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※紙面抜粋
※2022年8月25日 日刊ゲンダイ2面
【結局 何から何までダメダメだ】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) August 25, 2022
コロナ罹患首相がコロナお手上げ宣言の喜劇
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/QNIOT6wKHb
※文字起こし
新型コロナウイルス「第7波」の対応に当たる医療機関や保健所の負担軽減策をめぐり、24日午後、オンラインで緊急会見を開いた岸田首相。全感染者の情報を報告する「全数把握」について、都道府県の判断で重症化リスク患者に限定することを可能にする方針を示したほか、水際対策を緩和し、全ての入国者に課している滞在国出国前検査を9月7日から条件付きで免除する方針も明らかにした。
「全数把握」見直しのきっかけは、全国知事会(会長・平井伸治鳥取県知事)の要望。23日に開かれた全国知事会の新型コロナウイルス緊急対策本部の役員会議で、「全数把握」は事務負担が重く、特定の医療機関のみに定期的な報告を求める「定点把握」の手法などを検討するよう求める声が相次いだのだ。
水際対策の緩和をめぐっては、政府は現在、ウイルスの流入リスクの低い順に各国・地域を青・黄・赤に分類。青の国・地域などでは日本到着時の検査を免除しているものの、現地出国前72時間以内の検査による陰性証明に関しては、区分にかかわらず全入国者に要求しているため、費用や時間がかかり、外国人の来日や日本人の海外渡航をためらわせる一因になっている──などと指摘されていた。政府は現在1日当たり2万人の入国枠を5万人まで増やす方針という。
全数把握見直しは現場に判断丸投げの裏返し
国内で新型コロナに感染して亡くなった人は23日に343人となり、1日当たりの死者数は年明け以降の「第6波」を上回って最多を更新。「第6波」で死者が最も多かった2月22日(327人)は大阪や神奈川、兵庫など8都道府県で全体の7割を占めていたが、「第7波」は43都道府県で死者が確認されている。
そんな中で、新型コロナの感染が判明し、公邸で療養生活を送りながらも、オンラインで公務を開始した岸田が、あえて緊急会見を開いたのは、強い危機感の表れだろう。
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)などの問題で政権支持率は急落。新型コロナ対応でも「後手後手」との批判にさらされれば、今後、さらなる支持率の落ち込みは避けられない。そのため、慌てて見直し策を打ち出したのは容易に想像できるのだが、新型コロナに感染した死者数が過去最多となり、収束の兆しが見えない中での「全数把握」の見直しは、果たして正しい判断と言えるのだろうか。
新型コロナをめぐっては、これまでも自宅療養中の軽症者があっという間に重症化して亡くなるケースもあった。「全数把握」の見直しで、重症化リスクの対象から外れた感染者の容体が急変した場合はどう対応するのか。
結局、岸田はその微妙な判断を「都道府県」や医療現場に丸投げしたとしか思えない。コロナ罹患首相が、コロナにお手上げ宣言したに等しく、喜劇と言っていいだろう。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏がこう言う。
「今回の全数把握の見直しには意味がありません。全数は把握しないけれども、保健所に届け出させるという枠組みを維持したままだからです。本当の意味で医療現場の負担軽減を考えるのであれば、医療機関から県などに直接、メールなどで送信する仕組みにすればいい。保健所を外せば手続きが簡素化し、全数把握も可能でしょう。岸田首相は保健所利権を握る厚労省の言いなりになっていて、医療現場や患者の視点に立っているとは思えません」
病床、検査キット、医療従事者のすべてが「無い無い尽くし」
そもそも新型コロナの感染拡大が始まってから2年半余り。保健所を中心とした日本のコロナ対策はずっと批判されてきたではないか。
欧米などが封じ込め策として、積極的にPCR検査数を拡大し、陽性者の早期発見、隔離へと動いていたにもかかわらず、この国では、専門家会議と称する連中が「検査をしなくてもクラスター(感染者集団)を追えば大丈夫」などと強硬に主張。ひたすら濃厚接触者を追いかけ続けた挙げ句、収拾がつかなくなったことを、よもや忘れたわけではないだろう。
保健所の業務は本来、感染経路の調査ではなく、感染者のケアに特化すべきだ。それなのに、厚労省の医系技官らはクラスター対策に固執し、保健所をデータ収集のため、利権のために独占的に利用してきたことが諸悪の根源だったのだ。
大体、この国では新型コロナの感染が拡大するたび、発熱外来窓口の拡充や専門病床の確保、後方支援病院の整備などが叫ばれてきたが、これらの提言がその後、生かされたためしがない。
岸田政権が昨秋に示したコロナ対策の「全体像」だって、感染拡大時には国の責任で病床確保の具体策を講じる、とあったはずだが、「第7波」が猛威を振るう現場を見ると、病床は足りない、検査キットは足りない、医療従事者も足りない──という、無い無い尽くしだからクラクラする。
岸田政権下で医療行政の崩壊が起きている
岸田政権はどんなにコロナ感染者が増えても、「緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を出す考えはない」と言い、「行動制限のないお盆休み期間」などとアピールしてきたわけで、当然、今のような感染の再拡大だって予想されただろう。
マトモな政府であれば最悪の状況に備え、国民生活をコロナから守るためにあらゆるシミュレーションを検討したはずだが、岸田政権は怒りを通り越して呆れるほど何もなし。
感染爆発してから右往左往。戦犯・厚労省を中心にいまだに失政の糊塗策を練るデタラメぶりだ。
そのため、検査は受けられず、病院にも行けない患者たちが町中にあふれ、とうとう自主検査の結果を自分で報告する仕組みを取り入れる自治体も出てきた。
すべての対応を国民や現場に丸投げで、「自助」をやたらと強調していた菅前政権の流れを引き継ぐ岸田政権からすれば、「自分で何とかせぇ」ということなのだろうが、そうであれば、もはや政府など必要ないだろう。国民は一体何のために税金を納めていると思っているのか。
一般市民は検査さえロクに受けられないのに、岸田は体調不良を感じてすぐにPCR検査を受けたというのも国民を愚弄する話だ。挙げ句、療養中の公邸に差し入れられたという高級ブドウ「ルビーロマン」を試食し、「甘酸っぱい味が口の中に広がる」などと笑顔で語っていたと報じられていたのも許せない。
検査も受けられず、病院にも入れず、自宅待機中に亡くなっている国民のことを総理大臣としてどう考えているのか。何から何までダメダメだ。
衆院事務局に30年余り勤めた元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
「はっきりしたことは岸田政権に新型コロナ対策は何もないということ。全数把握の見直しについても、良い悪いは別として、少なくとも安倍・菅政権の時代から続いてきた基本原則だったわけで、それを変えるのであれば国民に対して理由を説明するのは当然でしょう。ところが、オンライン会見でおしまい。首相として極めて無責任です。今、全国各地で医療崩壊が起きているが、医療行政の崩壊が起きていると言っていい。岸田政権に国民の生命、財産は守れません」
まさに無能としか言いようがない。
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