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維新の「限界」参院選で露呈…全国政党の野望またも砕け散り“ポスト松井”も不透明
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/308109
2022/07/12 日刊ゲンダイ
いつになくしおれた雰囲気(記者の質問に応じる吉村洋文副代表、右は松井一郎代表=10日、参院選・日本維新の会開票センター)/(C)日刊ゲンダイ
あの鼻息の荒さは何だったのか。昨秋の衆院選で“躍進”した勢いに乗り、参院選で立憲民主党を蹴散らし、野党第1党の座をモノにすると息巻いていた日本維新の会が振るわなかった。獲得議席数は選挙区4、比例8の計12議席。改選6議席から倍増の「最低でも12人以上」とした目標にはギリギリ届いたものの、選挙区では散々だった。
10日夜、大阪市内で会見した松井代表(大阪市長)は、いつになくしおれた雰囲気で「われわれは力不足。負けを認めざるを得ない」と敗戦の弁。全国政党化の野望はまたも砕け散った。
東京、京都、愛知で落選
維新が擁立したのは19選挙区に20人。比例票上積みを狙い、比例区は前回の倍近い26人に上った。しかし、「最、最、最、最重点区」と位置づけ、松井代表と吉村副代表(大阪府知事)が精力的に遊説した京都(改選数2)も首都の東京(6)も敗北。2トップは茨城(2)、栃木(1)、埼玉(4)、愛知(4)、奈良(1)、福岡(3)にも出張ったが、いずれも敗れた。
新規開拓は1議席もならなかった。
フタを開けてみれば、議席を取ったのは現職がいる大阪(4)の2議席、兵庫(3)の1議席、神奈川(4+1)の1議席のみ。「二枚看板」に偽りアリだ。
新人が追い上げていた奈良では最終盤、演説中の安倍元首相が銃撃されて死去。前代未聞の事件発生の影響はゼロではないだろうが、それにしても、の体たらくだ。
在阪ジャーナリストの吉富有治氏はこう言う。
「維新は議席数こそ伸ばしたものの、胸を張って『勝った』とは到底言えない結果です。松井市長と吉村知事が各地を回って『大阪の実績』を訴えたところで、しょせんローカルな話に過ぎず、ヨソの有権者には響かなかったということ。京都府民からすれば、『私らにはよう分からん』でしょう。そもそも、維新が大阪で圧倒的な強さを誇っているのは、行政、議会、マスコミを牛耳るトライアングルがあってこそ。10年以上にわたって知事と市長のポストを独占し、府内の市町村の半数近くが維新系列の市長や町長らで、地方議員は200人を上回る。組織力は抜きんでています。強権政治を前に、在阪マスコミの忖度が常態化している。こんな現象は他では見られません」
創業者を失う維新の「迷走の始まり」に
大阪市議を辞職した海老沢氏は東京で落選(C)日刊ゲンダイ
大阪都構想が破綻したことで来春の任期満了で政界引退を明言している松井代表は、10日の会見で早々に「引退を決めている人間がいつまでも党のトップにいるというのもおかしいので、次の代表に引き継ぎたい」と代表辞任を表明。
もっとも、維新の党規約は代表の任期について衆院選や参院選などの大型選挙の90日後までと規定していることから、既定路線ともいえる。いい加減ケツをまくりたいのだろうが、「ポスト松井」は不透明だ。客寄せパンダの吉村は「知事の仕事、大阪維新の会の代表の仕事に専念したい」と従来の発言を繰り返している。
「維新が国政で存在感を増してきたのは、松井市長と懇意の安倍元首相や菅前首相が大きな後ろ盾となっていたからです。ところが、安倍元首相は不慮の死を遂げ、菅前首相も一時ほどの影響力がない。第2次安倍政権時代に誘致した2025年開催の大阪・関西万博は盛り上がりに欠けているし、カジノを含む統合型リゾート(IR)も不透明になってきた。松井市長にとっては潮時ですが、創業者を失う維新の迷走の始まりになるのではないか。維新は地域政党の大阪維新の会に国政政党の日本維新の会がぶら下がるいびつな構造。松井市長のように重しの役割を果たせそうな人物は見当たらない。大阪の地方議員と国会議員の対立は鮮明ですし、分裂含みの展開になるのではないか」(吉富有治氏)
集票をあてにして手当たり次第に候補を立てた比例では、元マラソン選手の松野明美氏、歌手の中条きよし氏、公選法違反で都知事辞職に追い込まれた猪瀬直樹氏らが当選。いろんな意味で波乱が待ち受けていそうだ。
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