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元記事http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/2049673.html
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天才エコノミスト、植草一秀氏の新刊本。卓越した金融経済の知識を基に、内外の諸情勢を鋭く分析する。メディアをにぎわす時事問題の本質が、この1冊で概観できる。
表紙カバーに「ウクライナ戦乱と資源価格インフレ 修羅場をむかえる国際金融市場」の副題が添えられている。緊迫するウクライナ情勢と世界的なインフレは、われわれの目の前にある大きな問題だ。
テレビを持たず新聞も取らない私は、ウクライナ情勢のことを全く知らなかった。ただ、ロシアをたたいているようだから、ロシアが正しいに決まっているとの偏見だけあった。同書には、ヤヌコビッチ政権崩壊からNATO(北大西洋条約機構)加盟への動きまでの経緯が説明されていて、偏見が正しいことが裏付けられた。宣伝でしかないマスコミ報道にどっぷり浸かった人には、即効の解毒剤になるだろう。
具体的には2014年、ウクライナのヤヌコビッチ政権が内乱によって転覆された。内乱を背後から操作したのが、米国のネオコン勢力とみられる。その収拾のために「ミンスク合意」が制定されたにもかかわらず、ウクライナ政府は東部地域に対する自治権付与を全く認めず、逆にNATO加盟への動きを拡大させている。
第4章「反グローバリズムで分裂する世界」の最後に、「ウクライナと台湾問題の背後にあるもの」と題された節がある。ここではウクライナ問題とともに、台湾問題の本質を考察している。米中対立の焦点として台湾情勢が語られるが、極東情勢の不安定化は、日本政府による軍事支出拡大の大義名分になる。ウクライナ情勢緊迫化に際しては、バイデン大統領がウクライナへの武器供与を指令した。
その上で、「両地域をめぐる軍事的緊張拡大の背後に、利権動機、経済動機が存在することを銘記することが必要」と注意喚起する。
日本経済の衰退は、多くの人が思っている以上に著しい。為替レートを実際に物を買う力に変化が生じない水準、つまり購買力平価で見た場合、1人当たりの平均賃金はすでに韓国に抜かれていると指摘する。1人当たりGDPが27位の韓国に対し、日本はまだ23位だと喜んでいる場合ではない。
世界経済の覇権も、多くの日本人の認識と懸け離れている実態を示す。CIA(米中央情報局)の「ワールド・ファクトブック」によれば、購買力平価ベースの名目GDPでは中国が23.0兆ドルであるのに対し、米国は19.8兆ドルとすでに抜かれている。日本は5.2兆ドルで第4位。1995年、中国経済は日本経済の8分の1の規模だったが、2020年には3倍に成長。その間、米国経済は4倍に拡大したのが実態だ。
国力が弱くなるほど、通貨の価値が下落すると言われる。岸田内閣が発足して「経済的安全保障」という言葉が使われているが、植草氏は同政権の為替政策に疑問を呈す。
「経済的安全保障を真剣に考えるのなら、日本の貴重な資産が外国資本によって容易に買い占められてしまう状況を放置することは許されないはず……マクドナルドのビッグマックで計測する購買力平価が1ドル69円である中で、現実のドル円レートは1ドル115円水準に置かれています。このことも、日本の国力の衰退を象徴する1つの現象と言えるでしょう」
「失われた10年」「失われた20年」という言葉を作ったのは植草氏だが、30年にも及ぶ日本経済衰退の原因を検証するため、6つの政策期間に分けている。すなわち、@バブル期(1985〜1990)A政策不況期(1990〜1995)Bオアシス期(1995〜2000)C黒い霧期(2000〜2006)D混迷期(2006〜2012)Eアベノミクス期(2012〜2021)――である。
その上で、今の日本経済の諸問題の原型がつくられたのはC黒い霧期(2000〜2006)と指摘する。小泉内閣が「改革」の名の下に行った経済政策運営上の重要事実を列挙する。第1に、超緊縮財政とゆがんだ金融行政によって真正の金融危機を創出。第2に、巨大な金融経済上の不正、民営化の名の下での不正が繰り広げられる。第3に、経済政策運営の中核に新自由主義が据えられた――のである。
テレビ各局に出演し、鋭い経済政策評価を展開していた植草氏が、身に覚えのない冤罪(えんざい)事件で逮捕されたのも、この期間である。国民生活を最優先に考える経済政策が、政治とマスコミが一体となって葬られた時期とも重なる。
目を引いた挿話は、菅義偉氏の任期満了に伴い実施された21年9月の自民党総裁選で、米国が河野太郎氏を就任させようとしていたとの指摘だ。しかし、河野氏の党内不人気で自滅したという。それと並行し、安倍晋三元首相の軍門に下ったかに装い、政権を盤石にする人事を敷いた岸田氏の深謀遠慮があったと分析する。あまりの鋭さにうなった。
同書を一読して早速、見たいと思った「お薦め作品」が2つあった。1つはオリバー・ストーン監督のドキュメンタリー映画『ウクライナ・オン・ファイアー』(2016年)。「ウクライナ問題の真相を知る上で有用」と推奨している。もう一つは土屋トカチ監督によるドキュメンタリー映画『アリ地獄天国』。理不尽な労働環境に置かれた30代の社員が、会社の改善を求めて闘った3年間の記録である。植草氏は「資本家が絶対に見せたくない映画」と評する。
個人的に最も注目したのは、第7章「勝者と敗者 新型コロナパンデミックの真実」である。19年10月18日に催された2つの行事、「イベント201」と「世界軍人運動会(ミリタリー・ワールド・ゲームズ)」を挙げ、新型コロナ騒動が仕掛けられた目的について3つの仮説を披歴している。
すなわち、@巨大なワクチン利権の獲得A生活様式の急激な変化によって、全世界の市民行動をデジタル管理下に移行させるB地球人口の削減――である。最終目的という意味で私がとりわけ関心を寄せたのは、Aの民衆管理に関する記述である。植草氏はWEF(ワールド・エコノミック・フォーラム)で「グレートリセット」という言葉が前面に打ち出されたことに触れ、次のように警告する。
「コロナパンデミックを契機に、国家権力による個人のデジタル管理、デジタル監視が、急速に進行しつつあります。ワクチン強要、接種証明強要の背後にも、この思惑が色濃く蠢(うごめ)いている……近未来はユートピアではなくディストピアということになるのです」
私が「オールジャパン平和と共生=政策連合」の運営委員を辞めたのは、民衆奴隷化の口実にすぎない「新型コロナ対策」を放置して税制等諸問題に取り組むのは本末転倒だとの主張が聞き入れられなかったから。民衆の完全管理が支配権力の意志と分かった以上、地租改正や農地解放、累進課税制などの平準化運動も人類を一様に貧しくするための地ならしだったと見なければならない。『資本論』も奴隷化の偽旗プロパガンダ本にすぎないことがはっきりした。
とはいえ、民衆を完全管理する世界規模での策謀を正面から問題視する意見が出て来たことは歓迎すべきことである。こうした視点が同書の普及により、与党以上に強力な「感染症対策」を主張する野党にも広がることを期待する。
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