「オンラインカジノ」は海外の賭博開帳を利用→「決済代行業者」はグレー 「ネットカジノ」は日本国内の賭博開帳支払一括→「業者」は賭博開帳図利罪 容疑者は事件当初「ネットカジノ」で全部使ったと発言していたが 使用された三社とも「オンラインカジノ」だと報道されている 予め現金を預けておく「プール」システムを利用する場合は 「キリのよい数字」の額で入金するのが自然 「半端な数字」の額で入金したとすればそれは海外のカジノを実際に 利用した後の支払いだと判断するのが妥当 カジノ遊興以前にプール金として数十回に分けて 決済代行業者に預けるのならば海外為替云々の 「半端な数字」の額で入金するというのは前提からして変 誤給付金の9割超を回収 阿武町が駆使した「あの手この手」 2022年5月24日 20時16分 毎日新聞 誤給付分の回収状況について記者会見する山口県阿武町の花田憲彦町長=町役場で2022年5月24日午後0時36分、福原英信撮影 山口県阿武町が誤給付した4630万円は、振り込まれた田口翔容疑者がオンラインカジノに全て使ったなどと説明していたこともあり、回収は困難との見方もあった。町はどのように9割超の現金を取り戻すことに成功したのか。そこにはさまざまな法律を駆使し、あの手この手を打ち続けた町の姿が浮かび上がる。 そもそもなぜ誤給付が起きたのか 町がまず目を付けたのは、税金の滞納者に対する回収方法を規定する国税徴収法だ。今回のケースでも適用できると判断した町は、滞納者の財産を調査する名目で帳簿類を検査できるとする条文に基づき、誤給付された口座が開設されていた銀行から2回に分けて情報を入手。この銀行から誤給付分が別の2銀行に入金され、更にオンライン決済代行業者3社に振り込まれていたことを突き止めた。 ここから町は、国税徴収法と地方税法を駆使しながら具体的な回収作業に着手する。容疑者と決済代行業者3社が委任関係にあると判断し、業者の口座を容疑者自身のものとみなして預金の差し押さえ手続きを進めた。容疑者本人に対しても、全額を返還するよう求める訴訟を起こした。 マネーロンダリング(資金洗浄)を規制する犯罪収益移転防止法も活用した。同法は、利用者の収入に見合わない高額な送金など「疑わしい取引」について金融庁への届け出を定めている。町は元の口座から振り込まれた2銀行に「疑わしい取引」の届け出と、金融庁のガイドラインに基づく対応を要請。これらの手法は、決済代行業者の3社に圧力をかけ、外堀を埋める効果もあったとみられる。 渡辺修・甲南大特別客員教授(刑事訴訟法)は「今回は決済代行業者が犯罪に巻き込まれることを嫌ったのでは。容疑者が返還に同意したことも回収につながったと思う」と指摘。「金融取引は仮想通貨(暗号資産)などのサイバー空間に移行している。犯罪収益を回収しにくいネットの世界で隠匿されるのを防ぐためにも、強制的に回収できるような立法化が求められる」と話す。【中里顕】 カネは使いきったはずでは… 4630万円誤送金問題 深まる謎
2022年5月24日 13時59分 東スポWeb まだまだ事件の謎は多い(東スポWeb) 山口県阿武町が誤って振り込んだ、新型コロナ対策の臨時特別給付金4630万円を誤入金と知りながら、一部を別口座に移し替えて不当な利益を得たとして、電子計算機使用詐欺容疑で無職田口翔容疑者(24)が逮捕された事件で、出金先の一つの決済代行会社から3500万円余りが町の口座に振り込まれていたことが23日、分かった。容疑者が使い切ったと思われた金はなぜ残っていたのか? なぜ容疑者ではなく町の口座に振り込まれたのか? 裁判への影響は? さまざまな疑問について専門家が解説した。 田口容疑者の弁護士によると、阿武町は4月8日に臨時特別給付金10万円に加え、4630万円を容疑者の口座に振り込んだ。容疑者は19日までに34回にわたり計約4633万円を出金。主な出金先は国内の決済代行会社3社で、そのうち27回の計約3592万円が1社に集中していた。関係者によると、この会社から阿武町の口座に3500万円あまりが振り込まれていたという。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「田口容疑者はオンラインカジノをやるつもりで、海外への送金を行う業者にプールした状態だったということでしょう」と解説する。 なぜ決済代行業者は返金したのか? 井上氏は、2016年に埼玉県でオンラインカジノの決済サービスを行っていた業者が千葉県警に逮捕された事例を挙げる。 「業者は『送金を手伝っていただけで賭博をやっていたわけではない』と言っていたが、県警は送金業者とオンラインカジノをやっていたサイトは一体で賭博をやっていたと認定して逮捕した。今回の業者も、田口容疑者が送金してまだオンライン賭博をやっていなかったとしても、決済をすることで日本国内で賭博をやらせていたと警察が認定すると、ガサ入れどころか逮捕される可能性がある。警察が来る前にややこしいお金を返そうとしたのではないか」 今回の事件は、田口容疑者が「海外のインターネットカジノで全部使った」と代理人に話したことで、決済業者にも「グルなんじゃないか」などと注目が集まった。 「決済業者にすれば、もし田口容疑者がマネーロンダリングのためにウチを使ったとなると、銀行法違反や資金決済事業法違反というもっとややこしいことになり、国税まで出てくる。反社とのつながりや反社のフロント企業なんじゃないかということまで調べられるし、もし本当に反社と関わりがあれば、罪だけではなく本丸の方まで捜査が伸びるので、そちらのお仲間からも追及されかねない」 ちなみに、オンラインカジノとインターネットカジノとは違うという。 「オンラインカジノはインターネット上のサーバーを使って、海外では合法のポーカーやバカラをやらせること。一方、インターネットカジノは自分のところで賭けさせて支払いまでやるので賭博開帳図利罪になります。ですのでオンラインカジノは海外にサーバーがあり、日本で賭博開帳しているわけではないのでグレー、インターネットカジノは違法になります。つい先日も名古屋のインターネットカジノ業者が逮捕されていました」 田口容疑者がこの違いを認識した上で、「カジノ」について代理人に説明していたかは不明。 決済業者が阿武町に返還したことについては「容疑者に戻すと、また別の業者に送ってしまう可能性もある。そんな不正なことには手を貸しませんと考え、阿武町に返したのでは」。一番大きな金額を扱っていた業者が返したことで、ほかの決済業者が後に続く可能性も考えられるという。 理由はさておき約7割の金が返金された。田口容疑者の裁判にも影響はあるのか。弁護士法人至道法律事務所の岡筋泰之弁護士は「被害回復がなされ、損害がかぶらずに済んだというのは情状の対象になります。本人からではないとしても、被害回復されたことで田口容疑者に有利に働く可能性があります」という。 田口容疑者に給付金や弁護士費用など約5115万円を求めて提訴している阿武町は23日、「係争中のため、お答えは控える」とコメントした。 未回収330万円はデビット決済 「手続き考える」 阿武町誤給付 2022年5月24日 18時42分 毎日新聞 誤給付分の回収状況について説明する中山修身弁護士(右)と山口県阿武町の花田憲彦町長=町役場で2022年5月24日午前11時27分、福原英信撮影 山口県阿武町の誤給付を巡り同町の無職、田口翔容疑者(24)が電子計算機使用詐欺容疑で逮捕された事件で、花田憲彦町長は24日、町役場で記者会見し、誤給付した4630万円のうち約4299万円を「法的に確保できた」と述べ、9割超の回収に成功したと明らかにした。田口容疑者は、誤給付分の大半をオンライン決済代行業者3社に振り込み「ネット(オンライン)カジノで全て使った」などと説明していたが、これらの3社から町の口座への入金を確認した。
【図解でみる】誤給付を巡る経緯 記者会見に同席した町の代理人弁護士によると、町は4月27日、田口容疑者が振り込んだ2銀行の計3口座を差し押さえる仮処分を申し立てた。5月13日には犯罪収益移転防止法に基づき、両銀行に対して容疑者からの振り込みを「疑わしい取引」として金融庁に届け出るよう要請。逮捕翌日の19日にも町が3社に対して債権の差し押さえ・取り立て手続きを進めた結果、20日に3社から町の口座に返還があり、最終的に計4299万3434円を確保したという。 一方、残りの約330万円は、買い物時などに口座から代金を引き落とすデビット決済で出金されたとみられる。これらの回収方法については「どういう手続きをやっていくのか考えていきたい」(代理人弁護士)などと明言を避けた。 町は誤給付分の返還を求めて12日に提訴していたが、容疑者側が町の請求を無条件に認める「認諾」の手続きを取ったことから、町は山口地裁に容疑者の債権差し押さえを23日に申し立てていた。誤給付分の大半が返還されたことについて、花田町長は「もちろん一部だが、相当大きな部分を占めるものを確保できたので若干安心した。まだ全て回収したわけではないので、これからも努力を続けていかなければならないと改めて感じた」と述べた。 町は4月8日、新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金として、申請のあった463世帯分計4630万円を誤って田口容疑者の口座に振り込んだ。容疑者の代理人弁護士などによると、オンライン決済代行業者1社に同10〜18日、27回にわたり計約3592万円を振り込んだ。別の業者2社にもそれぞれ300万円と400万円を振り込み、うち400万円分が逮捕容疑となった。デビット決済でも計約340万円が出金され、口座の残高は約6万9000円だった。【近藤聡司、福原英信】
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