http://www.asyura2.com/22/senkyo287/msg/693.html
Tweet |
2022年8月18日 16時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/196569/1
https://www.tokyo-np.co.jp/article/196569/2
自民党右派を中心とする政界に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が浸透していた問題では、一つの素朴な疑問が浮かぶ。政界の右派のみならず、それを支える日本最大の右派改憲団体、日本会議なども同教会と「蜜月」関係を築いてきたことだ。日本の右派と同教会は戦前の日本のアジア侵略をめぐる歴史認識では全く相いれない立場だ。「反共」が共通項とはいえ、なぜ数十年にわたって協調してきたのか。(論説委員・田原牧)
◆「ジェンダー・フリー」を標的に
蜜月の象徴的な場面があった。2000年代前半に全国で吹き荒れた「ジェンダーフリー・バッシング」だ。ジェンダー概念や性教育などが標的とされた。
鹿児島県議会でも03年7月、「ジェンダー・フリー教育を行わないよう求める陳情」が採択された。
提出団体の代表は歴史教科書批判の右派団体の事務局長で、陳情の紹介者は自民党の県議だった。
この県議は当時、取材に1冊の冊子を示して「この内容に沿って県議会で質問した」と明かした。
「これがジェンダー・フリーの正体だ」と題された冊子の発行元は、日本会議のシンクタンク的存在である日本政策研究センター。
冒頭に「暴力革命は不可能になった代わりに、共産主義者は別の方法で必ず日本解体を目指す(略)ジェンダー・フリーによる性別秩序の解体という事態とは、まさしくこの『暴力革命』を代替する『別の手段』の一つなのです」と記されていた。
◆酷似した論理展開
旧統一教会も当時、バッシングに狂奔していた。関連団体「国際勝共連合(勝共連合)」の同年の運動方針「内外情勢の展望」には「共産主義者は青少年の堕落を誘うべく過激な性教育論を学校に持ち込んで(略)」とあった。
右派は復古的な家父長制の尊重、同教会は教義に沿った「純潔教育」が主張の根底にあったが、その論理の展開は酷似していた。
当時、国会でバッシングの急先鋒せんぽうだった山谷えり子氏(現・自民党参院議員)も旧統一教会の関連新聞「世界日報」の紙面に再三登場する一方、事務所のニュースレターには日本会議系団体が推奨する性教育批判の論文を紹介しており、双方に「配慮」していた。
しかし、不可解なのは歴史認識では対立するはずの両者の協調関係だ。
◆不可解な協調関係
日本会議は右派団体の連合体だが、天皇主義の宗教団体「生長の家」の元信者らが中枢を担ってきた。生長の家は1983年以降に自民党と距離を置くようになったが、元信者らの現役時代には「靖国神社の国家護持」を掲げ、「自虐史観の克服」を訴えていた。
一方、韓国が本拠である旧統一教会は、戦前の日本のアジア侵略に対し「日本の国家的悔い改めが必要」「日本という国の存在が人類全体にとってプラスなのか?マイナスなのか?」(関連団体「全国大学連合原理研究会」の青少年問題研究報告書2005)という立場だ。
にもかかわらず、両者の協調は長い。日本会議は97年に設立されたが、その準備過程ともいえる70年代後半の元号法制化運動では、熊本県で生長の家政治連合(生政連)と勝共連合などが協力し、法制化推進のための県民会議を結成している。
生政連が支援母体で、総務庁長官を務めた自民党議員、玉置和郎氏は勝共連合の顧問でもあった。
この協調関係は右派系文化人らの動きからも明らかだ。日本会議と関係する大学教授らは同教会系の団体「世界戦略総合研究所」でしばしば講演していた。彼らは同教会の関連団体「世界平和教授アカデミー」の機関誌にも執筆している。
◆右翼陣営の一部を激怒させた「事件」
では、日本の右派や民族派はこぞって、こうした旧統一教会側との関係を持っていたのだろうか。必ずしもそうではない。
勝共連合設立に向け、旧統一教会創立者の文鮮明氏と笹川良一氏、白井為雄氏(児玉誉士夫氏の代理)、畑時夫氏ら右翼の実力者らは67年、山梨県本栖湖畔で会合を開いたが、赤尾敏氏(大日本愛国党総裁)らは呼ばれなかった。
赤尾氏はその後、週刊誌で「あんなの(勝共連合)反動的ブルジョア反共運動だ。(略)現体制の擁護じゃないか」と批判した。
さらに右翼陣営の一部を激怒させる事件が起きた。世界日報元編集長の副島嘉和氏と元幹部の井上博明氏が月刊「文芸春秋」84年7月号に執筆した旧統一教会の内部告発である。副島氏らは編集方針の違いから解任され、同教会からも脱会していた。
記事の中で、副島氏らは旧統一教会には文鮮明氏と家族を前に主要国の元首たちがひざまずく儀式があり、天皇陛下の役を日本の旧統一教会会長が担っていると暴露した。この記事が出版される直前、副島氏は何者かに刃物で襲われ、重体に陥っている。
事件後、民族派団体「一水会」の代表だった鈴木邦男氏は「『彼らは反共だから味方ではないか』と言っていた右翼の人々も、これを読んだら、とてもそんなことはいえないはずだ。実際、『許せない』『こんな反日集団は敵だ』と激高していた人が多くいた。僕としても前から、その性格は漠然と知っていたが(略)愕然がくぜんとする思いだった」と週刊誌に寄稿している。
◆カネと動員力の「血盟」
だが、そうした批判が後に日本会議を設立する人びとに響くことはなかった。
それはなぜなのか。
ある右翼関係者は「日本会議を切り回す生長の家の元信者と原理研は『戦友』だから」と説明した。
60年代末に学園闘争が盛んだった時代、長崎大などで民族派学生運動を担っていた元信者らと旧統一教会の学生(原理研)らは全共闘系の学生らとの衝突で、ともに闘った間柄だった。その「血盟」が続いているという解釈だ。
一方、一水会の現代表である木村三浩氏は「勝共はカネも動員力もある。そして『反左翼』でとりあえず共闘する。同床異夢でも、安倍政権を支えることで一致していた」と話す。いわば、打算による野合だ。
加えて「勝共の初代会長は立正佼成会出身の人物。『日本の統一教会と韓国のそれとは違う』と説明した可能性がある」と語る。
実益のための利用だとすれば、自民党などの一部議員たちが、選挙などに無償で提供される労働力ほしさから、旧統一教会と関係を結んだことと大差はない。
◆協調関係をどう正当化? 沈黙する右派文化人
しかし、教会側にも利用する意図がある。相手が議員の場合、官憲からの組織防衛とともに、政策面への影響も狙ってきた。旧統一教会の月刊誌「世界家庭」(2017年3月号)には関連団体の総会長が活動方針の一つとして「議員教育の推進」を掲げている。
「こちら特報部」が指摘したように、少なくとも自民党の改憲たたき台案(18年)は、その前年に勝共連合が公開した改憲案と内容がほぼ一致している。
日本人信者を食い物にした資金が、旧統一教会から北朝鮮の現体制に流れていた構図がある。旧統一教会の教典「原理講論」では、朝鮮半島における日本帝国主義の「虐殺」「殺戮さつりく」が説かれている。反共で一致するにせよ、旧統一教会との協調を日本会議などはどう正当化するのか。
旧統一教会問題が再燃して以来、日本会議系の右派文化人らは総じて口を閉ざしている。そうした沈黙自体が旧統一教会による右派工作の産物の一つといえそうだ。
◆デスクメモ
原理講論は、旧統一教会の会員向けホームページで読める。それによれば、「日本はサタン側の国家」で「あらゆる民族はこの祖国語(韓国語)を使用せざるを得なくなる」のだという。こんな教団側と共闘してきた右派が、他者を「反日」だと攻撃する資格は全くないと思うのだが。(歩)
【関連記事】旧統一教会系と歩んだ安倍氏「3代」…スパイ防止法を巡る歴史から闇を読み解く
【関連記事】旧統一教会と岸一族と北朝鮮 この奇妙な三角関係をどう考えるべきか
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK287掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK287掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。