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「俺が決めた」国葬失敗で窮地の岸田政権が頼った「大物議員」の名
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2022年09月10日 FRIDAYデジタル
「なにもしない」首相が「してしまった」大失態の耐えられない重さ
「国葬は俺が決めた」岸田首相は、そう明言した。発足から1年。内閣初の最大のピンチは「なにもしない」首相が「なにかしようとした」ことから始まった… 写真:代表撮影/AP/アフロ
安倍晋三元首相が銃撃され亡くなってから2か月が経った。理不尽な死を悼む声とは別に、安倍氏の「国葬」については疑問の声が噴出。岸田文雄政権にとって初めての大きな「逆風」になっている。
「国葬は麻生さんが言い出したことだと一部メディアが書いているが、そうじゃない。安倍元首相が亡くなったと聞いたその瞬間、俺が、国葬と決めた。…浅慮だった」
岸田首相は、議員仲間や新聞記者に対し、はっきりそう言った。
国会で「説明」された「国葬の理由」
その岸田首相が8日の衆参両院の議員運営委員会、閉会中審査でようやく、国葬を決めた理由を説明した。
「憲政133年の歴史の中でもっとも長い政権を担い、外交展開は大きな実績があった。海外からの弔意は日本国民にも向けられていることから、国として礼節をもって応じるべきと判断し国葬儀を閣議決定した」
これに対し法的根拠を問われ、
「国葬の基準法はないので、内閣府設置法で閣議決定した」
と答えた。また、大きな問題となっている統一教会と安倍元首相の関係については、
「お亡くなりになった今、実態を十分に把握することは限界がある」
「丁寧に説明していかなければならない、個々に点検、説明責任をしっかり果たしていく」
と、苦し紛れの答弁を繰り返した。野党は当然猛反発。世論もさらにヒートアップしている。
自民党北海道議の道見泰憲氏のツイート「賛成ししてくれという野暮はいわない。もう黙ってろ」は、岸田首相と周辺の「本音」かもしれない。
「しかしこれでは『いくらかかるかわからないけど盛大な葬式をしたいのでその費用は出してもらいたい』…おもちゃを欲しがる子どもが泣いて駄々をこねる言い草にしか聞こえませんね」(全国紙政治部記者)
維新、国民民主党は、国葬への参列を表明した。判断を留保しているのは立憲。憲法の精神に反するとして欠席を決めたのは共産党。れいわ新選組、社民党も欠席を明言した。地方のある首長は困惑しこう話す。
「国葬には反対です。が、内閣府国葬実行委員会から『国葬案内』が届いたので、参列することは決めました。でもね、ケチで言うんじゃないですが、行くにあたって交通費は公費なのか、私費なのか迷います。国葬というんだから、とりあえず公費だろうと判断しました。しかし、後になって議会で、共産党などから交通費返還請求があるかもしれない。こういう事態になって、亡くなった安倍さんはどう思うだろうか。ご遺族にとっても、いたたまれない嫌なお気持ちになっているんじゃないかと思う」
感情論先行の国葬決定は、地方行政にも波及し、混乱を招いているのだ。
岸田首相が、国会閉会中審査への出席を決める直前、内閣支持率が大きく下落した。さらに自身のコロナ感染もあり、情緒が乱れていたと官邸スタッフが語った。
「総理は今夏、参院選挙に勝てば政権は安泰などとは微塵も思っていませんでした。目の前のコロナ新規感染者急増、円安や物価高、エネルギー政策の180度転換など問題山積だったからです。そこに、安倍元首相の急死、国葬そして統一教会問題が襲ってきて、ついに、国葬について『俺の判断が早すぎた』と吐露しました」
自らの論理破綻に苛まれ、自尊心は傷ついた。岸田首相の「為政者のプライド」はズタズタとなっている。「政権崩壊は時間の問題」(関係者)という精神状況に追い込まれているという。
さらに五輪汚職がいよいよ本丸へ、森喜朗元首相が参考人聴取を受けている。政権初の最大の危機だ。
虚な目はどこを見ているのか
「岸田氏がもっとも頼りにする最側近の、木原誠二官房副長官、村井英樹首相補佐官、嶋田隆首相秘書官が機能していません。彼らから局面打開のアイデアがまったく出てこない。この3人は政策推進には頼もしい反面、政治のなんたるかを知らない。安倍政権には、役所を辞めて駆けつけた今井尚哉秘書官のような絶対的な側近がいた。岸田首相にはそのような人材がいない。だから結局、そのあたりに強い菅義偉元首相に頼らざるを得ない。議員会館の菅事務所にわざわざ足を運んで話し込んでいます」(岸田周辺議員)
反対を押し切って決行する「国葬」では、菅元首相に友人代表として弔辞を願ったという。菅元首相は二つ返事で快諾した。
「菅さんに友人代表を強く願ったのは安倍昭恵さんでした。今井内閣官房参与と昭恵未亡人が安倍政権を振り返った時に、一番に出た名前が『菅官房長官』だったのです」(自民党幹部)
岸田政権が発足して1年。勇足のように走り出してしまった「国葬」は、「なにもしない」ことで政権を安全運転してきた岸田首相にとって大きな失策になってしまった。
「首相は、政権が危険水域に入ったことを自覚しているようだ」(岸田周辺議員)
今、岸田首相の目は、議論の相手を正視することができない弱々しさだ。
取材・文:岩城周太郎 写真:代表撮影/AP/アフロ
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