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※紙面抜粋
※2022年8月31日 日刊ゲンダイ2面
【宗教票で民主主義を冒涜】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) August 31, 2022
浅ましい自民党の選挙は全部イカサマ
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/fFgn9uhyi3
※文字起こし
自民党と統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との切っても切れない“腐れ縁”。岸田首相が党内調査について、「国民の不信を払拭するための、もう一段踏み込んだ方策」と意気込んでみせても、A4ペラ1枚という子供だましのアンケートしかやらないところに自民党の及び腰が表れている。朝日新聞の直近の世論調査では、自民党の政治家が統一教会との関係を「断ち切れない」が76%にも上り、決して切れない腐れ縁であることを、多くの国民が見抜いている。
決別できない最大の理由は選挙だ。連立を組む公明党の支持母体・創価学会の組織票に比べればちっぽけな塊とはいえ、統一教会は自民党にとって大事な固定票であり、選挙運動も含めた“選挙マシン”の機能を担っているからだ。
国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が連載する「週刊プレイボーイ」の最新コラムが興味深い。
<今回の問題を「統一教会と自民党の結託」という狭い範囲のみに限定し、あたかも彼らが日本を牛耳っているかのように解釈すると、事の本質を見誤ります。最も重要な問題は「自民党の節操のなさ」でしょう。統一教会であれ、日本会議であれ、創価学会であれ、選挙で「使える」組織なら個々の問題には目をつぶり、呑み込み続けてきた──この事実をどう総括するか。今後の日本政治、日本社会を考える上で重大な論点だと思います>
自民党の節操のなさ──確かにその通りだ。
統一教会側が、教団の関連イベントなどに出席してもらった政治家を“広告塔”として利用する一方で、政治の側も、統一教会が霊感商法などで問題となっている「反社会的団体」であることに目をつぶってきた。それは、牛耳られてきたというより、選挙のための打算であり、利用してきたと言った方が正しい。
そうした自民党選挙のカラクリは、7月の参院選(比例)に出馬せず引退した自民党の宮島喜文・前参院議員と現職(比例)に返り咲いた井上義行参院議員のケースでよく分かる。
「教団の力はすごいな」
宮島は2016年の参院選時、統一教会のフロント組織である世界平和連合から支援を受け、12万票超の得票で当選した。もちろん、票を差配したのは安倍元首相である。宮島は、「教団票は6万〜7万あったと思う」「教団の力はすごいなと思った」と朝日新聞の取材に語ったうえで、「教団とのつながりは選挙だけだ」と現金な本音を明かしている。
その宮島が今年7月の選挙での再選を断念したのは、安倍が教団票を宮島ではなく、自身の首相秘書官を務めた井上に回したことが大きい。3年前の19年参院選で約8万票で落選した井上は、今回、倍近い16万票超を得て当選。宮島の言う「教団票6万〜7万」が上乗せされたと考えれば計算が合う。
選挙期間中に教団の集会に参加した井上は、司会者の「井上先生はもうすでに信徒になりました」という発言と会場の拍手で歓迎され、「私の政治活動は、しっかりとみなさんの考え方を堂々と言うように、判断を仰ぐ政策を前に進めるものです」と挨拶してまで教団に媚びた。ところが、安倍銃撃を受けて統一教会問題が騒がれると、「私は信徒ではなく、賛同会員」「当該団体(統一教会)に関して指摘されている問題につきましては、党とも相談の上、適切に対応してまいりたい」と言い訳コメントを出し、逃げの一手だ。選挙に当選さえすれば、あとは知〜らねえ、という態度なのである。
井上の集会を取材したジャーナリストの横田一氏が言う。
「井上氏は統一教会からズブズブの支援を受け、そのおかげで当選したわけです。岸田首相が『国民の不信を払拭するため』と教団と所属議員の関係を本気で問題にするのなら、井上氏は自民党を離党するのはもちろんのこと、議員辞職したっておかしくない。しかし、いまも自民党議員のままです。8月3日の臨時国会召集日、井上氏は正門で待つメディアを避けるように裏から登院して逃げた。選挙さえ通ってしまえば、あとはウヤムヤで雲隠れ。あまりにふざけています」
統一教会は麻薬、一度付き合ったら抜けられない
自民党との関係において、選挙が「肝」であることを統一教会もよく分かっている。まとまった組織票はもちろんのこと、電話かけやポスター貼りなど無償で働いてくれる選挙ボランティアは頼りになる存在だ。政治家のスケベ心には、つけ入る隙がある。
銃撃のきっかけとなった韓鶴子総裁を称えるビデオメッセージへの出演を、安倍はなぜ了解したのか。ジャーナリストの鈴木エイト氏が入手した動画で、UPF(天宙平和連合)ジャパン議長で国際勝共連合会長の梶栗正義氏が舞台裏をこう明かしている。
「この8年弱の政権下にあって6度の国政選挙において、私たちが示した誠意というものをちゃんと本人が記憶していた」
全国比例で6万〜7万の組織票ならば、現状289の衆院小選挙区の1選挙区に単純計算で200〜250票程度。それでも大接戦なら喉から手が出るほど欲しい。選挙に強くない人なら、なおさらだ。渦中の萩生田政調会長が統一教会の関連団体の理事を務め、教団との関係を深めたとみられるのは落選中だった。
政治評論家の野上忠興氏がこう言う。
「昨年の衆院選で自民党は、1万票差未満の勝利が34選挙区、5000票差未満は17選挙区あった。激戦区になればなるほど確実に投票してくれる宗教団体票はありがたい。それに、選挙資金が苦しく、運動員も集まらない中で、熱心に動いてくれるボランティアは貴重。そうなると、一度でも統一教会と付き合ったら、麻薬みたいなもので、抜けられなくなる。もっとも、自民党は昔からそういう選挙をしてきた。古手の秘書は『選挙事務所に統一教会派遣のボランティアが出入りしているのは、日常風景だった』と話していました」
「もう自民には投票しない」
自民党と統一教会の癒着は安倍の祖父・岸信介の時代からで、半世紀にわたる。「反共産主義」で共鳴した両者だが、政治サイドの目的は、当時から選挙での支援と組織票だった。保守本流の宏池会(現在の岸田派)と経世会(現在の平成研究会=茂木派)が土建や農業など主要業界を押さえる中で、統一教会は傍流の清和会(現在の安倍派)へ近づき、清和会は宗教法人を所管する文科省に足場を築いた。第2次安倍政権の文科相6人のうち5人が清和会所属議員。そうやって統一教会との関係を強化することにより、安倍は6度の国政選挙で連勝を続けてきたのである。
勝つためには手段を選ばない卑しさ。自民党がいかに選挙のために統一教会と結びついてきたかが白日の下にさらされ、いまや有権者には嫌悪感が充満している。改めて「選挙をやり直せ」が国民の声だろう。宗教票で民主主義を冒涜している。浅ましい自民党の選挙は全部イカサマだ。
「自民党と統一教会の問題がクローズアップされ、ふわっとした保守層は『もう自民党には投票しない』と離反を始めています。いま選挙があれば、自民党はガタガタでしょう。反社会的団体によって家族離散したなどの話に日本人は敏感です。時間が経てば忘れるというものではありません」(野上忠興氏=前出)
モーリー・ロバートソン氏はコラムでこうも書いていた。
<統一教会の組織力など、有権者の総数から見ればたかが知れています。それでも統一教会の組織票が当落ラインぎりぎりの自民党議員にとって命綱となりえる最大の理由は、投票率が低いことです>
自民党選挙のカラクリを知った以上、有権者自身の意識改革が必要なのは言うまでもない。
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