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岸田首相の「最前線」発言に抱く疑念 自衛と米国の覇権は違うものなのに 二極化・格差社会の真相
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/307079
2022/06/22 日刊ゲンダイ
バイデン米大統領の「イエス!」に乗らされてはいけない(日米首脳会談)/(C)ロイター
岸田文雄首相が29、30日にマドリードで開かれるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に出席する。日本の首相として初めての参加。日米首脳会談で防衛費の「相当な増額」を勝手に約束した岸田氏は、これを国際公約にしてしまいかねない。
気になるのは、岸信夫防衛相が11日にシンガポールで発した「最前線」という言葉だ。アジア安全保障会議での講演で、「日本はルールに基づく国際秩序を守るための、まさに最前線にいる」と述べたのだ。バイデン政権が敵視する中、露、北朝鮮の“専制主義”諸国と近接した地政学的状況の説明だとされている。
参院選を控え、あえて有権者の危機意識を煽った発言だとする見方が強い。戦争の不安は軍事力強化を謳う自民党への追い風だという計算だ。
確かにその側面もあるだろう。ただ、「最前線」の表現は、単に誇張された現状認識というだけでは済まないのではないか。
なぜなら、仮に中国の台湾侵攻があったとしても、直ちに日本が攻撃されるわけではない。イコール日本有事とされる背景には、覇権を維持し続けたい米国の思惑がある。
バイデンが台湾有事への軍事的関与の意思を示した日米首脳会談後の記者会見は記憶に生々しい。在日米軍が中国軍と戦えば沖縄の戦場化も自衛隊の参戦も必定だ。なのに、アレを「最高の失言」とはやし立てた元自衛官の佐藤正久氏をはじめ、自民党は大喜び。東アジアの安定に寄与するという理屈のようだが、それにしたって躊躇がなさ過ぎる。
すべては米国の覇権と、そこに連なる支配層のために。岸田政権は積極的に、「最前線」を買って出れば、もっと米国に可愛がってもらえると考えているのではないか。
またしてもオーウェン・ラティモア(1900〜89)を連想せざるを得ない。かの米国人中国学者の1949年の著作によれば、米国は先の戦争でネパールがインドと英国に提供しているグルカ兵のような兵力を手に入れた。
〈「生まれつき訓練された」日本人は、「伝統的に反ロシア的」であるから、時とともに、独自の政治をもたず、自国の「作業場」をまかなってくれるアメリカに対して堅い忠誠を致すところの、新しい種類の植民地軍隊を供給する国となるだろう、と期待されているのである〉(小川修訳「アジアの情勢」、河出文庫、1953年)。
本欄でも幾度目かの引用だが、過去にも増して現実になりつつある。自衛と米国の覇権を明確に区別しなければならない。
斎藤貴男 ジャーナリスト
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。
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