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※紙面抜粋
※2022年7月1日 日刊ゲンダイ2面
【目下の戦犯は幹事長という大笑い】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) July 1, 2022
どんどん票が減っている 自壊が続く自民党
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/nXQgyXtPZ8
※文字起こし
自民党の圧勝だとみられていた「7.10参院選」。序盤の朝日新聞の情勢調査でも、自民党は現有の「改選55議席」から「66議席」に大きく議席を伸ばすと予測されていた。
ところが選挙戦の後半に突入し、潮目が変わりはじめている。「物価高」が最大の争点になり、対策を打たない岸田政権に対して有権者の不満が広がっているのだ。
共同通信の調査(6月26〜28日)によると、物価高への首相の対応について「十分だとは思わない」は79.8%だった。東京新聞の調査(25〜26日)でも、「日常生活で物価高の影響を感じる」が88.9%に達し、岸田政権の経済政策を「評価しない」が57.3%、投票先を決める時に重視するのは「物価高・景気」が26.0%で最多だった。
さらに、NHKの調査(24〜26日)によると、参院選で「与党の議席が増えた方がいい」は24%、「野党の議席が増えた方がいい」は28%と、野党の議席増を期待する有権者の方が多かった。
自民党の候補者も、世論の変化に慌てはじめているという。現在、情勢はどうなっているのか。選挙情勢に詳しいジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「自民党にとって苦しいのは、野党が物価高対策として掲げている“消費税減税”が、説得力をもちはじめていることです。選挙区を回ると、有権者から『やっぱり消費税率を下げた方がいいのじゃないか』という声が上がりはじめている。物価高に苦しむ有権者が多いのでしょう。風は野党に吹きはじめている。勝敗を決する32ある1人区も、野党の共闘が不発に終わったため、自民党が大勝するとの声が強かったが、意外にも野党が善戦している。当初、自民党が落とすのは、青森、岩手、山形、長野、沖縄の5選挙区程度とされていましたが、新潟、山梨、大分も野党が勝利する可能性が出ています」
岸田政権の物価対策を批判する地方紙もあらわれている。「物価高」への不満と「消費税減税」を求める声が大きくなれば、宮城、福島、岡山、愛媛といった自民党が強い1人区も情勢が変わる可能性がある。
物価高に無策の岸田首相
実際、物価高で国民の生活は限界にきている。なのに、岸田首相はロクに何もやっていないのだから、国民が怒るのは当然である。
値上げラッシュは深刻だ。食品では、食パンや缶詰、ポテトチップスなどが2度目の値上げを予定している。帝国データバンクの集計によると、主要食品会社の7〜8月の値上げは、定番商品を中心に4229品目で実施されるという。年内累計では最終的に2万品目を超える可能性が高い。
円安も放置したままだ。とうとう、24年ぶりに137円台に下落してしまった。この先、輸入物価が上がるのは避けられないだろう。
「米原油先物相場の平均が1バレル=110ドル程度で、円相場が平均で1ドル=135円程度で推移した場合、今年の家計の出費は2人以上の世帯で、前年比6万5000円程度増えると試算されています。賃金が上がる見込みがないため、負担感はさらに増す可能性があります」(アナリスト)
それなのに、岸田は「世界が7〜9%の物価高騰に苦しむ中、日本は2%程度に抑えられている」と胸を張り、効果不明の「節電ポイント制度」なんて打ち出しているのだから、国民の多くが不満を抱くのは当たり前の話だ。
火に油を注いだ「年金3割カット」発言
国民が岸田自民党に不満や怒りを募らせているのは、物価対策だけじゃないだろう。なにしろ、怒りに火をつけるような出来事が頻発している。
茂木幹事長は「消費税減税なら年金は3割カットだ」と国民を恫喝しているのだから、有権者が怒らないはずがない。
NHKの日曜討論で、野党各党から物価高対策として消費税の減税や廃止を求められると、「消費税を下げるとなると、年金財源を3割カットしなければなりません」と吐き捨てている。さすがにネット上でも〈年金を人質に取った脅し〉〈国民に対する脅迫だ〉と批判が噴出している。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「そもそも、消費税が社会保障のために使われているという主張は大ウソです。消費税は使途が決められた目的税ではありません。実際、消費税が8%から10%に引き上げられる8カ月前の2019年1月の衆参本会議で、当時の安倍首相は『増税分の5分の4を借金返しに充てていた消費税の使い道を見直す』と発言し、社会保障費ではなく、借金返済に回されていたと明らかにしています。どうして茂木幹事長は、国民の感情を逆なでするようなことを口にしたのか。完全に墓穴を掘っています」
さらに、6月30日には、自民党の国会議員による議員懇談会の会合で、「同性愛は精神障害で依存症」などとLGBTを差別する内容の冊子が配布されていたことが発覚している。冊子が配られたのは、自民党議員が集まる「神道政治連盟国会議員懇談会」の会合。懇談会には、岸田首相や安倍元首相を含む200人以上の自民党議員が会員として名を連ねている。冊子には〈(同性愛は)後天的な精神の障害〉〈回復治療や宗教的信仰によって変化する〉といった同性愛者を蔑視する言葉が書き連ねてあった。
心ある国民は、自民党に対して強い怒りと嫌悪感を持ったに違いない。
さらに、18歳の女子学生に酒を飲ませた「パパ活」問題がくすぶる吉川赳衆院議員も“雲隠れ”したままで、結局、夏のボーナス286万円が支給されてしまった。
「LGBTの蔑視など、世界の潮流から逆行する考え方で、時代錯誤にも程がある。また、18歳女性とのパパ活など言語道断です。政策の是非以前の問題で、自民党には人としての資質を欠いた恥ずかしい議員ばかりが集まっている印象です。さすがに有権者も、そんな政党に政治を任せていいのか、と思い始めているでしょう」(五十嵐仁氏=前出)
もともと腐敗堕落の破廉恥政党が、長い選挙戦で次々と馬脚をあらわしている格好だ。自民票がどんどん減っている。
投票率が結果を決める
はたして、選挙結果はどうなるのか。
カギは物価高に対する国民の不満がどこまで広がるのか、有権者の怒りが投票につながるのかどうかだ。
1998年の参院選、盤石だとみられていた自民党が、橋本首相の「恒久減税」発言をきっかけに大敗したのも、火がついた有権者がどっと投票所に足を運んだからだ。過去10回の参院選のなかで最高の投票率を記録している。
いま、岸田自民党に対する国民の怒りは鬱積している。有権者が一票を行使すれば、選挙結果は劇的なものになるのではないか。
「岸田自民党は、消費税減税を求める国民に対して『だったら年金は3割カットだ』と凄む一方、軍事費は2倍にするとムチャクチャなことを口にしている。国民が不満をためているのは間違いないでしょう。ただし心配なのは、安倍政権以降、政治に期待するのを諦めてしまったのか、不満を持ちながら選挙になっても棄権する有権者が増えていることです。もし、7.10参院選で自民党が勝利したら、この先3年間、国政選挙は行われない可能性が高い。はやくも岸田周辺は“黄金の3年間”などとはしゃいでいる。有権者は、この参院選を貴重な機会だということをよく考えるべきです」(政治評論家・本澤二郎氏)
選挙戦の後半に突入し、潮目は変わりはじめている。有権者は絶対に投票所に行き、怒りの一票を投じるべきだ。
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