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※紙面抜粋
※2022年㋅10日 日刊ゲンダイ
【言うに事欠いて「欧米よりマシ」とは恐れ入る】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) June 10, 2022
岸田内閣が続く限り「物価高」はまだ序の口
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/HEGklPHwHg
※文字起こし
「円安ならびに資源高・物価高に無為無策」
「アベノミクスの残滓ともいえる異次元の金融緩和をいまだに見直さないという愚策」
「コロナで苦境に立つ国民が多い中、『岸田インフレ』は亡国の道」
「中身のない『新しい資本主義』の空虚さ」
「『何もしない』ことを安全運転と呼んではばからない厚顔無恥」……。
岸田内閣に対する不信任決議案は、9日の衆院本会議で否決されたが、立憲民主党の泉代表が趣旨弁明で羅列した不信任の理由は、合点がいくものばかりだった。
アベノミクスに端を発する円安に加え、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もいよいよ深刻になってきて、物価高は異次元の局面を迎えつつある。
どれだけ庶民生活が打撃を受けようと、この政権は何の手も打とうとしない。
足元では、一段と円安圧力が強まっている。9日は一時、1ドル=134.56円をつけた。およそ20年4カ月ぶりの円安水準だ。
今年3月は1ドル=110円台だったため、多くの企業が2023年3月期の想定為替レートを1ドル=115〜120円前後に置いている。円安進行のスピードは、あまりに速い。
「この円安は日銀がつくり出している。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレを抑制するという確固たる目標を掲げ、金融引き締めに転じて利上げを進めているのに、日銀の黒田総裁は『円安は全体的にプラス』『揺るぎない姿勢で金融緩和を継続する』などと言って、むしろ円安をあおっている。
投機筋は安心して円を売れる状況です。対ドルだけでなく、円は主要通貨に対して独歩安が続いている。円安で輸入物価が上がり、最も苦しむのは一般国民です。それなのに、岸田政権はアベノミクスからの転換に動こうともせず、異次元緩和を継続させているだけ。物価高対策もなく、円安を止める気もないのだから、無能無策としか言いようがありません」(経済評論家・斎藤満氏)
FRBに続きECBも利上げを決定
FRBに続き、欧州中央銀行(ECB)もついに利上げに踏み切った。9日の定例理事会で量的緩和終了を決定。ウクライナ危機によるエネルギーや食品価格の高騰でインフレ圧力が高まっていることを受け、金融政策の正常化を早める。ECBの利上げは11年ぶりだ。
ところが日本では、日銀黒田も岸田首相も相変わらず異次元緩和一辺倒。物価高を深刻に受け止めている気配がまったくない。
岸田や、自民党の茂木幹事長は言うに事欠いて「日本の物価上昇は欧米よりマシ」と自己正当化し、居直っている。そうして庶民にガマンを強いるだけなのだ。
「たしかに欧米各国のインフレ率だけを見れば日本よりも高いのですが、物価と一緒に賃金も上がっている。日本は、物価だけが上がって賃金はむしろ減っているから大変なのです。高齢者の年金も今年は0.4%の減額です。アベノミクス以降、手取りは一向に増えないのに、負担ばかりが増えて、庶民はもう限界です。しかも、必死で納めた血税が、困窮する国民を救うためではなく政治家の私利私欲のために浪費されている。細田衆院議長が『歳費は100万円しかない』などと発言したことが典型です。議長不信任決議案も与党の数の力でねじ伏せましたが、彼らには生活苦の庶民のことなど眼中にない。われわれは虫けら扱いも同然です」(斎藤満氏=前出)
「所得倍増」がいつの間にか「防衛費倍増」に
日銀黒田も「家計の値上げ許容度が高まってきている」などとフザケたことを言っていた。
この発言について、国会で問われると「誤解を招く表現で申し訳ない」と謝罪したが、実際、3530万円もの年収を得ている黒田からすれば、食料品や生活用品の値上げも誤差の範囲内なのだろう。
「2年で2%の物価上昇」と明言していた金融政策がもくろみを外れても、失敗を認めず、だらだらとアベノミクスの異次元緩和を続けてきた結果、身動きが取れなくなって現下の超円安を招いた。その責任を取るわけでもなく、のうのうと高給を食んでいる黒田には、庶民生活の厳しさを理解する気もない。それは困窮する国民生活を放置している与党議員も同じだ。
SNS上で「#値上げ受け入れていません」のハッシュタグが拡散したこともあり、結局、黒田は「家計が値上げを許容」の発言を撤回したが、この発言こそが、岸田政権の本音なのである。
「聞く耳」とか言って庶民に寄り添うフリをしながら、やっていることは大企業優遇。カツカツの庶民生活に少しでも理解があれば、「投資で資産を増やせ」なんて無責任な発案が政府から出てくるわけがないのだ。こんなの政策ですらない。
どう考えても岸田インフレ
「円安で輸入コストが上昇しても、企業は価格転嫁して消費者にツケを回すことができます。しかし、消費者である一般国民は電気やガス、食料品、ガソリンなどの生活必需品を購入しないで暮らすことはできない。所得が増えない中、“インフレ税”の形で余計に負担を強いられるのです。物価高を賃金アップで取り戻すことができればいいが、その旗振り役であるはずの連合までもが自民党になびいてしまった。想定レートより大幅に円安が進めば輸出企業は業績が上振れしますが、賃金として還元することはなく、内部留保に積み上げるだけです。こういう現状を是認している岸田政権は『新しい資本主義』ではなく、アベノミクスを継承して大企業と金持ちを優遇している。庶民生活を犠牲にして大企業を儲けさせる異次元緩和を続けていれば、1ドル=140円を超えるのも時間の問題だし、どこまで円安が進むのか分からない。それに伴う物価上昇も際限がなくなり、家計にシワ寄せがくる一方です。インフレは加速する。上流で水位が上がっている時に止めなければいけないのに、このまま無策で円安を容認していたら、中流、下流と行くにつれて止まらなくなり、いずれは日本経済が決壊してしまいます」(斎藤満氏=前出)
5月31日に成立した補正予算でも、ガソリン対策以外に物価高対策は何もない。一方で、7日に閣議決定した「骨太の方針」では、防衛費GDP2%を念頭にした防衛力強化を「5年以内」とする目標期限を明記した。
岸田が総裁選で掲げた「令和の所得倍増」が、いつの間にか「防衛費倍増」になっている。物価高に困窮する国民生活を放置しておいて、軍拡に回すカネはあるというのか。防衛費といっても、どうせ米国の言い値で武器弾薬を爆買いするだけなのだ。物価高に苦しむ国民生活より優先することなのか? これではとても北朝鮮のことを笑えない。
こんな亡国政治でも、なぜか内閣支持率は高く、来月の参院選でも自民大勝が予想されている。しかし、岸田自民を勝たせたら、大企業優遇の異次元緩和がズルズル続き、庶民生活は圧迫されるだけだ。
9日の本会議で不信任案が否決され、岸田は「議会において信任をいただきました。引き続き責任を果たし、期待に応えてまいりたい」と話していたが、岸田政権が続く限り、いまの物価高はまだ序の口と思った方がいい。官邸は参院選前に「岸田インフレ」という言葉が流行することを嫌がっているというが、事実なのだから仕方ない。嫌なら何とかしろよという話で、言葉遊びだけでは国民生活は救われない。
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