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議員と旧統一教会の関わりは国家安全保障上の深刻な問題である 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/311002
2022/09/08 日刊ゲンダイ
8月31日の会見で旧統一教会との「絶縁」を宣言も…(C)共同通信社
自民党は、所属の全国会議員に旧統一教会との関わりを申告するよう求めたが、9月2日に締め切って6日に集計結果を公表するとの予定を延期することにした。
理由は「あいまいな記述が多く、確認作業が発生しているため」と言うが、議員本人の自己申告に委ねてしまえば、こうなるのは分かりきっていた。本人にしてみれば、できるだけ関わりを少なく見せたいのは当然で、歴然と証拠が残っていて言い逃れようのない場合以外は「思い出せない」ことにして済ませたい。
ところが党執行部としては、「はい、そうですか」と額面通りに受け取って公表した後に週刊誌などに新事実を掘り出され、「嘘をついた」と責められるケースが続出しかねないので、議員本人に「他にはないだろうな」と確認を繰り返すのだろうが、これは果てしもないことになる。
最初から党の機関もしくは部外の専門家を入れた第三者委員会による切開手術的な調査にすべきだったのに、それを避けたのが間違いの始まりである。
百歩譲って、このやり方でうまくいったとしても、公表されているアンケート用紙の8項目では肝心要の問題が抜けている。私が本欄で繰り返し強調しているように、統一教会は単なる反社会団体ではなく、韓国に本拠を置く反日団体、もっと言えば反日謀略工作機関であり、その工作員を各議員が選挙態勢の中に引き入れることによってどのレベルの情報がどれだけ筒抜けになったのかを究明しなければならない。
電話係をやれば貴重な名簿が手に入る。選挙カーや議員の移動用の乗用車の運転手になれば、陣営内部の会話や議員個人の通話まで聞くことができる。さらに踏み込んで秘書になってしまえば事務所の内情が分かるし、議員の役職によってはそこで扱う重要情報を盗み出すこともできるだろう。
議員の皆さんは「反共思想で一致した」ので気を許したと言うけれども、仮にこれが反共を装った極左の秘密戦闘員だったらどうするのか。
この問題の本質は、外国由来の工作員が組織立って自民党の内部に深く浸透して情報を得たり政策に影響を与えたかもしれない国家安全保障上の由々しき事態ということにあり、そういう危機意識も警戒心も何もないノーテンキで無防備な議員本人に「どうですか」と聞いて済むような話ではないのである。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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