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※紙面抜粋
※2022年8月15日 日刊ゲンダイ
【統一教会総底なし総汚染】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) August 15, 2022
自民党の自称保守派の怪しい正体
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/3eACu8TdV8
※文字起こし
15日は77回目の終戦記念日。例年、閣僚や国会議員の靖国神社参拝が注目されるが、今年は超党派の国会議員でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」が終戦記念日の集団参拝を中止した。新型コロナウイルスの感染拡大などを踏まえてのことだという。
そんな中、10日の内閣改造で入閣した西村経産相が終戦記念日に先立つ13日に靖国を参拝。当日は台風8号の影響で東京都内でも激しい雨が警戒されていたが、モーニングに身を包んだ西村は私費で玉串料を納め、「衆院議員西村康稔」と記帳した。昨年10月の岸田内閣発足以来、閣僚の参拝が確認されるのは初めてだ。
「抜け駆け的にいち早く参拝して、自分こそが清和会(安倍派)の後継者だと名乗りを上げ、保守派の岩盤支持層にアピールする狙いでしょう。彼らしいスタンドプレーです」(自民党関係者)
西村はメディアの取材に対し、「祖国を守って戦火に倒れた英霊の安寧を心から祈った。安倍元首相を思い起こし、平和と繁栄のために全力を尽くすことを固く誓った」と神妙な顔で話していたが、本気で亡くなった安倍元首相のことを思い、後継として全力を尽くすことを誓うのなら、四十九日が終わるまでは参拝を控えるべきではなかったか。神道を畏敬し伝統を大切にする日本人であれば、普通は忌中に神社を参拝することを避けるものだ。
終戦記念日に合わせた靖国参拝こそ愛国保守の証しとばかりに自己アピールを最優先するのは、あまりに軽薄過ぎないか。
保守ではなく保身の政治家
「生前の安倍元首相を筆頭に、靖国参拝を重視するような自称保守派の政治家は、神道政治連盟や日本会議の影響を強く受けている。その多くが清和会を中心としたいわゆる自民党のタカ派です。ところが、そういう国粋主義に染まったウルトラ保守の政治家こそが、反日的なカルト宗教の統一教会と深く結びついていたことが分かってきた。統一教会は、侵略戦争と植民地支配という罪を背負っている日本は韓国に奉仕する義務があると教えている。本来なら、靖国を参拝するのは祖国のために命を落とした英霊に尊崇の念を表すことだと主張する自民党タカ派とは思想的に相いれないはずなのです。第2次安倍政権以降、顕著に嫌韓感情をあおりながら、一方では日本を蔑視する韓国の宗教団体とズブズブだったことの矛盾を清和会や支持者はどう納得しているのか。理解に苦しみます」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
実際、自民党と統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との“癒着”は底なしで、第2次岸田改造内閣において少なくとも7人の閣僚、20人以上の副大臣・政務官が接点を持っていたことが分かっている。
就任後に判で押したように「知らなかった」「今後は関係を見直す」と言っているが、反省の色はなく、その場しのぎにしか見えない。
「関係を認めた議員からも、統一教会への高額献金などの被害者に対する謝罪の言葉がまったくないことに驚きます。なにしろ、そういう問題が犯行を誘発して安倍元首相が殺害された可能性が濃厚なのです。自民党内から、統一教会のアコギな手法に対する憤りの声が上がって当然なのに、事件の背景を徹底解明すべきだという声も出てこないのは、教団との関係を断ち切る気がないか、もはや切るに切れないからだとしか思えません。統一教会の問題で多くの日本人が苦しんでいるのに、見て見ぬふりをする政治家のどこが保守なのか。宗教票は選挙で役立つからと、自分の保身しか考えていないのではないですか」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
イデオロギーより利権が大事な歴史修正主義者
統一教会と自民党、とりわけ清和会との関係は深い。
1958年に日本での布教が始まり、64年に宗教法人として認証されたが、その後ろ盾となったのが、安倍が敬愛する祖父の岸信介だった。
教団関係者がまとめた「日本統一運動史」によれば、当時の本部教会は岸の自宅に隣接し、岸内閣時代には首相公邸だった建物が使われていたという。日本の初代会長だった久保木修己氏は2004年に「美しい国 日本の使命」という本を出版しているが、その直後の06年に内閣官房長官だった安倍が著書「美しい国へ」を上梓し、「美しい国、日本。」と題した政権構想を掲げた総裁選で勝利して首相に指名された。
個人の人権よりも伝統的な家父長制の家庭像を重視する統一教会の教義は、日本会議など日本の宗教右派とも親和性が高い。友好団体である「国際勝共連合」の共産主義と戦うというお題目も自民党と相性がよかった。
10日に日本外国特派員協会で会見した統一教会の田中富広会長も、「基本姿勢は共産主義と対峙して進めている。その視点からいうと、自民党議員の方々がより多くの接点を持つ」と話していた。
そうして相互に手を取り合い、自民党の憲法改正案が統一教会や勝共連合の主張とそっくりになるまで共鳴してきたわけだ。
統一教会葬にも抗議しない
「清和会は長らく保守傍流で、経世会が建設業界などの集票団体と密接だったのと比べて足場が弱かった。それで宗教団体との結びつきを強めた面はあるでしょう。統一教会の組織票は岸信介から安倍晋太郎、晋三と受け継がれ、清和会が差配していました。安倍政権が長く続き、党のトップが親しくしている団体なのだから何の問題もないと、疑問も持たずに統一教会と関係を持つ若手議員が増えた。それで自民党はどんどん右傾化していったのだと思う。タチが悪いのは、統一教会の教義に感化されたことに本人も気づいていない可能性があることです」(自民党OB議員)
12日から15日まで統一教会の関連団体である天宙平和連合(UPF)は韓国で教祖の文鮮明氏の死去から10年の大規模イベントを開催しているが、初日に安倍を追悼し献花する時間がもうけられた。大スクリーンに安倍の画像を映写し、統一教会と共に歩んできたというような神格化。まるで殉教者の扱いだ。日本で国葬を執り行うのに先駆けて、さながら統一教会葬の様相だった。
自民党が「党として統一教会と関係はない」と言い張るのなら、これは抗議した方がいいのではないか。それとも、教団として弔意を示してくれたことに感謝しているとでもいうのか?
米国のトランプ前大統領もイベントにビデオメッセージを寄せたが、その出演料は100万ドル(約1億3500万円)といわれる。その大半は、日本の信者から巻き上げたカネなのである。
嫌韓感情を助長した安倍を自称保守派は熱烈に支持してきたのに、日本を蔑視する韓国第一主義の教団が安倍の死を悼む。実はズブズブの関係だったという矛盾に、支持者はどう整合性を持たせるのか。
「岸信介をはじめ、清和会はそもそも対米隷属ですから、成り立ちからして矛盾をはらんでいる。思想信条などないに等しいのです。安倍氏もそうですが、過去の歴史に向き合おうとしない修正主義だから、自分たちを正当化できればそれでいい。選挙で有利になるなら悪魔とも手を結ぶ。イデオロギーより利権が大事で、反日宗教と持ちつ持たれつの関係を続けることにも矛盾を感じないのでしょう。自分の利益のためには、国民の苦しみにも知らんぷりする。もはや“エセ保守”という言葉しか浮かびません」(五十嵐仁氏=前出)
保守を標榜してきた政治家ほど統一教会と関係が深いという事実は、日本政界の闇としか言いようがない。保守とは何なのか、表層的な言葉に惑わされずに判断する力が国民にも求められている。政権中枢のカルト化を許すわけにはいかないはずだ。
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