが、交渉の結果、最終的に計約196億円の契約となり、予定より平均で3割増加したというのだ。
組織委の言い分通りだと東京五輪の開催費用は1兆4238億円。55%は国と東京都のカネで負担した。公費分は計画段階の1.8倍に膨らんだが、競争原理が働かず、費用が不当につり上がった可能性は否定できない。
それでも談合が疑われる契約の関係資料は非公開。大会運営の随意契約に至っては、契約金額すら公表していない。国や都から多額の税金を投入した一大プロジェクトながら、組織委は都とJOC(日本オリンピック委員会)が設立した公益財団法人なので、情報公開制度がないからだ。
「東京五輪の大罪」などの著書がある作家の本間龍氏はこう言う。
「納税者の目の届かないブラックボックスで、組織委に多くの職員を出向させた電通がやりたい放題。大会運営の委託費用が膨らんだのも、受注側の“言い値”で落札額を決めたからでしょう。それこそ談合の醍醐味で、受注先の他の広告代理店やイベント会社は電通のおこぼれにあずかったようなもの。
組織委の実態は各省庁や都から出向した役人の寄せ集め。彼らにスポーツイベントのノウハウはなく、国内外のスポーツ大会運営に実績のある電通に頼り切り。汚職にまみれたスポンサー集めから本大会の運営まで、電通からの提案に唯々諾々と従うのみで、ガバナンスもクソもなかった。
談合で跳ね上がった大会費用のツケを払わされるのは国民です。国と都の税金を使った国際イベントで、これだけ悪質な談合疑惑が持ち上がった以上、あらゆる五輪事業が不正の温床になっていてもおかしくない。国会も都議会も速やかに調査委員会を立ち上げ、徹底解明すべきです」
OBの高橋が蠢いた汚職事件では、数十人の電通社員が特捜部から聴取されたが、誰ひとり逮捕者を出さなかった。高橋に「利用された」という“被害者ヅラ”も、談合に主導的な役割を果たしたとされる今回ばかりは通じまい。恐らく無傷では済まないはずだ。
それにしても東京五輪の大会運営は電通一極集中だったとはいえ、たった一社でこんな大掛かりな悪事ができるものか。電通が仕切れた裏に一体、何があったのか。
選挙とカネで一体化した特別な関係
電通といえば、コロナ禍のもとでも税金を食い物にしたとして、世間を騒がせたものだ。20年に“トンネル法人”といわれた「サービスデザイン推進協議会」が、政府の「持続化給付金」事業769億円を受託。大半が電通とその関連会社に再委託され、さらに他社に再々委託するバラマキで手数料をせしめた「中抜き」が、猛批判を浴びた。
電通が血税をもてあそべる背景には自民党との「特別な関係」が横たわっているのではないのか。第2次安倍政権が発足した12年から21年までの10年間で、電通は自民党の政治資金団体「国民政治協会」に計5040万円を献金。一方、自民党は国民の税金を原資とする政党助成金で、電通に巨額の仕事を与え続けてきた。
その額は国政選挙が実施される年に増加する傾向にある。宣伝広報などの取引を通じて電通とグループ会社に年間10億程度から20億円強も支出されたこともあった。同業他社と比べても額が突出しており、政界関係者の間で「自民党の選挙は電通に丸投げ」といわれるゆえんだ。
電通主導の談合疑惑は完全に五輪の私物化にほかならない。問われているのは政府・自民党との癒着関係だ。特に自民党の総理経験者であり、組織委トップを務めた森喜朗元首相。さらに招致演説で福島原発事故の影響について「アンダーコントロール」の大嘘までついた安倍元首相。この2人はどこまで実態を把握していたのか。
五輪を国威発揚に利用するためには不正に目をつむり、自民党と一体化した電通の横暴を許してきたのだろうか。国民の関心は電通と政界の黒い癒着にある。
「安倍氏も森氏も清和会(現・安倍派)の出身です。清和会は文教族が多く、教育、スポーツ、宗教法人を扱う文科省に強い。歴代の五輪担当相も初代の下村博文氏や丸川珠代氏、橋本聖子氏と清和会議員が多く務めてきました。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題と同様、五輪利権も安倍氏を筆頭とする清和会が差配していた疑いすらある。談合により、国民の税金がムダに使われた可能性があるのに、なぜ、国会で調べようとしないのか。岸田政権が『死人に口なし』で、安倍氏周辺の調査を拒めば、それこそ統一教会問題と同じ。決して許されません」(政治評論家・本澤二郎氏)
時の政権と癒着した企業が五輪の裏で好き放題の横暴が許されていたのなら、さながら発展途上国並み。日本をマトモな国に取り戻すためにも、検察は今度こそ司直のメスをズタズタに入れ、五輪利権のウミを出し切るべきだ。
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