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佐川宣寿氏との裁判に「新証拠」提出 動画が示す激変、メールが示す裏切り 森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/307406
2022/06/28 日刊ゲンダイ
出来レース(中川弁護士のメール)
公文書の改ざんは、誠実な公務員の心をいかに蝕んだのか? それが一目でわかる映像が、裁判の証拠として提出された。改ざんを苦に命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さんの妻、雅子さんが、改ざんを指示した元財務省理財局長、佐川宣寿氏を相手に起こしている裁判だ。
「森友裁判」赤木雅子さんが証拠として提出した動画ーー改ざん前の元気な頃と亡くなる直前の赤木俊夫さん
こちらの動画をご覧いただきたい。冒頭の37秒ほどは、12年ほど前、2010年頃に赤木雅子さんが夫、俊夫さんを撮影した映像だ。俊夫さんは建築家の安藤忠雄氏が大好きで、安藤氏が設計した建物を見るため全国各地を回っていた。その一つ、広島県の尾道市立美術館を訪れた時の映像。俊夫さんは、安藤氏の建物に特徴的なコンクリートの打ちっぱなしの壁をピタピタと触って感触を確かめている。雅子さんが動画を撮りながら「安藤さん、これでコンクリートよろしいですか?」と声をかけると、俊夫さんは安藤氏になりきって「ちょっとー、しゃーないなあ」と答えている。安藤氏の口癖をまねたのだという。笑顔を浮かべながらおどける姿は、幸せな夫婦の旅の一コマそのものだ。
その後に続く動画は様子がまったく異なる。2018(平成30)年3月4日、自宅の寝室で撮影された。この頃、俊夫さんは自宅の騒音が原因で近隣の住民から訴えられるという思いに取りつかれていた。実際にはそんなことはなく、雅子さんが「そんなんで裁判ならんて。幻聴なんよ」となだめても聞きいれない。周囲がみんな自分に敵意を持っているという“妄想”に取りつかれ、しきりと“死ぬこと”を口にする。「そんなんで死ぬって、頭おかしゅうなっとるよ」と雅子さんが諭しても聞く耳を持たない。そんなやり取りが1分半ほど続いている。
俊夫さんは当時、森友学園との土地取引をめぐる公文書を改ざんさせられて1年余りがたっていた。改ざんをさせられた職場からの異動を希望したが聞き入れられず、絶望の中でうつ病と診断され休職に追い込まれた。職場から見放されたという思いを募らせ、症状は次第に悪化。幻覚や幻聴も現れるようになっていた。そのさなか、雅子さんはこの動画をなぜ撮影したのか?
「夫は主治医の前では精一杯普通のふりをしようとするんです。でも自宅ではおかしなことばかり言うんです。だから自宅での様子を動画で撮影しておいて、主治医の先生にお見せしようと思ったんです」
裁判所に提出したもう一つの新たな証拠
「思うつぼ」だった(中川弁護士のメール)
しかし、俊夫さんは動画撮影の3日後、2018(平成30)年3月7日に自宅で命を絶つ。撮影した動画を主治医に見せる機会はなかった。代わりに、夫が改ざんによっていかに変わってしまったのかを示す証拠として使われることになった。
◇ ◇ ◇
もう一つ、弁護団は新たな証拠を裁判所に提出した。それは、前任の弁護士が雅子さんに宛てたメールだ。
俊夫さんが亡くなった直後、雅子さんの元にはありとあらゆる報道陣が取材に押し寄せた。その勢いに恐れをなした雅子さんに対し、近畿財務局の夫の同期の職員が弁護士を紹介した。中川勘太弁護士という。
中川弁護士は強引に取材を試みるマスコミの記者をうまくさばいてくれた。取材攻勢から逃れることができた雅子さんは、中川弁護士を信頼するようになる。そこで、俊夫さんの公務災害の申請手続きも中川弁護士に依頼した。
公務災害は公務員にとっての労災のようなもので、職場が原因で亡くなった場合、年金などの補償が遺族に出る。本来は、代理人の弁護士が遺族から話を聞きとった上で、その思いを生かすように公務災害の申請書を作る。
ところが当時、中川弁護士から雅子さんに届いたメールを見ると、次のような言葉がある。
「(近畿財務局の)人事課では、既に申請書はご準備いただいているようです」
依頼人の意向を受けて弁護士が作成すべき申請書を、申請先である財務局がすでに用意しているというのである。それでは出来レースではないか。さらにその後、このようなメールが届く。
「先ほどお電話で申し上げた申出書の案をお送りします。関係部署で調整のうえ,若干の修正が入った後,最終的には赤木雅子様にご記名ご押印いただく流れとなります」「お読みになるのが苦痛であれば,その旨をおっしゃっていただきますと,取りあえずはこの内容で進めさせていただきます」(編集部注=, は原文ママ)
財務省が雅子さんを「口封じ」
http://img.asyura2.com/up/d14/5059.jpg
亡くなった赤木俊夫さん(赤木雅子さん提供)
この頃は、俊夫さんが亡くなってからまだ1カ月半ほどしかたっていない。当時のことを思い出すだけで苦痛なので、言われるままに署名押印して提出した。ところが申請書を今見返してみると、改ざんを苦にして亡くなったということがどこにも書かれていない。まさに「思うつぼ」だったのだろう。依頼人の話を汲み取ろうという姿勢は見られない。実は中川弁護士は、かつて近畿財務局で2年間勤めたことがある。
そこで弁護団は、このメールを証拠として裁判所に提出した。財務省がこのような形で雅子さんの口封じをしようとしていたことを示唆する証拠として。
◇ ◇ ◇
これらの証拠を裁判所が採用するかどうか、大阪地裁で6月29日に行われる非公開の協議で審理されるとみられる。もしも動画が証拠として採用された場合、雅子さんは法廷での上映を希望している。佐川氏の代理人や裁判官、それに傍聴している皆さんに見てもらうために。そのためにも、証拠採用されるかどうかが注目だ。
相澤冬樹 ジャーナリスト・元NHK記者
1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。
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