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※紙面抜粋
※2022年6月30日 日刊ゲンダイ2面
【これが抑止力になるのか】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) June 30, 2022
何をノコノコNATOまで 岸田首相の恐るべき勘違い
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/lBIeCMV9KO
※文字起こし
政権交代につながることはないとはいえ、青天井の円安物価高が争点となっている参院選(7月10日投開票)をほっぽり出し、異例の外遊に出ている岸田首相は世界の首脳と連日肩を並べて得意満面だ。ドイツ南部エルマウで開かれたG7サミットを終え、29日からスペインの首都マドリードで開催中のNATO(北大西洋条約機構)の首脳会議に加わっている。
日本の首相の出席は初めて。「この機会を捉えてNATOとの連携を新たなステージに引き上げたい」と意気込む岸田は、スペインの主要紙「エル・パイス」(電子版)に「NATO首脳会合出席に当たっての日本のヴィジョン」と題した決意表明を寄稿。
侵略戦争を止めようとしないロシアや核・ミサイル開発を強行する北朝鮮に言及しながら、「ウクライナ危機により、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であることを改めて認識した」「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と決まり文句を並べ、前のめりの割には中国の名指しを避けながら、防衛力強化の方針をこう書いていた。
〈日本は、ウクライナ危機や東アジアの厳しさを増す安全保障環境も踏まえ、本年末までに新たな国家安全保障戦略を策定し、5年以内に防衛力を抜本的に強化する決意。いずれの国もその国の安全を1か国だけで守ることはできない。私自身、強力に「新時代リアリズム外交」を展開し、外交と安全保障を両輪として動かしていく〉
敵基地攻撃能力の保有にこそ触れなかったものの、「5年以内にGDP比2%以上の防衛費実現」を事実上、国際公約。被爆地の広島県選出を押し出し、「軽武装、経済重視」の自民党宏池会のイメージを最大限利用して、ハト派イメージを振りまきながら、その実ハイペースで軍拡を推し進める。それが岸田の正体だ。
東西ぐるり中ロ包囲網の形成
ウクライナ戦争の勃発から4カ月。NATOを主導する米国と関係が深い日本、韓国、豪州、ニュージーランドが「パートナー国」として首脳会議に招待されたのはなぜか。
「民主主義VS専制主義」を掲げ、中国とロシアを敵視するバイデン政権の思惑によるものだ。アジア太平洋地域の主要4カ国をNATOに引き込み、東西からぐるりととりかこむ中ロ包囲網の形成である。果たして、NATOは歴史的な転換点を迎えた。
加盟30カ国の首脳が集う会議では、今後10年間の指針となる「戦略概念」を12年ぶりに改定して採択。ロシアの位置づけを「戦略的パートナー」から大きく変更し、「最大かつ直接の脅威」と明記した。軍事的台頭が著しい中国については初めて触れ、「体制上の挑戦」を突き付けていると言及。日本を含むインド太平洋地域のパートナー国との協力強化も記した。
先進的な軍を持つ北欧のフィンランドとスウェーデンの加盟を認めることでも合意。当然、「プーチンの戦争」の動機となったNATO膨張にロシアが黙っているわけがない。ロシアと約1300キロの国境を接するフィンランドの加盟によって、ロシアとNATO圏が接する国境線は約2倍になり、国防戦略の見直しを迫られる。
リャプコフ外務次官はすぐさま「国際情勢の不安定要因だ」と猛反発。NATOの「戦略概念」の見直しをめぐっては、「我々の政策に何ら影響を与えない。我々はいかなる場合でも100%確実に安全を確保する」とし、バルト海の陸海空軍の増強を示唆した。
NATO準加盟国を志向する支離滅裂
米国に言われたからだろうが、ロシアをはじめ火薬庫ばかりの欧州の軍事同盟に首を突っ込み、物価高を放り投げ、意気揚々としている首相をマトモな識者はどう見ているのか。
国際ジャーナリストの春名幹男氏はこう言う。
「岸田首相の動向を見ている限り、外交・安全保障政策は支離滅裂です。今回のNATO首脳会議で『米欧VS中ロ』の対立構図は鮮明となり、世界が新たな冷戦体制に向かっていくことがハッキリした。日本が米欧側に立ち、NATOの準加盟国を志向していることも明確になった。これは戦略的転換です。経済的かつ政治的な枠組みであるEUとの関わりを深めるのならまだしも、核共有制度をとり、核戦力を基礎とする軍事同盟のNATOへの接近は、国是として堅持してきた非核三原則に反する。岸田外交は矛盾だらけ。抑止力どころか、周辺国を刺激して緊張を高めるだけです」
日韓首脳のNATO初出席に北朝鮮も反応。朝鮮中央通信は「アジア版NATO創設のための危険な前奏曲だ」「米国の策動でアジア太平洋地域には『新冷戦』の時代が到来している」「早晩、北大西洋の黒い波が太平洋の静けさを破る不吉な兆しが見える」などと噛みついていたが、言いがかりともいえない。
かつての冷戦時代、米国は集団安全保障のフレームとして西側のNATOに対し、東側にPATO(太平洋アジア条約機構)を創設しようと画策したが、反日感情を抑え込めずに断念。それで、アジア太平洋地域では2国間同盟を結ぶ「ハブ・アンド・スポーク」で関与してきた経緯がある。軍事評論家の前田哲男氏も日刊ゲンダイでこう指摘していた。
「中国が現実の敵となった今、PATO実現が再浮上している可能性がある。その中核を担う日本がNATO主要国に比肩する軍事力を持つという流れかもしれません」
際限なく戦争のできる国へ
軍拡がさらなる軍拡を呼び、軍拡競争に陥るのは必然。安全保障のジレンマだ。バイデン大統領に呼び出されるがままにノコノコとNATOまで出張っていって、「米欧との連携強化で日本の抑止力が高まる」と本気で考えているのだとしたら、岸田の恐るべき勘違いである。
外交努力を放棄し、世界の分断に加担、軍事的対立を先鋭化させる“ハト派”の首相はあまりにも危険だ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「集団安全保障体制をとるNATO拡大がウクライナ戦争の引き金となったことから明らかなように、軍事同盟との距離は慎重に見極めなければ国の行く末を危うくします。これまでの日本は、憲法9条の制約によって安全保障を軍事同盟や軍事力増強に頼まず、対話や交渉といった外交努力を重ねてきた。ところが、岸田首相はいかにも時流に乗って、成り行きで国是を変えようとしている。きちんとした議論の積み上げや熟慮などの形跡は見えない。なし崩しで平和主義と専守防衛を捨て去ろうとしているのです。岸田首相自身、事の本質を理解しないまま、国のあり方を大きく変える方向へ舵を切ろうとしているようにも見え、ある種の軽薄さに恐ろしさを感じます」
自民党は参院選で改憲勢力の3分の2維持を既定路線とばかりに、憲法改正に向けてギアを上げている。選挙後にできるだけ早く憲法改正の原案を国会提出し、発議を目指すと公言する茂木幹事長は「例えば、1年以内、2年以内にやろうということも含めて、主要政党間でスケジュール感を共有することが重要ではないか」と踏み込んだ。大型国政選挙のない「黄金の3年間」に一気呵成にやってしまおうという腹だ。
自民の改憲項目にある「自衛隊明記」によって集団的自衛権の無制限行使が可能となり、「緊急事態条項創設」で政府は憲法を超越した措置を取れるようになる。2027年までに台湾有事発生を想定するバイデン政権に唯々諾々として、米国と一緒に際限なく戦争のできる国に突き進もうとしているが、選挙結果次第でまだ止められる。
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