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※2022年7月9日 日刊ゲンダイ2面
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※2022年7月9日 日刊ゲンダイ5面
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安倍元首相暗殺の謎 卑劣な蛮行の背景と混迷政局の今後 (下)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/308045/2
2022/07/09 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
「悲報」は10日の投票や今後の政局にどんな影響を与えるのか
死去を伝える大型モニター(C)日刊ゲンダイ
9日の選挙戦最終日。自民党は「暴力に屈しないとの断固たる決意の下、選挙活動は予定通り進める」(茂木幹事長)として遊説を実施。全国の自民候補の街頭演説では安倍の“功績”や“無念”が訴えられている。
今度の選挙は岸田政権へ受け継がれた「アベ政治」への審判でもある。賃金が上がらない中での円安物価高は、アベノミクスの失敗が背景にあるし、防衛費増額や改憲に執心してきたのが安倍だった。投票日2日前の突然の死は、有権者の行動にどんな影響を与えるのか。
「選挙期間中の急死では、1980年の参院選時の大平正芳元首相を思い出させます。あの時は病死でしたが、『弔い合戦』となり自民党が大勝した。今回も同情票が増えることになるでしょう。特に、岸田政権になって右寄りの『岩盤保守層』が離れる傾向があり、選挙区は自民でも、比例は維新や他政党へ投票する使い分けが出るとみられていた。そうした岩盤保守層が、比例も自民へと戻る現象が起こるのではないか」(政治評論家・野上忠興氏)
選挙後の政局にも、安倍の死は大きく影響しそうだ。岸田政権の「骨太の方針」で財政政策や防衛費の記述に口を出してきた安倍は、岸田の政権運営を是としていたわけではなく、「選挙後は内閣改造や党執行部の人事などをめぐり、岸田VS安倍のバトル必至」と囁かれていた。
「『反主流派』の中核だった安倍さんが亡くなり、政局的には岸田首相は『敵ナシ』になった。『黄金の3年』どころか次の総裁選も乗り越え、『黄金の6年』を狙うことになるのかもしれません」(野上忠興氏=前出)
SNSに<かつて大平正芳氏が選挙期間中に病死し、自民党はそれを利用して勝利しました。同情と政治的な共感は厳格に分け、慎重な投票行動が必要だと思います>という書き込みがあった。確かに、その通りである。
司令塔を失った安倍派の迷走
領袖の急死により、93人を擁する自民党最大派閥「清和会」の先行きも怪しくなりそうだ。
安倍は昨年11月に9年ぶりに派閥に復帰し、会長に就任した。しかし、安倍が直前の自民党総裁選で高市早苗政調会長を推したことが尾を引き、派閥全体から会長就任を大歓迎されたわけではなかった。そんなガタついた内情だから、早速、後継の派閥会長争いが水面下で勃発しているという。
「西村康稔前コロナ担当相は、安倍氏が奈良で銃弾に倒れたことを知ると、すぐに神戸から飛んでいった。一方、東京にいた萩生田光一経産相は、すぐさま国会の安倍事務所に入り、方々に指示を出していた。世耕弘成参院幹事長も色気アリ。醜悪な後継バトルがすでに始まっています」(政界関係者)
もともと清和会の源流は、安倍の祖父・岸信介元首相で、派閥創設者は福田康夫元首相の父であり、達夫総務会長の祖父である福田赳夫元首相だ。派内には厳然と「安倍系」と「福田系」が存在し、政策的な路線の違いもあり、決して一枚岩ではない。
「きょうあすとは言いませんが、清和会はこの先、分裂含みでしょう。参院選当選の新人も入れば、100人を超す3ケタの大派閥になる可能性がある。しかし、そんな大集団を率いるだけのカリスマ性や集金力のあるリーダーは見当たらない。安倍氏の父で清和会会長も務めた晋太郎氏がかつて、『派閥は大きければいいわけじゃない。維持するのが大変』と言っていたことを思い出します」(野上忠興氏=前出)
清和会は来週早々にも幹部会を開いて今後について協議するというが、司令塔を失い、迷走は必至だ。
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