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安倍元首相国葬の企画・演出 不可解落札の“ブラックボックス”…なぜ1社だけが1.7億円で?
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/310924
2022/09/06 日刊ゲンダイ
こちらも不透明(桜を見る会=代表撮影)
「特定の業者に便宜を図った事実は一切ない」──。政府が疑惑の打ち消しに必死だ。
「桜を見る会」の設営業務を担当していたイベント会社「ムラヤマ」(東京都江東区)が、安倍元首相の国葬の企画・演出業務を落札したことに、「出来レース」との疑惑の目が向けられている。松野官房長官は5日の会見で冒頭のように否定したが、真相はベールに包まれたままだ。
◇ ◇ ◇
ムラヤマは2日、国葬の企画・演出業務を1億7600万円で落札。東日本大震災追悼式や全国戦没者追悼式で演出業務を手掛けるなど、国の大規模イベントに携わってきたほか、2015年から5年連続で「桜を見る会」の会場設営業務を担当。今年3月には、日本テレビホールディングスの傘下に入った。
国葬業務の入札について、政府は「適正な手続き」を強調するが、19年の桜を見る会では内閣府が入札公告前にムラヤマと打ち合わせをしていたことが発覚。野党から「入札の公平性が損なわれたのではないか」と批判を浴びた。5日の野党合同ヒアリングでもムラヤマの1社応札に関し、議員からは「国民には『出来レース』に見えるのではないか」と追及の声が上がった。
「適正」と言い張るなら、入札の際の予定価格や落札額の割合(落札率)を公表して透明性を証明すればいい。なのに、内閣府の担当者はヒアリングで「予定価格については、応札の際の競争を阻害しないようにということで、公表を控えている」の一点張り。
改めて内閣府に予定価格や落札率の公表について問い合わせたが、「予定価格については、公表すると、同種の業務を将来行う可能性のある事業の予定価格が類推される恐れがあるため、公表していない」(国葬義事務局)との回答だった。
微妙に食い違う首相と現場の言い分
野党ヒアリングで深まる疑惑(C)日刊ゲンダイ
桜を見る会に関しても、内閣府は予定価格や落札率は一切、非公表。一般競争入札に見せかけた結果ありきの「出来レース」だったとしても、外部からは分からない。まさにブラックボックスだ。神戸学院大教授の上脇博之氏がこう言う。
「国葬反対の国民が過半数を占める中、岸田政権はなお一層、説明責任を果たす必要があるにもかかわらず、情報公開に後ろ向きです。これでは、国民の疑念は深まるばかりです。そもそも、競争入札に参加したのが1社では、結果的に競争が阻害されているし、『結論ありき』とのそしりは免れません。今後、国葬レベルのイベント実施があり得るから予定価格を公開しない、との主張にも無理を感じます。岸田政権も安倍政権と同様、説明責任を果たす気がないのでしょう」
ベールに包まれた“不可解入札”の問題は他にもある。
岸田首相は「(国葬会場の)日本武道館で事業を担える業者は4社ほどに限られている中で、正式な手続きのもとに落札された」と主張。業者が限定されているような口ぶりだが、ヒアリングで内閣府の担当者は「(何社が担えるか)あらかじめ把握していない」と答えている。岸田首相は何をもって「4社」と断言したのか。根拠不明だ。
「果たして、岸田首相の言うように業者は限定されているのか。現場と言っている事実が微妙に違う。『正式な手続き』というのであれば、情報をオープンにして差しつかえないはずです」(上脇博之氏)
松野官房長官は6日の記者会見で、国葬にかかる総額の見込みが総額16億5000万円程度になることを明らかにした。政府は会場の設営費などとして、国費から2億5000万円の支出を閣議決定していたが、これらに加え、海外要人の警備費や接遇などとして、14億円あまりが追加される見通しだという。
野党にせっつかれなければ、このままうやむやにするつもりだったのか。このようなブラックボックスばかりでは、国民の怒りの火に油を注ぐだけだ。
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