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多幸感に包まれて自画自賛を繰り返す…権力に迎合する「エセ保守」の異常 適菜収「それでもバカとは戦え」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/312166
2022/10/01 日刊ゲンダイ
27日国葬の当日、反対派と賛成派の両方が集まり、騒然とする東京・九段下駅前(C)日刊ゲンダイ
自称保守向けの某月刊誌の目次を見て驚いた。そこには〈国葬反対派はバカか売国奴〉〈日本を蝕む「アベガー」というカルト〉〈国葬反対派は極左暴力集団〉といった見出しが並んでいる。「日本を蝕むカルト」は一体どちらなのか?
主要メディアの調査のほとんどで国葬反対派は賛成派を上回っており、直近のFNNの調査では賛成が31.5%で反対は62.3%。この類いの連中は、日本人の62.3%が、バカで売国奴で極左暴力集団とでも言うのか。思考停止した連中が徒党を組むと、自分たちの異常さに気づかなくなる。都合のいい情報しか耳に入らなくなり、現実との接点を失い、濃縮されたカルトになっていく。だから安倍というカルト体質の男と親和性があったのだろう。
本来、保守とはこうした歪んだ思考を戒める態度のことである。それは復古でも右翼でもない。近代の不可逆的な構造を理解した上で、近代内部において理性や合理の暴力に抵抗するのが保守である。保守思想に関する文献を読めば、日本で「保守」とされているものが、その対極であることがわかる。保守は人間理性を信仰しないので権力を警戒する。よって権力の分散を説いてきたが、エセ保守は逆に権力に迎合する。そして権力と一体化したかのような多幸感に包まれ、自画自賛を繰り返す。自分が大好きで、日本はすごい国と信じ込み、生温かい世界に引きこもる。論理的な整合性が取れなくなれば陰謀論に逃げ込み、惨めな、卑小な、卑劣な自分たちのメンタリティーをごまかすために、その鬱憤を近隣諸国や社会的弱者にぶつける。
今回の統一教会との癒着問題を抜きにしても、安倍がやったことは国や社会、法の破壊に他ならなかった。この日本を三流国家に貶めた国賊に、黄色い声援を送ってきたのが自称保守論壇である。要するに、現在のわが国では「バカ」が保守を名乗っている。言葉の混乱は社会の混乱につながる。よって言葉の定義を正確な形に戻すべきだ。保守の2文字を「バカ」に置き換えるといろいろなことがすっきりする。〈保守論壇→バカ論壇〉〈保守合同→バカ合同〉〈親米保守→親米バカ〉〈保守本流→バカ本流〉。そして本来の意味における保守のみを「保守」と呼ぶことにすれば無用な混乱を避けることができる。
適菜収 作家
近著に「ニッポンを蝕む全体主義」「日本人は豚になる」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書45冊以上。「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。本紙連載が書籍化「それでもバカとは戦え」好評発売中
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