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資本主義を民主主義に転換する
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2022年6月11日 植草一秀の『知られざる真実』
岸田首相が自民党党首選で「分配」問題を提唱した。
「新しい資本主義」とも述べた。
しかし、何も変わらない。
見かけ倒しとはこのことだ。
2001年の小泉政権発足後、日本を吹き荒れているのが新自由主義の嵐。
新自由主義の目的は資本の利益の極大化。
「構造改革」や「成長戦略」などの言葉が用いられてきたが、中身は同じ。
いかにして資本の利益を極大化するかである。
生産活動の結果として得られる果実は資本と労働で分け合うことになる。
これを「分配」と呼ぶ。
資本が資本の利益を極大化するためには何が必要か。
答えは単純明快だ。
労働の取り分を減らせばよい。
労働分配を減らすこと。
これが資本のリターンを高める秘訣になる。
「構造改革」や「成長戦略」の名で推進されてきた政策が五つある。
農業、医療、雇用の自由化。
特区創設。
そして法人税減税だ。
雇用の自由化とは雇用規制の撤廃。
長時間残業を合法化し、非正規労働へのシフトを加速する。
残業させ放題労働制度を拡充する。
さらに解雇の自由化、最低賃金の廃止などが追求されている。
「働き方改革」という名称が使われたが、実態は「働かせ方改悪」だった。
これまで日本の農家が営んできた農業をグローバル大資本が簒奪するための方策が何重にも構築されている。
農業だけでない。
水産業、林業も同じ。
グローバル資本が収益を上げる対象が限られてきている。
そのなかで彼らが目を付けたのが日本の一次産業である。
この施策が推進されることにより、食の安全が脅かされ、食の自給体制が一段と脆弱化する。
憲法が保障する生存権のなかに「食料への十分な権利」が含まれるが、この基本権が侵害される恐れが高まっている。
医療の自由化は医療を公的保険医療と公的保険外医療に二分するもの。
医療の分野に貧富の格差が持ち込まれる。
同時にハゲタカ資本は民間医療保険ビジネスで巨大な利益を追求することになる。
法人税減税はハゲタカ資本が求めたもの。
日本企業の発行株式の3分の1が外国資本保有になっている。
この外国資本は日本で税金を払いたくない。
このことからハゲタカ資本のエージェントに法人税減税推進のロビー活動を取らせてきた。
さらに、ハゲタカ資本は確実に収益化できる分野として公的事業分野に目を付けた。
水道などの公的事業は、1.独占事業であり、2.生活必需品事業である。
事業で失敗する可能性がゼロに近い。
独占形態になり、生活必需品である分野は公的管理下に置くことが望ましい。
民間事業の目的は利益追求であり、利潤を獲得する分だけ供給価格は高くなる。
公的事業では経営努力が不足して効率が悪くなることが懸念されるなら、公的事業に対する厳正な監視制度を構築すればよいだけだ。
営利目的の民間企業に独占事業を委ねることの方がはるかに弊害が大きい。
こうしたハゲタカ資本の利益追求優先の政策が展開されてきた。
このすべてを根本から是正することが求められている。
新自由主義経済政策を排除するべきもう一つの理由は、これが格差拡大、あたらしい貧困問題の原因になってきたこと。
資本の利益を追求するのが「資本主義」であるから、「資本主義」を変質させるのではなく、資本主義を抑制することが求められている。
資本主義に新しいも古いもない。
資本主義はただひたすら資本の利益追求を第一に位置付けるものなのだ。
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ウクライナ戦乱と資源価格インフレ
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