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岸田首相は“人格破綻”が垣間見え…安倍晋三元首相殺害以降は権力欲の権化に 二極化・格差社会の真相
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/310580
2022/08/31 日刊ゲンダイ
国会は開かず重要な決定は閣議や内閣だけで(GX実行会議で「原発の新増設」を打ち上げる岸田首相=モニター画面)/(C)共同通信社
「この人はいったい何なのだろう。なぜ、ここにいるのだろう?」
作家の矢作俊彦氏が首相時代の森喜朗氏に与えた形容だ(朝日新聞2000年10月29日付朝刊)。岸田文雄氏にも同じ言葉を進呈したい。
理由はちと異なる。常識と判断力の致命的欠如を指摘された森氏に対し、岸田氏は人格の破綻が垣間見えるのが問題である。安倍晋三元首相が殺害されて以降の岸田氏は権力欲の権化だ。統一教会で大揺れの政局に乗じて、己の派閥(宏池会)による国民支配をもくろむ。国政選挙のない、いわゆる黄金の3年間は、民意ごとき屁でもないらしい。
護憲をはじめ、世をたばかってきた“政治理念”モドキも次々に返上。原発の新増設まで言い出した。アベ・スガよりはマシだと思い込んでいた自分の不明が恥ずかしい。
安倍銃撃からわずか6日の「国葬」表明が、思えば岸田政治の本質だった。もはや反対派が過半数を占めるとされ、声明を出した市民団体や弁護士会も多い。26日には全国の法律家や研究者ら118人が隊列に加わった。
基本的な主張は他の反対声明と同様だ。法的根拠の不存在。事実上の弔意強制は憲法19条違反。死者の政治利用でもあり、法的・道義的に許されない。記者会見では、こんな発言が注目された。
「統一教会の教義に基づけば、安倍元首相は今も霊界で生きている。サタンとの戦いを天から助けてくれる人。国葬は彼らの違法行為を励ますためにも使われます」(全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人の郷路征記弁護士)
「今回“お墨付き”を与えたのは内閣法制局。佐藤栄作元首相が亡くなった1975年には、閣議決定は行政権にしか及ばない、国葬には(司法、立法も合わせた)3権の合同(の賛同が)必要だとの見解を示した組織です。あの解釈はどうなったのか?」(西川伸一明治大学教授=現代国家分析)
反対声明を呼び掛けた「23期・弁護士ネットワーク」は1971年、裁判官を志望した司法修習生7人の任官拒否と、彼らにも発言の機会をと求めた阪口徳雄氏(後に弁護士)の罷免に直面した同期生らの集まりだ。思想・信条の統制に対する警戒心はきわめて強い。
いざ国葬となれば、ほとんどすべての自治体や学校、主要企業などが“お上”の意向に盲従する無残が、彼らには見えてしまっている。それがわかっているからこそ、岸田氏は強行したい。郷路弁護士の言う統一教会式のロジックに現政権もなお支配されたままでいる。
斎藤貴男 ジャーナリスト
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。
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