http://www.asyura2.com/22/senkyo287/msg/405.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2022年7月25日 日刊ゲンダイ2面
【弔問外交という欺瞞】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) July 25, 2022
国葬ならばプーチンを呼ぶのが当たり前
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/KymXUgQQSF
※文字起こし
国会審議も経ないまま閣議決定された安倍元首相の「国葬」の準備が始まった。9月27日に日本武道館で行われる安倍の国葬には各国から要人が参列し、いわゆる「弔問外交」が展開される見通しだ。
政府が内閣府設置法を根拠として国葬実施を閣議決定した22日、内閣府には事務局が設置された。事務局は森昌文首相補佐官をトップに内閣府や財務省、外務省、警察庁などの職員約20人で構成。式次第や費用などについて検討を進める。
外務省にも約30人体制の準備事務局ができた。石月英雄アジア大洋州局参事官が事務局長に就き、海外要人の受け入れ調整を行う。さっそく、22日のうちに日本と外交関係のある195カ国と、台湾や香港などの4地域、約80の国際機関に国葬の日程を伝えたという。
もちろん、国交のあるロシアにも国葬の開催は通知している。しかし、仮にプーチン大統領が参列を希望しても拒否する方針というから、よく分からない。
「ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、日本政府は侵攻に関わったロシア高官へのビザ発給を停止し、事実上の入国禁止措置を取っている。安倍氏と親交があったプーチン氏が弔問を希望しても例外扱いはしない。もしプーチン氏の参列を認めれば、日本がロシアのウクライナ侵攻を容認したかのような間違ったメッセージを国際社会に与えかねません」(官邸関係者)
日本側の制裁への報復措置として、ロシアも今年5月に日本の政治家やジャーナリストら63人の入国禁止リストを発表。岸田首相を筆頭に林外相や岸防衛相、高市政調会長らが対象とされたが、そこに安倍の名前はなかった。北方領土問題は何ひとつ進展しなかったが、蜜月関係にあった安倍とプーチンの友情は、今も続いているのだろうか。
「国葬を行うことの是非とは別問題として、ロシアに案内を出しておきながら参列を拒否するというのは、外交儀礼上、あまりに失礼です。そもそもプーチン大統領に来日する気があるか疑問ですが、安倍元首相と何十回と会談を重ねて親交が深かったプーチン氏が哀悼の意を示し弔問に訪れたいというのなら、断る理由はないはずです。“村八分”という言葉がありますが、これだって、葬式と火事は例外なのです。少なくとも、わざわざ拒否する方針をあらかじめ周知する必要はありません」(元外務省国際情報局長の孫崎享氏)
2人が見ていた同じ未来
首相時代の安倍はプーチンと27回も会談し、「シンゾー」「ウラジーミル」と呼び合う関係を誇っていたものだ。2019年にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムに出席した際は、「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」と熱烈なラブコールを送り、「ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか」と高らかに呼びかけていた。
2人が夢見たゴールにたどり着く前に凶弾に倒れた安倍の無念はいかばかりか。生前の関係を思い返せば、あれだけ親密だったプーチンも参列できないなら、国葬ではなく「内閣・自民党合同葬」で十分なのではないか。
それに、政治的な対立等はさておき、故人を悼むという一点で往来し、各国首脳が集まることができるのが弔問外交のメリットでもあるはずだ。むしろプーチンに参列を促し、こうした貴重な機会をとらえてウクライナ侵攻に直接抗議するとか、停戦を説得するとか、岸田首相が外交手腕をアピールする絶好のチャンスにもなり得る。あのプーチンを懐柔できれば、岸田の株も上がるというものだ。
「もちろん、これだけの戦争が弔問外交をきっかけにすぐ終わるわけはありません。しかし、各国首脳が集まるなかで、岸田首相がプーチン大統領と会話を交わす。そういうパフォーマンスを見せられれば、国際社会で日本外交のプレゼンスも高まるというものです。そういうしたたかな外交ができなければ、何のための国葬なのかということになります」(ジャーナリスト・武田ョ政氏)
バイデンもトランプも習近平も来ないショボい外交舞台
弔問外交では、プーチンが大統領令に署名して接収を決めた極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で、希望する日本企業が事業を継続することについても、何らかの話し合いを持てる可能性もある。
それなのに、日本政府が真っ先にプーチンの国葬参列を拒否すると大メディアに書かせたのは、ひとえに米国に気を使ってのことだ。ロシアとの戦争はウクライナを支援する米国との代理戦争の様相である以上、日本はロシア弔問を断固拒否して常に米国に追従するという恭順の意を表したのだ。
ところが、その肝心の米国のバイデン大統領は来日しないとの見方が強い。現在、コロナに感染して自主隔離中のバイデンは、支持率低迷に悶絶し、11月の中間選挙のことで頭がいっぱいだ。同様に、安倍と親しかったトランプ前大統領も中間選挙での捲土重来が最重要課題で、1票にもならない訪日に時間を割いている余裕はない。
中国の習近平国家主席も来ないとみられる。2000年に行われた小渕元首相の内閣・自民党合同葬の際は、当時のクリントン米大統領や金大中韓国大統領が来日したが、中国は当時の副首相を派遣した。今回も副首相か外相クラスが参列する可能性が高い。
安倍とG7などで何度も顔を合わせた英国のジョンソン首相も先日辞意を表明。9月5日に新首相が決まる。
朝日新聞デジタル(22日付)は、岸田が国葬の決定を急いだ舞台裏をこう書いていた。
<背景には、安倍氏が長期政権で外交関係を築いた外国要人への対応もあった。要人来日の準備には時間がかかる。政府高官は「要人を招待するためには早めに決めなければいけなかった」と明かす。「国葬という高い評価をすることで、日本に派遣される要人のレベルも高くなり、『弔問外交』につながる。合同葬だったらそうはいかない」。首相は周囲にそう説明した>
第2次安倍政権で5年間も外相を務めた岸田は、国葬を大々的な弔問外交の場にし、安倍の外交的遺産も引き継いで、「外交の岸田」を世界にアピールする場にしたかったのだろうが、プーチンもバイデンもトランプも習近平もジョンソンも来ない。こう言ってはなんだが、もくろみ外れのショボい外交舞台になりそうで、国葬にしたことも意味不明になりそうだ。
「高い格式の弔問外交なんてこじつけで、党内の安倍派や岩盤支持層と呼ばれるタカ派におもねって国葬を決めたのが実情でしょう。そういうご都合主義だから、安倍元首相が親しくしていた国家首脳は軒並み来ないという事態になり、弔問外交の欺瞞が表出しているのです」(孫崎享氏=前出)
宏池会が仕切り保守派の出番なし
皮肉なのは、タカ派に配慮したはずの国葬の葬儀委員長が岸田で、海外要人の受け入れ担当が林外相と、ハト派の宏池会が仕切ることだ。党内保守派の出番はない。「安倍元首相のご遺志」を引き継ぐ者が今後の政界のキーマンになり、それを岸田が奪いに行ったということなら、賛成・反対で国論が二分されても、国会での説明も無視して突き進む岸田の思惑はここにあるのかもしれない。
「国葬実施は、岸田首相が党内で主導権を握るためかもしれないし、安倍元首相の横死で露見した統一教会と自民党の癒着から目をそらす目的かもしれない。どんな思惑だろうが、法的根拠がなく憲法違反の可能性もある国葬を強行することは許されません。岸田首相は国葬の理由として『民主主義を守るため』などと言っていますが、国民世論に反対意見も多いのに、国会での審議もせず、閣議決定で国費投入を決めてしまうことが民主主義への挑戦ですよ。悲劇を利用して安倍氏を神格化し、岸田政権の求心力を高める政治的思惑が透けて見え、内閣支持率も下がるのではないでしょうか」(政治評論家・本澤二郎氏)
小さな誤算が大問題に発展して政権崩壊に至る例は過去にも枚挙にいとまがない。国葬期日まで2カ月あまり。岸田のもくろみは成就するのか。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK287掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK287掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。