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※紙面抜粋
※2022年5月26日 日刊ゲンダイ2面
【すでに野党は消滅している】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) May 26, 2022
大政翼賛会で「戦争国家」へ一瀉千里
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/cKUfATpwhM
※文字起こし
「そら見たことか」。予想されていた展開になったとはいえ、「軍拡」に突っ走る日米両政府の関係者は思わず、ほくそ笑んだのではないか。
25日早朝、北朝鮮が平壌の順安空港一帯から日本海に向け連続して3発の弾道ミサイルを発射。日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下した。韓国政府によると、1発目は大陸間弾道ミサイル(ICBM)と推定され、飛距離約360キロ、最高高度約540キロ。今年3月に試射した新型ICBM「火星17」を再び試験した可能性もあるという。2発目は高度約20キロで消失。3発目は短距離弾道ミサイルとみられ、飛距離約760キロ、最高高度約60キロだった。
北朝鮮は12日にも短距離弾道ミサイル3発を日本海に発射しており、今回は、24日まで日韓を歴訪したバイデン米大統領が、日米韓で北朝鮮に対する連携強化を確認した直後のタイミングを狙ったとみられている。
米インド太平洋軍は「違法な兵器開発計画」「地域を不安定化させる動きだ」との声明を公表。岸防衛相は「国連安保理決議に違反するもので強く非難する」と怒りをあらわにし、ブリンケン米国務長官と電話会談した林外相も、北朝鮮に対する「深刻な懸念を共有した」と言いつつ、「日本、地域、国際社会の平和と安定を脅かすものだ」と指摘。あらためて「日米同盟の抑止力・対処力の強化が不可欠」との認識を確認した。
マトモな自国防衛の政策がない日本
「国民の命や暮らしを守るために何が必要か、具体的かつ現実的に議論し積み上げていく」
25日、審議入りした2022年度補正予算案の代表質問。北のミサイル発射が大きく報じられる中、先の日米首脳会談でブチ上げた防衛予算の増額について問われた岸田首相は「防衛費の相当な増額を確保する決意を述べた」などと説明していたが、寝言を言っているとしか思えない。
すでに与党・自民党が「5年以内に軍事費のGDP(国内総生産)比2%」を政府に提言しているが、仮に「GDP比2%」となれば、その予算規模は実に11兆円超にも及ぶのだ。22年度予算(約5兆円)比で2倍以上だからベラボー。「GDP比2%」までに至らなくとも、本来はきちんとした国会審議が必要なのは言うまでもなく、勝手に日本政府の「対米公約」としてブチ上げていいはずがないだろう。
首脳会談の共同声明では、岸田は「あらゆる選択肢を排除しない」と強調し、敵基地攻撃能力(反撃能力)の検討まで踏み込んでいたが、米国に言われるがまま武器を増強し、国会審議すらすっ飛ばして防衛予算を青天井に組もうとする姿勢は異常という以外にない。12年の第2次安倍政権発足以降、「特定秘密保護法」や「集団的自衛権の行使容認」、武器輸出の規制を緩めた「防衛装備移転三原則」……など、独断専行で重要政策を決める手口が「十八番」の愚弄政権とはいえ、今回は度が過ぎている。
沖縄国際大大学院の前泊博盛教授(安全保障論)がこう言う。
「米国には国益委員会という組織があり、自国の国益とは何か。守るためには何が必要か、どうすればいいのかを明確にします。しかし、日本政府にはしっかりとした国益の概念がないのです。だから、米国に言われるがまま動いてしまう。そもそも、今の日本には自国防衛のきちんとした政策があるのでしょうか。それがないから、米国の国益のために日本が防衛予算を増額するなんてバカな事態になるのです」
戦争をしないことこそ最大の防衛力だ
そもそも敵基地攻撃能力の保有なんてカネがかかるばかりで無意味だ。
「敵基地がどこにあるのか分からない上、攻撃すれば報復は避けられない。報復を抑止するためには相手の倍以上のミサイルが必要──というのが軍事の常識で、仮に300発以上のミサイルを配備しているとみられる北朝鮮が相手なら、600発以上のミサイルが必要。中国やロシアなら、一体どれだけのミサイルを配備する必要があるのか分かりません」(防衛省担当記者)
米国では今、高性能センサーを持つ衛星を低軌道に多数配置し、相手国の基地やミサイルの動きを観測する「衛星コンステレーション」構想を進めているが、今後、「あらゆる選択肢を排除しない」と風呂敷を広げた日本にも衛星配置のコスト負担を求めてくる可能性は高いだろう。どうりで、バイデンが会見でニンマリしながら、「日本の防衛力を強化しようという姿勢を非常に評価する」などと持ち上げていたはずだ。
恐ろしいのは、そんな岸田政権の軍拡予算に真っ向から反対している政党が共産党以外にないことだ。25日付の毎日新聞の報道によると、野党第1党である立憲民主党の泉代表は、岸田が掲げる「防衛費の相当な増額」に理解を示し、<参院選の争点にならないとの見解まで示した>というからクラクラしてしまう。
日本は米中の軍事対立に巻き込まれる
参院選前から、すでに野党は消滅しているに等しく、もはや国会は事実上の大政翼賛会に近い。そんな中で、今以上に世界的な軍事緊張が高まると、何が起きるのか。
とりわけ、首相就任後、同じアジアである中国の首脳とは会おうともしない岸田「外交放棄」政権に対しては危うさを感じざるを得ない。
隣国でありながら意思疎通せず、互いに拳を振り上げて強硬路線に突き進んだ先に何があるというのか。ロシアとウクライナの戦争を見ても分かるだろう。
ロシアの軍事侵攻は論外とはいえ、ウクライナ戦争が始まった状況を振り返っても、NATO(北大西洋条約機構)などの西側諸国がもっと早い段階で、ロシア、ウクライナ双方に対して平和的な解決を強く求める努力をしていれば、今とは異なる展開になっていたはずだ。
国際秩序が挑戦を受けているのは欧州だけではない──として、米バイデン政権が「自由で開かれたインド太平洋」の推進を表明し、「アジアの秩序の維持」に関与する姿勢は分からなくもない。だが、今のように中国を「唯一の競争相手」と執拗に敵視し、近隣国と包囲網を強める動きは危険極まりないだろう。そして、それはすでに米中対立に巻き込まれ始めていると言っていい日本にとっても最悪の展開になる可能性があるのに、野党やメディアから批判の声が出てこないのだからどうかしている。このままだと参院選後は「戦争国家」へ一瀉千里ではないか。
衆院事務局に30年余り勤めた元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
「今の社会の雰囲気は先の大戦前のような空気になりつつあります。敵基地攻撃能力を保有、なんて本来は憲法違反そのもの。国会で集中審議するべき話なのに何の動きもない。テレビでは連日、軍事評論家が出ていて戦争もやむを得ないかのような雰囲気すら出てきた。本当に恐ろしい状況だと思います」
前出の前泊博盛教授も「ミサイルは1発でも撃たれたら終わり。撃たれないようにする、対立を避けるのが外交戦略。大事なのは軍事力ではなく外交力なのです。軍事力を増強しても戦争は回避できない。広島県選出の首相の政権下で、核兵器のシェアといった意見まで出てきた状況は異常で、恐怖の太平洋戦争の時代に逆戻りしているかのようです」
「戦争放棄」を発案したとされる故・幣原喜重郎首相は、国民の(戦わないという)一致団結力の方が、軍備増強よりも勝る──といった趣旨の記述を残していたが、今こそ国民も野党もメディアも、この言葉の意味を噛み締める時ではないか。
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