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※紙面抜粋
※2022年9月14日 日刊ゲンダイ2面
【この顔ぶれに自浄作用は絶望的】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) September 14, 2022
国民が望んでいるのは安倍暗黒政治にかかわった連中の一掃だ
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/JQ1nQBrunU
※文字起こし
「国民が強く求めている物価や経済対策に政府・与党を挙げて正面から取り組み、政局より政策という当たり前のことを具体的に示したい」
異論を差し挟む余地はない。ぜひとも有言実行でお願いしたいところだが、よくもまあヌケヌケと言えたもの。13日の自民党役員会での岸田首相の発言だ。つるべ落としの内閣支持率を意識した世辞にしても、もう少し気の利いたセリフが吐けないものか。
政権発足から間もなく1年。党内の政局に振り回され、ロクに政策を打ち出さず、国民の暮らしは置き去り。無為に過ごしてきた人間が何をいまさらだ。
新型コロナウイルス第7波の発生は予想できたのに、医療提供体制を拡充せずに傍観。第6波をはるかに上回る命が失われた。分配重視の「新しい資本主義」を掲げながら、安倍元首相の顔色をうかがってアベノミクスを踏襲。金融緩和をだらだら続け、加速する円安物価高になす術なしだ。補助金支給は関連業界を潤すだけで、対症療法にもなりやしない。そして、政権を揺るがす統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民の癒着をめぐる問題をいまだ収束できないでいる。
内閣支持率は下落の一途。政権寄りのNHKの世論調査(9〜11日実施)でも散々だ。支持率は前回8月調査より6ポイント減の40%で、政権発足以来最低に落ち込んだ。一方、不支持率は12ポイント増の40%。支持と不支持が並び、ついにNHKでも逆転が目前に迫る。国葬実施は「評価しない」57%、政府の説明は「不十分だ」72%。統一教会問題への自民党の対応については、「不十分だ」65%。教団とのズブズブ隠しをもくろんだ内閣改造・党役員人事は「あまり評価しない」が40%、「まったく評価しない」が16%という結果だった。
「岸田の決断」が生む世論離れ
人事も国葬も岸田の「決断」あってこそだが、どれもこれも失敗。コロナ療養明けの先月末、「党として説明責任を果たし、国民の信頼を回復できるよう厳正な対応をとる」と意気込んだ統一教会と党国会議員の関係調査は、茂木幹事長が「自己点検」の「集約」に後退させた。結果、漏れに漏れるダダ漏れで、かえって世間の反発を買っている。何もしないことで支持率を維持してきた岸田が何やら動き出した途端、世論離れを引き起こしている。
もっとも、統一教会との癒着がもとで凶弾に倒れた安倍の国葬を国会で審議することなく、いきなり発表したのは、麻生副総裁に「これは理屈じゃねんだよ」とスゴまれたからだと報じられている。法的根拠がない点は、解釈改憲をやった安倍よろしく内閣法制局にねじ込み、閣議決定に突っ走った。費用の公表額が少なすぎると疑いの目を向けられると、閉会中審査3日前に菅前首相の国会内事務所を訪問。「分かる範囲で数字をまとめて早めに明らかにしてはどうか」などと助言を受け、総額16.6億円の追加公表を決めたという。
国葬の相談は麻生、国会対応は菅。統一教会問題の後始末は茂木と話し合っているらしいが、いずれも長期政権でイカれた連中だ。「聞く耳首相」の正体見たり。この顔ぶれに自浄作用を求めるのは八百屋で魚。絶望的だ。国民が望んでいるのはアベ暗黒政治にかかわった連中の一掃なのだ。
NHKとのタッグで「安倍国葬」の神話化
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「国葬に突き進めば、内閣支持率は40%を割り込む可能性が高いとみています。ですが、岸田首相は鼻が利かず、機転も利かない政治家。喉元過ぎれば熱さを忘れると楽観的にとらえているのでしょう。誘致そのものに反対の声が大きかった東京五輪はコロナ禍で1年延期の末、終わってみれば〈やってよかった〉という空気が広がった。国葬も五輪同様の展開になると皮算用しているのではないでしょうか。NHKが政権の意向に協力すれば、それなりの演出も期待できますし、あわよくば神話化も狙える。国葬に世論の批判が集中することで、暮らしに直結する円安物価高への不満を抑える効果が散見されるのはうれしい誤算なのかもしれません。岸田首相は大型の国政選挙をやる必要のない『黄金の3年間』を手にしているのですから、それを政治資産に国葬の看板を下ろし、内閣・自民党合同葬にかけ替える政治判断ができるはずです。そうしないのは国民をナメ切っているがゆえで、10月上旬の召集が想定されている臨時国会では間違いなく集中砲火を浴びることになります」
自民党政権を支え続けてきた公明党の山口代表は留任が確定した。党代表選(15日告示)で無投票再選の流れで、25日の党大会で正式に8選が承認される見通しだ。
「臨時国会で『政治と宗教』をめぐる問題が火を噴けば、創価学会が支持母体の公明党は無傷ではいられない。山口代表の後継と目される石井啓一幹事長では持たない。山口代表は最後のご奉公で前面に立たされることになるようです」(与党関係者)
1999年に自公連立政権が発足以降、共存してきた両党の関係は今年で23年目に突入。裏を返せば、権力に溺れた公明は「平和の党」の金看板を少しずつ塗り替え、下駄の雪に徹してきた。山口は政権の「ブレーキ役」を自任しているが、ちゃんちゃらおかしい。民意が全く見えていない自公政権の腐臭に国民は辟易している。
矛盾極まる「沖縄」「反日組織」
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言った。
「当初の下馬評を覆し、玉城デニー知事が再選した先日の沖縄県知事選は象徴的です。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設で焦る自民党は、知事のイスを全力で奪いに行った。国政選挙並みの態勢で臨んだ選挙戦の真っ最中、麻生元首相は講演で台湾有事を念頭に〈沖縄、与那国島にしても与論島にしても台湾でドンパチが始まることになれば戦闘区域外とは言い切れないほどの状況になり、戦争が起きる可能性は十分に考えられる〉と発言した。国民の生命と財産を守り、国家を守るために手を尽くすのが保守ではなかったのか。ドンパチなんていう物騒な言葉を用い、沖縄を再び捨て石にするかのような放言には耳を疑います。結果、自公推薦候補は両党の支持層を固めきれず、大差で敗れた。かたや、多くの自民党議員が反日・反社会的団体の統一教会から支援を受けている矛盾。かつての自民党であれば、党内から批判の声が上がった。財界からもいさめられたでしょう。安倍元首相の死によって、保守政治の崩壊が露見した危機的状況にあっても、そうした動きは見られない。マトモな保守層も自民党をアテにしませんよ」
統一教会と半世紀超えの固い絆で結ばれる自民は、まだまだ爆弾を抱えている。山際経済再生相や萩生田政調会長が辞任に追い込まれれば、岸田政権の“骨格”は2つも吹き飛んでしまう。そうなれば、いよいよ終わりの始まりだ。
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