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※紙面抜粋
※文字起こし
今必要なのは「#消費税を下げろ」の国民運動
予想通りだとはいえ、愕然とした有権者も多いのではないか。22日に公示された「7.10参院選」は、自民党の圧勝ムードではじまっている。
朝日新聞の調査(22〜23日)によると、自民党は現有の「改選55議席」から大きく議席を伸ばし、66議席に達する勢いだという。共同通信の情勢調査(22〜23日)でも、自民党は32ある1人区で優位に戦いを進め、60議席台に届きそうだとしている。
しかし、はたしてこのまま調査通りの結果になるのかどうか。この参院選は選挙期間が18日間と長い。過去の参院選を振り返っても、終盤に情勢が一変したケースが少なくない。しかも、「物価高」に対する有権者の不満が日増しに強まっている。
読売新聞の世論調査によると、物価高による家計の負担を「感じている」が83%に達し、政府の物価高への対応を「評価しない」が71%に上っている。物価高に直撃されている国民が、岸田政権に対して不満を強めているのは間違いない。
自民党関係者がこう漏らす。
「この参院選は異様です。世論調査では自民党の支持率が高く、選挙の情勢調査も圧勝となっている。なのに、有権者の関心が薄いのか、街頭で演説しても手応えがない。もうひとつ、困っているのが、岸田自民党にはアピールする実績がないことです。この10カ月間、岸田政権は何もしていませんからね。一枚看板である“新しい資本主義”の中身も固まっていない。岸田首相も応援演説の第一声の時、最後まで“新しい資本主義”という単語を口にしなかった。唯一の安心材料は、野党にも風が吹いていないことです。恐らく選挙結果は、“物価高”に対する有権者の怒りが、どこまで大きくなるかで決まると思う」
必需品ほど値上がりしている
この先、インフレはどこまで進むのか。このままでは物価は青天井だ。すでに足元でも、あらゆるモノの値段が高騰している。
総務省が24日発表した5月の消費者物価指数は、前年同月比2.1%の上昇だった。これで9カ月連続の上昇である。深刻なのは、必需品が高騰していることだ。米、野菜、電気代など必需品のみで集計した「基礎的支出」の上昇幅は4.7%に上っている。生活実感としては、5%近くも物価高が進行していることになる。
しかも、この物価高はまだまだ続く可能性が高い。電気代は7月から東京電力が前年同月比で1898円、関西電力は752円の値上げとなる。食パンや缶詰、ポテトチップスも7月以降の値上げが決まっている。
食用油は昨春から今春にかけて、5〜6回も値上げが実施され、価格は1.5倍にアップ。それでもメーカーはコスト増加分を価格転嫁しきれていないという。
帝国データバンクのリポート「『食品主要105社』価格改定動向調査(6月)」は、〈年内の再値上げ・再再値上げといった動きが前例にないペースで進む可能性が高い〉と指摘している。
経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「国民の生活はもう限界を迎えています。いち早く物価高対策を打つべきなのに、岸田首相は何もやっていない。それどころか、『欧米の物価高が7〜8%なのに対し、日本は2%台にとどまっている』と胸を張っているのだからどうかしています」
海外では、インフレを抑えるため、91の国と地域が「消費税」に当たる付加価値税の減税を実施・予定している。物価高対策には消費税減税が最も効果的だからだ。なのに、岸田政権は動こうともしない。
庶民の血税が大企業の減税に使われている
この狂乱物価を止めるには、日本も消費税の減税や廃止に踏み切るしかないのではないか。10%の消費税率をゼロにすれば、庶民の負担は一気に軽減されるはずだ。
野党も一斉に消費税の「減税」「廃止」を掲げている。ところが、自民党と公明党は、「消費税は社会保障の安定財源と位置づけられている」「下げるなら社会保障を支える財源はどうするんですか」などともっともらしいことを言って、かたくなに消費税減税を拒否している。しかし、「消費税は社会保障に使途が限定されている」なんて、大嘘もいいところだ。消費税は、大企業と富裕層の減税の“穴埋め”に使われているのが実態だ。
その証拠に、1989年の消費税創設以来の34年間で、消費税収の総額は476兆円に上った一方、法人税は324兆円、所得税・住民税は289兆円も税収が減っている。
直近の例を見ても、消費税率が8%に上げられた2014年に法人税率は28%から25.5%に引き下げられ、以降、段階的に下げられて、現在は23.2%にまで低減されている。減少した法人税や所得税・住民税の“穴埋め”に消費税収が使われているのは明らかだ。
なのに、高市政調会長は19日のNHK「日曜討論」で、「消費税が、法人税の引き下げに流用されているかのようなデタラメを公共の電波で言うのはやめていただきたい」と平然と嘘をつき、茂木幹事長にいたっては、選挙の応援演説で「(消費税を下げたら)どうなるか。社会保障の財源を3割以上カットしなくてはなりません」と、国民を恫喝しているのだから、フザケるにもほどがある。
「自民党は『消費税減税はシステム変更が大変だ』などとも訴えていますが、安倍政権だけでも消費税増税を2回もしています。増税が可能なら、減税だってやれるはずです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
自民党が消費税に執着しているのは、打ち出の小づちだからだ。なにしろ、税率を1%アップするだけで2兆円以上の税収が入ってくる。税収が増えれば、支援者にバラまく原資が増え、スポンサーである大企業の減税だって可能となるということだ。
海外の有権者は物価高に「ノー」
こうなったら、国民は絶対に自民党を圧勝させてはダメだ。物価高騰を抑止するために、91の国と地域が「消費税減税」に踏み切っているのに、嘘と恫喝で拒否する岸田政権では、「物価高」も止まらない。
7.10参院選が終わると、この先3年間、国政選挙は行われない可能性が高い。はやくも岸田周辺は「黄金の3年間だ」などと口にしている。このチャンスを逃したら、あと3年間、自民党がどんなに悪政を重ねようが、国民はノーの意思を示せないということだ。
「フランスでもドイツでも、海外の選挙では、物価高騰への不満から、有権者が政権与党にノーを突きつけている。豪州では政権が倒れています。それが民主主義というものです。岸田自民党は、防衛費を現在の5兆円から2倍の10兆円にすると公言しています。5兆円の財源を捻出するために、いずれ消費税増税を実施するか社会保障費をカットすることになるでしょう。7.10参院選の意義は、そうしたことも含めて、自民党政治を容認するのかどうか、ということです。本当に自民党を勝たせていいのか、有権者はよく考えるべきです」(五十嵐仁氏=前出)
いま必要なことは、「#消費税を下げろ」という国民運動と、一票による鉄槌なのではないか。
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