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清和会は飼い慣らされていたのか?
https://www.chosyu-journal.jp/column/24213
2022年7月31日 コラム狙撃兵 長周新聞
統一教会による政界汚染の酷さが徐々に明るみに出て、世間を唖然とさせている。清和会に至っては親分だった安倍晋三にはじまりその手下たちもこぞって関係を切り結び、選挙では応援までしてもらい、まるでズブズブだったことが暴露されている。戦後からこの方、日本社会では建前として「政教分離原則」などといってきたが、実態においては分離どころか一致ではあるまいかと思うほど、その関係や距離感は密だったことが明るみに出ている。学校で習う教科書の建前など大嘘であることを、日本の全ての子どもたちに教えてあげなければならない事態といえる。既に「民主主義」の看板が朽ち果て、根本から腐って落っこちているような光景なのである。
90年代に合同結婚式や霊感商法が叩かれて以後の30年、この教団がメディアに登場する機会はあまりなかったものの、むしろこの沈黙こそが浸透の成果だったのだろう。影響力が薄まり力を失ったからではなく、その逆で政界その他への影響力を強めたからこそメディアや司法を沈黙に誘うことができた――と見なすのが自然だ。政界だけでなく警察権力や司法、メディアにもその手は及んでいないか、さらなる追及が必要である。
末端信者たちやその家族たちの人生を崩壊させて積み上げられた巨額の宗教マネー――。それが政治家の手に渡っていた場合、課税申告もいらぬ使い勝手のよい裏金にもなろう。要は政治とカネの問題にも収斂(しゅうれん)するわけで、信者たちの悲劇を尻目にして、群がっていた連中の炙りだしは必至である。岸信介と教団教祖の文鮮明が昵懇(じっこん)の仲で、教団の立ち上げにも関与していたことは既に周知の事実であるが、カネのかかる自民党の権力闘争において、清和会の権力の源泉としてこの宗教マネーが威力を発揮していたといわれても何も驚かないし、さもありなんと思えるから不思議である。でないと、どうして清和会の下っ端までがあんなに韓鶴子様々な対応をするのか解せないし、なんだかさもしい連中が飼い慣らされているように見えて仕方がないのである。
今回の元首相射殺事件を経て、清和会所属の議員どもときたら競うように教団総裁の韓鶴子を崇め奉る関係が出来上がっていたのがバレて、ホームページから慌てて写真を削除したり、すっとぼけたり、見苦しい対応に終始している。衆議院議長の細田に至っては、「政治を動かす」を意図している教団の大会に出かけて韓鶴子を称賛し、「盛会を安倍晋三総理にご報告したい」とのべるなど、もはや政教分離原則などどこへやら、彼らの間には垣根など何もないことをあらわした。このような男が立法府のトップであり続けることもまたデタラメといえる。憲法で謳った政教分離の原則を衆議院議長みずから土足で踏みにじっているからである。
政教分離でいえば、統一教会に限らず創価学会=公明党が自民党の補完勢力なのも歴然とした事実で、自民党政治家は学会の組織票を上積みしてもらうことで当選を果たしてきた面々も少なくない。選挙区の万をこえる宗教票をガッチリと固めて回してくれるのだから、足を向けて寝られない関係である。その他にも例えば山口4区を見てみても、立正佼成会とかPL教団、お光りさんに至るまでみな安倍派の応援団である。そうして地方選になると、統一教会は市議選では井川典子(安倍派・下関市議会副議長)、県議選になると友田有(安倍派)に組織票を回していることなどは有名な話で、それぞれの宗教団体の組織票が上手に自民党地方議員たちに割り振りされる様は見事である。
政治日程としては改憲が動き出そうとしているものの、今ある憲法すら遵守しない側が何をかいわんやである。憲法で謳った政教分離の原則を逸脱しまくり、カルト宗教による政界汚染が広がっていることがわかった今日、まず急がれるのはその除染であろう。
吉田充春
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