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※紙面抜粋
※2022年6月1日 日刊ゲンダイ2面
【遺族には悪いが騒ぎ過ぎだ】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) June 1, 2022
沈没船が覆い隠している政治の劣化
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/V5Db3Dzsj8
※文字起こし
1日早朝から北海道・知床半島沖で沈没した観光船「KAZU 1」が網走港に陸揚げされ、乗員・乗客の家族らが献花する機会が設けられる。その様子を大メディアは実況中継して大騒ぎだ。
乗員乗客計26人のうち、すでに14人の死亡が確認された大事故である。先月29日から31日まで、海上保安庁の巡視船に地元の観光船、漁船も加わって3日間の一斉集中捜索が行われたが、いまだ12人が行方不明のままで、新たな手がかりも見つかっていない。家族の心痛は察するにあまりあるが、国交省が巨額の税金を使って大々的な捜索活動を喧伝するのは、後ろめたさを打ち消すためでもある。
もちろん、一義的にはずさんな運営をしていた事業者に事故の責任がある。しかし、特別監査などで違反を見抜けず、甘いチェック体制で事業者にお墨付きを与えたのは国交省だ。
そのうえ、救助活動の初動の遅れも明らかになりつつある。
海上保安庁の通信記録によると、KAZU 1から最初に救助要請の電話があったのは4月23日の午後1時18分ごろ。「船首が浸水、カシュニの滝のすぐそば、救助を頼む」という内容だった。その約30分後にも連絡があり、最後の通信記録は午後2時17分ごろだったという。
最初の救助要請から約1時間は沈没していなかった可能性が高いのだ。ところが、実際に現場で救助活動が始まったのは、午後4時半過ぎだった。
初動の遅れが、甚大な被害につながった恐れがある。
この問題は国会の予算委員会でも追及され、岸田首相は「事業者の安全意識の欠如や実情をしっかりと把握できなかった。国土交通省として責任を十分果たしていなかった」と認めた。だが、それでオシマイでいいのか。実情を把握できなかったことだけが問題ではないはずだ。
補正予算も与党ペースであっさり成立
沈没船の問題にかぎらず、この政府がやっていることはデタラメばかり。それが加速する一方だというのに、国会審議は与党ペースでラクラクと進んできた。過去最大規模の本予算はスンナリ通り、2022年度一般会計補正予算も31日、あっさり成立。審議が止まることもなく、5月内に成立させたいという与党の希望通りに進んだ。何の波乱もなく、通常国会の会期は2週間以上も残っている。与党側も拍子抜けしているのではないか。
「本予算成立からわずか2カ月の補正予算。それも総額2.7兆円という小さな規模で、どこまで国民生活を守ることができるか疑問な上、そのうち1.5兆円を物価高対策で使った予備費の埋め戻しに充てるという中身には大いに問題がある。こんなひどい補正予算案でも、与党はもちろんのこと野党の追及も甘く、一部野党は賛成に回った。国会議員の職務放棄と言ってもいいでしょう。これでは国会の意味がない。補正予算の問題点を厳しく批判しないメディアも同じで、政治のやってるフリに加担しているのです」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
予備費は、金額さえ決まってしまえば具体的な使い道は国会審議を経ずに閣議で決められる政府の“便利な財布”だ。コロナ禍以降、予備費は膨らみつづけ、その9割は最終的な用途を正確に特定できていない。財政民主主義の原則がすっかり無視されているのが現状だ。
安倍元首相が「日銀は政府の子会社」と放言するなど、財政規律のタガもはずれている。31日成立した補正予算も財源は赤字国債だ。
自民党と大企業、大メディアの結託で真実は隠される
「補正予算では、物価高対策として6〜9月に石油元売り会社に支給する補助金などを含む燃料価格抑制策に1兆1739億円を計上している。昨年末から原油価格が高騰し、政府は石油元売りに補助金を支給してきました。その結果、石油元売り大手3社の22年3月期連結決算では、全社が過去最高益を記録した。庶民生活ではなく、税金で大企業を助けているのです。自民党と大企業、大メディアが結託して、国民から吸い上げたカネを分け合っている。安倍元首相の後援会が主催した『桜を見る会』前夜祭でサントリーが酒類を無償提供していたことが『しんぶん赤旗日曜版』のスクープで発覚し、法律違反は明らかなのに、テレビは沈黙しています。サントリーが大スポンサーだからです。この構図に甘んじていたら、国民は真実を知らされないまま、虐げられる一方で、そのうち干からびてしまいます」(政治評論家・本澤二郎氏)
物価高は止まらず、1日からも電気料金やガス料金、立ち食いそば、カップ麺、焼酎ハイボール、冷凍食品など値上げラッシュ。庶民は小さな楽しみさえ我慢を強いられる一方、大金持ちの安倍には酒類を無償提供だなんて、やるせない気持ちになる。
安倍派出身の細田衆院議長も「手取りは月100万円しかない」とかフザケたことを言っていたが、自民党の驕り高ぶりは本当に目に余る。国会議員には、歳費とは別に月100万円の掴み金「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)もある。これは予算の予備費にもいえることだが、われわれの血税が連中に好き勝手使われていると思うと泣けてくるではないか。
安倍政権以来続く権力の破廉恥
「庶民生活は物価高でアップアップですが、政府は本気で対策を講じる気がない。物価が上がれば、その分だけ政府の消費税収入も増えるからです。賃金は上がらないのに物価が高騰し、支払時の消費税負担も増えるという二重、三重の負担にあえぐ国民に対し、岸田政権は『投資で資産を増やせ』と言う。こんな冷酷な政権が、なぜか高い支持率を得ているのは、大メディアと野党が厳しく批判しないからです。英国の作家ジョージ・オーウェルは『ジャーナリズムとは報じられたくないことを報じることだ。それ以外のものは広報に過ぎない』という言葉を残しています。大メディアは、沈没船の運航会社社長や、誤送金された4630万円を詐取した男を断罪するのと同じくらいの執拗さで、安倍政治から続く権力者の罪を追及しなければおかしい。浪費された税金ははるかに巨額なのです」(本澤二郎氏=前出)
この1カ月ほど、ツイッター上では「#国会中継をしてください」というタグが拡散していた。本予算が成立した3月28日以来、約2カ月にわたってNHKによる国会中継がなかったからだ。
慣例的に、NHK総合で中継されるのは予算委員会や代表質問、集中審議などに限られる。この間、政府与党は集中審議の開催要求に応じてこなかった。国会中継が増えれば、あまりのデタラメが国民に広く知られてしまうという自覚はあるのだろう。
一方で、与党ペースの審議日程にやすやすと乗り、腰が引けた追及を続けてきた野党にも、政権をツケ上がらせた責任はある。本予算も補正予算も成立した後になって、内閣不信任決議案や衆議院議長不信任決議案を提出したところでアリバイづくりでしかない。
与党も野党も、政治は国民のためにあるという原則を忘れているのではないか。利権やオトモダチ優遇、自己保身、選挙目当てのバラマキ、説明責任に背を向ける姿勢……。安倍政権以来、こうした破廉恥が定着し、最近では野党もメディアも騒がないから、国民も慣らされて権力批判を忘れてしまった。
だが、健全な批判がなければ権力は暴走し、腐敗するのが歴史の必然である。沈没船が覆い隠している政治の劣化は深刻だ。その結果、苦しむのは国民自身なのだが、有権者はいつまで傍観しているのか。
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