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※紙面抜粋
※2022年10月3日 日刊ゲンダイ2面
【細田衆院議長が開会のベルを鳴らすのか】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) October 3, 2022
正視に耐えられないおぞましさ 今日から始まる臨時国会
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/nsozIavnrp
※文字起こし
3日から秋の臨時国会がスタート。6月15日の通常国会の閉会から、実に4カ月近く。立憲民主党など野党の臨時国会召集の要求を無視し、やっと始まる国会論戦はのっけから、おぞましい光景だ。参院本会議で行われる天皇臨席の開会式の後、衆院本会議の開会のベルを押すのは、よりによって細田博之衆院議長なのである。
7月の安倍元首相銃撃事件の後、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との深い関係を指摘されながら、一切の説明から逃げ回り、臨時国会の4日前になって、ようやく関係を認めたコメントはA4判の紙切れ1枚。その内容も2018、19年に計4回、教団関連団体の会合に出席し、選挙で「支援」の意向を示され、2つの関連議連の役職に名を連ねていたことなど事実を羅列しただけ。渋々出したという態度がミエミエで、国権の最高機関の長としての矜持や責任感はみじんも感じられない。
さすがに、説明が不十分だという野党の批判や公表外の接点も判明し、7〜10日後をメドに追加の説明に応じることになったが、再び文書で説明するというから、とことんナメている。
出席を認めた19年10月の教団関連団体のイベントでは、細田が教団創始者の妻で現トップの韓鶴子総裁の講演前に登壇し、「この国際指導者会議の場は、大変意義深い」「今日の盛会を、そして会の内容を安倍総理に早速報告したい」と語る動画が残されている。
なぜ「意義深い」のか。どうして「安倍総理に報告」するのか。ただすべきことは山ほどある。細田に求められているのは説明する紙の枚数を増やすことではない。国会での質疑や記者会見に応じ、洗いざらいを打ち明けることだ。それができない疑惑の議長は、潔く要職から身を引くべきである。
「週末を挟んでマスコミも忘れる」
不誠実な対応は細田だけに限らない。自民党はこの期に及んで、統一教会問題に真摯に向き合おうとしていない。9月30日の追加報告で12議員の新たな接点を発表したが、党は記者会見を開かず、党幹部による非公式の説明にとどめた。
報告の中身も報道などの指摘で判明したものを追認しただけ。その上、記者会見で教団主催の会合への出席を認めた山際大志郎・経済再生相の名前は当初、事務所のミスで含まれていないという締まりの悪さだ。
発表が金曜午後になった理由について、党内から「週末を挟んでマスコミも忘れると考えたのだろう」との声も上がり、岸田首相の教団との「決別」宣言なんて完全に掛け声倒れ。そもそも、教団側とのズブズブ関係が指摘されながら、今なお安倍への調査を「お亡くなりになった今、確認するには限界がある」と否定している以上、幕引きなど不可能である。
かくして疑惑の議長の下、山際ら教団との接点が判明した8人もの閣僚が本会議場のひな壇に居並ぶのだ。この正視に堪えられない異様な光景こそ、安倍・菅両政権が嘘とゴマカシで塗り固めた政権運営でブチ壊した日本の民主主義の成れの果てを物語る。
「説明の形を取り繕うだけで肝心の疑問にはフタをする。国会での議論を軽視し、どうせ、時が経てば忘れてしまうと国民を愚弄してきたのが『アベ政治』の本質です。その腐った政治構造から岸田政権も抜け出せていません。日本国憲法にのっとれば、国会議員の地位と権力は主権者である国民が信託するものであり、政治の成果は国民が享受するものです。国会議員が国民に秘密を持つなんてもってのほかで、自分たちの行為は十分に説明しなければいけない。そんな最低限のモラルすら失われ、民主主義をないがしろにしてきたのが、第2次安倍政権以降の自民党政治なのです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
民主主義の次は国民生活をブッ壊す
アベ政治による民主主義破壊の集大成が、今度の臨時国会であり、安倍国葬だ。
桜を見る会前夜祭の国会答弁だけでも118回もウソをつき、自分たちの都合が悪くなれば、公文書を書き換えることもいとわない。時には解釈だけで憲法すらネジ曲げ、後援者のための「花見の宴」に税金をつぎ込み、「腹心の友」が望むなら国家戦略特区を都合する程度のことは平然とやってのける──。
これだけ民主主義をおろそかにしてきた政治家を国葬で見送るとは、日本の民主主義の終焉を象徴していると言うほかない。前出の金子勝氏はこう言った。
「安倍氏の国葬について、岸田首相は『暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意』と意義付けましたが、その民主主義を破壊し尽くしてきたのは誰だという話です。票とスタッフ欲しさに国民を不幸にする教団と結託し、民主主義の根本である選挙までおとしめたのですから、なおさらです。それなのに、岸田政権は法的根拠も国会の議決もなく、内閣府設置法に基づく閣議決定だけで国葬を強行してしまった。民主主義を亡きものにする行為で、独裁と変わりません」
岸田率いる自民党政権が破壊するのは、民主主義だけではない。いよいよ、国民生活までブッ壊そうとしている。
岸田は世界的な物価高騰に強い危機感を表明し「あらゆる政策を総動員し、『戦後最大級の難局』に対峙する」と豪語。10月末までに総合経済対策を策定するよう関係閣僚に指示したが、国民生活を苦しめる急激な円安は放置する考えだ。
3日の所信表明演説でも「円安のメリットを最大限引きだす」と強調、訪日客消費を年間5兆円超に増やす目標を設定。円安を是正するどころか円安頼みの“成長戦略”とは相当にイカれている。
円安放置で日本経済を海外に売り渡す
今年に入り続いている食品の値上げは今月、最大のヤマ場を迎えている。
帝国データバンクによると、今月は再値上げも含め6699品目に上り、今年の累計2万品目超のうち、実に3割以上を占める。
値上げの背景にあるのは原材料などの輸入物価の高騰だ。その要因のおよそ半分が、円安の悪影響によるものだ。物価は上がる一方で賃金は上がらず、家計の厳しさは増すばかり。それなのに、物価高騰の根本要因である円安をほったらかしとは、岸田には国民生活が見えていない。経済評論家の斎藤満氏が言う。
「政府は円安を食い止めるため、24年ぶりとなるドル売り円買いの為替介入を行ったばかり。しかし、約2.8兆円もつぎ込んでも効果は1日しか持続せず、あっという間に1ドル=144円台に後戻りです。日銀が『イールドカーブ・コントロール』という金利を押し下げる政策を続ける限り、急激に金利を引き上げる米国と日本の金利差は拡大するいっぽう。投資家にも介入効果は限定的と認知され、今後も円は下落していくでしょう」
結局、円安を止めるには介入効果を薄める日銀の緩和政策を転換させるしかない。
「しかし、岸田首相にそんな指導力はなく、アベノミクスに固執する黒田総裁に何も言えません。もはや諦めの心境で、円安を生かすポーズを取っているのかも知れませんが、本末転倒です。円安のメリットを享受できるのは外国人の観光客や投資家だけで、国民生活にはデメリットでしかない。いわば日本経済のバーゲンセールとなり、円安放置は誰のためなのか。ガソリン補助金の延長や電気料金の激変緩和措置などの経済対策は単なる“痛み止め”に過ぎず、円安の“病原”である日銀の金融政策を“治療”しなければ、国民生活は豊かになりません」(斎藤満氏=前出)
経済無策の首相の愚にもつかない所信表明を聞かされる国民は、一体どこにはけ口を求めればいいのか。
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