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森友問題・佐川氏らの証人尋問認められず…「希望の光が消えた」が終わらない 森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/305769
2022/05/26 日刊ゲンダイ
弁護団の会見(撮影)相澤冬樹
終わった。みんなそう思うだろう。私も最初はそう思った。でも、終わらない。終われない。
25日、大阪地裁での弁論。開始早々に中尾彰裁判長が告げた。
「原告が申請した証人尋問はすべて必要ないと判断します」
原告の赤木雅子さんが申請していた、被告・佐川宣寿元財務省理財局長をはじめ財務省幹部。それに、公文書改ざんを苦に亡くなった赤木俊夫さんの直属の上司だった池田靖さん。改ざんに深く関わった財務省職員5人の証人尋問は、この裁判長の一言ですべて退けられた。
その時、私は傍聴席から原告席の赤木雅子さんの姿を見ていた。表情を変えずに、じっと裁判の行方を見つめているように見えた。弁論が終わった後、マスコミ各社の取材に「希望の光が消えた」と語った。
次回、雅子さんが意見を陳述
もともと、真実を知りたいという願いで始めた裁判だ。その切り札となるはずだったのが、佐川氏をはじめ改ざんに関わった財務省の人々の証人尋問だった。それがすべて退けられた以上、裁判で真相解明の道は断たれたに等しい。裁判は次回、赤木雅子さん本人が意見を述べる機会を設けた上で、審理を終え、判決を迎える見通しだ。そして、その判決は敗訴となるであろう。だから「希望の光が消えた」というのは、まさにその通りだ。
でも、それですべてが無になるわけではない。赤木雅子さんは同時に語った。
「裁判を起こしてよかったと思います。夫が亡くなって2年間、何もできずにいたけど、起こしてから2年間は、少しずつだけど、いろんなことがわかりました。多くの方にこの出来事を知ってもらうこともできました。無駄ではなかったと思います」
そして、最後に付け加えた。
「まだできることはあると思います。これからじっくり考えてみます」
雅子さんは最後に意見を述べる機会を設けられた。そこで亡き夫、赤木俊夫さんが死の間際に残した「手記」と題した事実上の遺書について語るつもりだ。夫が必死の思いで書いた改ざん告発の文書。夫が伝えたかったことを、夫に代わって語ること。それが自分にできる精いっぱいのことだと思うから。そこには次のように記されている。「元は、すべて、佐川理財局長の指示です」「刑事罰、懲戒処分を受けるべき者 佐川理財局長」
佐川さんは今頃、祝杯をあげているのだろうか? そんなことはないだろう。裁判が終わっても佐川さんが幸せになることはない。真相を隠したまま、心穏やかになることはないはずだから。
相澤冬樹 ジャーナリスト・元NHK記者
1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由 』(文藝春秋)がベストセラーとなった。
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