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国葬を規定する法的根拠なし
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2022年7月17日 植草一秀の『知られざる真実』
国葬の法的根拠があいまいであることについて、岸田首相が、内閣府設置法第4条(所掌事務)33項「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」が法的根拠であるとしていると報じられている。
御用新聞と化す産経新聞は
「安倍氏国葬、内閣府設置法が根拠 「国の儀式」に」
の見出しで伝えている。
法的根拠があいまいであるとの指摘に対し、根拠は明白と主張したいのだろう。
しかし、まったく答えになっていない。
内閣府設置法の定めは以下の通り。
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、内閣府の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織に関する事項を定めることを目的とする。
(任務)
第三条 内閣府は、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする。
(所掌事務)
第四条 内閣府は、前条第一項の任務を達成するため、行政各部の施策の統一を図るために必要となる次に掲げる事項の企画及び立案並びに総合調整に関する事務(内閣官房が行う内閣法(昭和二十二年法律第五号)第十二条第二項第二号に掲げる事務を除く。)をつかさどる。
三十三 国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)。
内閣府設置法の規定は、
「国の儀式」の企画及び立案並びに総合調整に関する事務をつかさどることを任務とする
ことを定めているに過ぎない。
いま、問題になっているのは、「国葬」が、内閣府設置法が定める「国の儀式」であることを定める法的根拠がないこと。
戦前、岩倉具視や伊藤博文、山縣有朋などの首相経験者に「国葬」が実施されたが、1947年に法的根拠である「国葬令」が失効した。
国葬令が失効したのは1947年に日本国憲法が施行されたことによる。
日本国憲法に次の条文が置かれた。
第20条 【信教の自由】
第1項 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
第2項 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
第3項 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第1項は、いま問題となっている統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)と国との関係にかかわる条文だが、国葬との関係では第2項、第3項が問題になる。
第2項には「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない」こと、
第3項には「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」ことが規定されている。
国葬は、
1.宗教行事の側面を強く有する
2.国民に政治的評価ならびに弔意を強制することにつながる
3.費用全額の負担を国民に強制する
点に問題がある。
首相経験者の死去に際しての対応では内閣と自民党による「合同葬」が主流。
鳩山一郎氏、池田勇人氏、石橋湛山氏らの場合は「自民党葬」。
首相経験者でも政府が関わらない形での葬儀が執り行われたケースも少なくない。
岸田首相は記者会見で、安倍氏が選挙中の襲撃事件で死去したことを踏まえ、国葬を執り行うことで「我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」と発言したが現実に適合していない。
今回の銃殺事件は民主主義を否定するテロではなく、安倍氏に対する山上容疑者の怨恨が事件の主因だと見られている。
国葬が「我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」ことになるとは考えられない。
岸田文雄首相は7月14日の記者会見で、安倍晋三氏が憲政史上最長の通算8年8ヵ月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力で我が国のために首相の重責を担ったことを挙げたが、首相在任日数では国葬が実施された吉田茂氏より佐藤栄作氏の方が多い。
また、国葬が実施されない首相経験者は「卓越したリーダーシップと実行力」を保持していない、あるいは「我が国のために首相の重責を担っ」ていなかったと判断するのか。
血税を注ぐ儀式を実施するに際しては明確な法的根拠が必要不可欠。
首相経験者の死去に際しての国としての対応について明確な法的基準が存在しない。
このことが問題だ。
国葬実施を強行しようとすれば賛否の激論が交わされることになる。
このことが死者を貶めることに気付く賢明さを保持するべきだ。
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