http://www.asyura2.com/22/senkyo288/msg/585.html
Tweet |
※2022年10月19日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年10月19日 日刊ゲンダイ2面
【英国の次は日本だろう】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) October 19, 2022
円安は進み、物価は上がり、しかし、賃金は上がらない
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/kIGaEI4TjP
※文字起こし
「急激な円安で消費者や企業が困っていることは事実だ。政府には焦点を当てた対策をしっかりとやってほしい」
17日、東京都内で記者会見した経団連の十倉雅和会長。さすがに今の円安局面に対して、こう危機感を募らせていたが、18日も円安進行の流れは止まらなかった。東京外国為替市場の円相場は1ドル=148円台後半を中心に推移。17日の海外市場では一時149円09銭を付け、約32年ぶりの円安水準を更新。18日朝の取引でも149円台に下落する場面がみられた。
鈴木財務相は18日の閣議後会見で「過度な変動には適切な対応を取る」と強調。岸田首相も同日の衆院予算委で、「政府としては、適切な対応を考えている」と語り、24年ぶりに実施した9月の政府・日銀による「為替介入」に続く追加介入も辞さない構えを示していたが、効果はほとんど期待できないのが実態だろう。
米国ではインフレの高止まりを受け、FRB(連邦準備制度理事会)が利上げを継続するとの見方が拡大。バイデン大統領も「ドルの強さを懸念していない」とドル高容認の発言を繰り返している。一方、日本政府や日銀は金融緩和を継続する構えを崩しておらず、日米の金利差は開くばかりだ。低金利の円を売り、金利収入が見込めるドルを買う「円売り・ドル買い」の動きは一向に歯止めがかからない情勢。さらなる円安が進む“狂乱”の様相を呈してきたが、そんな状況に対して、「なす術なし」の姿勢が鮮明になりつつあるのが岸田政権だ。
円安を賃金増や価格転嫁につなげるのは「妄想」
「(日米の)金利差が広がって円安が進んでいるのは一目瞭然。この金利差を放置していいのか」
「円安がますます進み、物価高対策をいくらやっても砂漠に水をまくようなものではないか」
18日の衆院予算委で、立憲民主党の階議員がこう迫ると、岸田は「円安のメリットを生かせる政策、日本経済の体質を強化する政策も用意しなければならない」と切り出し、「こうした政策を総合的に稼働することで国民の生活・事業を守っていく努力をしていきたい」と答えていた。
国会中継を見ていた人は、質問とかみ合っていない岸田の答弁に首をかしげただろうが、この説明には伏線がある。
岸田は先週末の15日、東京都内の企業や商店街を視察。その際、記者団に対して、「円安メリットを生かす海外展開を考えている中小企業、さまざまな企業、合わせて1万社を支援していく」とぶち上げ、「賃上げや価格転嫁を強力に進める」と強調。賃上げや物価高に伴うコストの上昇分を販売やサービス価格に転嫁できる環境整備に努める──とした。かみ砕いて言うならば、円安による物価高騰も価格転嫁で賃金が上がれば問題ない。政府は円安メリットを生かす支援策を考える、ということらしいが、この考えはハッキリ言って夢物語の類いだろう。中学の社会で習った通り、市場経済は基本的に需要と供給の関係で決まる。需要増による価格上昇でなければ賃金など上げられるわけがないではないか。そもそも円安メリットを生かす企業1万社を支援する──なんて、岸田自身が「円安容認」の姿勢を示したに等しいだろう。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「円安メリットを生かす企業なら、黙っていても儲かるわけで、わざわざ政府が支援する必要はありません。それよりも、自分の発言がますます円安を加速させるという状況に気付いていないのが問題です。円安を賃金増や価格転嫁につなげるなんて妄想ですよ。今やるべきことは他の中央銀行のように自国の通貨安を防ぐ対応であり、それが世界の常識。日本だけが非常識な対応を取り続けているのです」
このままだと岸田政権と一緒に庶民も共倒れ
「金融緩和がまったく失敗したというのは事実に反する」
18日の衆院予算委で、2013年から始まった異次元緩和による「2年で2%の物価目標」がいまだに達成していないことを立憲の階から問われ、語気を強めてこう反論していた日銀の黒田総裁。
黒田は出張先の米ワシントンで開かれた討論会でも、今の円安を背景にした物価高について、「日銀が物価目標として掲げる2%を上回っているが、海外の資源価格や食料価格の上昇が主な要因」と主張。物価目標の安定的な実現には至っていないとして、引き続き金融緩和策を継続することや、利上げに慎重姿勢を見せていた。だが、よくよく考えれば、この黒田日銀と岸田政権の動きはチグハグと指摘せざるを得ない。
そもそも、24年ぶりに実施した為替介入にしても、円安誘導と言われてきた異次元緩和の流れと逆行するものだ。黒田は「安定的な物価高ではないから金利は上げない」──というが、岸田はすでに「物価高」と認識しているからこそ、価格転嫁などのバラマキ対策を講じるのではないのか。日銀は中央銀行として政府から独立した機関とはいえ、政府と日銀の足並みのズレがますます露呈する事態に陥れば、減税計画の撤回を余儀なくされた英国のような状況になりかねない。
政府、日銀は「金縛り状態」にある
英国のトラス政権は、エネルギー価格の高騰を受けた家庭や企業の光熱費抑制策を打ち出すとともに、大型減税を柱とする経済対策を決定。ところが、バラマキによる財政悪化を招くとの懸念から、通貨ポンドや英国債の売りが止まらず、世界的な金融市場の混乱を引き起こす展開となった。
このため、ハント財務相は当初計画した減税規模年間約450億ポンド(約7.6兆円)のうち、7割余りを撤回する形に追い込まれたわけだが、今の岸田政権の無定見ともいえるバラマキ策も似たり寄ったり。英国並みの迷走ぶりを呈してきたと言っていいだろう。
厚労省の毎月勤労統計調査(8月速報、従業員5人以上)によると、物価上昇の影響を反映した実質賃金は前年同月比1.7%減で、5カ月連続でマイナス。内閣府の景気ウオッチャー調査(9月)では、物価高に懸念を示す企業が多く、2〜3カ月先の見通しを示す先行き判断指数は0.2ポイント低下となった。
円安は進み、物価は上がり、しかし、賃金は上がらない──という「負の連鎖」は果たしていつまで続くのか。亡国政権の今後と庶民の暮らしはどうなるのか。
埼玉大学名誉教授の相澤幸悦氏(経済学、金融論)がこう言う。
「円安進行に対応するには日米の協調介入が望ましいのですが、ドル安に振れれば米国に恫喝される。ということは日本の単独介入しかありませんが、外貨準備の米国債を売ると米長期金利が上昇するので、やはり日本は動けない。つまり、政府、日銀は金縛り状態なのです。異次元緩和によって日本企業は技術力、競争力が著しく低下してしまった。円安進行は金利差だけが要因ではないのです。インバウンド頼みの経済策など愚の骨頂でしょう。このまま政府が具体策を打てなければ、日本経済は疲弊し続けるわけで、その被害者は国民なのです」
岸田政権と一緒に庶民も共倒れなんて冗談ではない。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK288掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK288掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。