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茶番の為替介入…日銀よ、おまえたちは手品師のつもりなのか 特別寄稿
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/312631
2022/10/10 日刊ゲンダイ
付き合わされる国民は不幸(代表撮影)
24年ぶりに政府が踏み切った円買いドル売りの為替介入。しかし、自国通貨買いの介入では、非常に難しい2つの現象が起きる恐れがある。
自国通貨売りならば、介入資金はいくらでもあるが、自国通貨を買うとなると外貨を用意しなくてはいけない。国が持っている外貨準備は全部が現金ではなく、むしろ大部分が日本の場合なら米国債です。現金だけでは小さなスケールでしか介入できず効果が薄いので、本格的に介入するなら米国債を売ってドルを調達しなければならなくなる。
ところが米国債を売ると、市場において米国債の供給が増えることになるので、米国債の価格が下がる。つまり、米国債の利回りが上がり、ますます日米の金利差が拡大してしまう。
日米の金利差が大きいから急激な円安が進み、その円安を止めるために為替介入をするのに、為替介入資金を調達するために米国債を売ると、日米金利差がさらに拡大し、円安圧力がかえって高まってしまう……。介入規模を大きくすればするほど、円安進行の危険性が高まるという、非常にバカらしい状況に追い込まれていくわけです。
そして、円買い介入で起こりうる難しさのもうひとつ。
財務省の指示を受けて日銀が行う円買いは、民間金融機関が日銀に開設している当座預金から円資金を吸収する形で行われる。金融機関が引き続き当座預金にそれなりの円資金を置いておきたいと考えれば、日銀に差し出した分(吸収された分)の円を短期金融市場から調達するので、円資金需要が増え、円金利が上昇する。米国との金利差が縮まり、円安圧力が緩和されるという意味ではいい話です。
ところが、いまの日銀としては、金利が上昇する方向に動くことはできない。異次元緩和で金利を抑え込んでいるわけで、短期金融市場での金利上昇を日銀が放置すれば、「ついに異次元緩和をやめるのか」という臆測が広がり、ますます金利上昇圧力が高まる。金利が上がると国債の利払いが増え、日本政府が大変なことになるから阻止しなければならず、日銀は、円資金を短期金融市場に再び供給せざるを得なくなる。これでは、やったことを帳消しにするわけで、日米金利差は縮まらず、円安圧力は緩和されません。
「新しい資本主義」とは「バカらしい資本主義」
こうした2つの現象が起きると、何のために為替介入をしているのか分からないという状況に陥ってしまう。バカさ加減を露呈することになり、「新しい資本主義」はやはり、「バカらしい資本主義」だということになるでしょう。
「財政ファイナンス」という下心で金融政策を汚し、妥当ではない政策をひとたびやり始めると、茶番に陥る。「ざまあみろ」と思うけれど、付き合わされる我々はたまりません。マトモな政策をやらないとロクでもない結果になるということを、アホノミクスの登場以来、繰り返し、繰り返し、見せつけられてきたが、そういう政策展開の枠の中に置かれている日本国民は本当に不幸です。
異次元緩和を継続している以上、どんなに為替介入を実施しても悪循環の繰り返し。日本の金利上昇を日銀が容認しない限り、悪循環は断ち切れない。この解けない結び目をどうやって解いてみせようというのか。日銀よ、おまえたちは手品師のつもりなのか……。
浜矩子 同志社大学教授
1952年、東京生まれ。一橋大経済学部卒業後、三菱総研に入社し英国駐在員事務所長、主席研究員を経て、2002年から現職。「2015年日本経済景気大失速の年になる!」(東洋経済新報社、共著)、「国民なき経済成長」(角川新書)など著書多数。
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