[文書名] サンフランシスコ平和条約(日本国との平和条約) [場所] サンフランシスコ [年月日] 1951年9月8日 [出典] 日本外交主要文書・年表(1),419‐440頁.主要条約集,5‐32頁. [備考] [全文] 連合国及び日本国は、両者の関係が、今後、共通の福祉を増進し且つ国際の平和及び安全を維持するために主権を有する対等のものとして友好的な連携の下に協力する国家の間の関係でなければならないことを決意し、よつて、両者の間の戦争状態の存在の結果として今なお未決である問題を解決する平和条約を締結することを希望するので、 日本国としては、国際連合への加盟を申請し且つあらゆる場合に国際連合憲章の原則を遵守し、世界人権宣言の目的を実現するために努力し、国際連合憲章第五十五条及び第五十六条に定められ且つ既に降伏後の日本国の法制によつて作られはじめた安定及び福祉の条件を日本国内に創造するために努力し、並びに公私の貿易及び通商において国際的に承認された公正な慣行に従う意思を宣言するので、 連合国は、前項に掲げた日本国の意思を歓迎するので、 よつて、連合国及び日本国は、この平和条約を締結することに決定し、これに応じて下名の全権委員を任命した。これらの全権委員は、その全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次の規定を協定した。 ★サンフランシスコ条約は、日本が4つの誓約事項を宣言することで、それを前提に締結されている。 ★この4つのうち、1つでも虚偽があった場合、停戦協定は失効するのは当然だ。 その5つとは、 @国際連合への加盟を申請し且つあらゆる場合に国際連合憲章の原則を遵守し A世界人権宣言の目的を実現するために努力 B国際連合憲章第五十五条及び第五十六条に定められ且つ既に降伏後の日本国の法制によつて作られはじめた安定及び福祉の条件を日本国内に創造するために努力 C並びに公私の貿易及び通商において国際的に承認された公正な慣行に従う ★このスレの※憲法改正無き日本軍の創設はBへの違反だが、 最も明確なサンフランシスコ条約前提違反はAである。 https://www.nichibenren.or.jp/document/civil_liberties/year/2019/2019_2.html 国際人権条約には、国際人権条約で保障された権利を侵害された者が、国内で裁判などの救済手続を尽くしてもなお権利が回復されない場合に、人権条約機関に直接救済の申立てができる手続である個人通報制度が付帯され、日本が批准している国際人権条約のうち、計8条約にも個人通報制度が付帯されているが、日本はいずれの個人通報制度も導入していない。 そのため、日本の裁判所はその判断が条約機関から批判されることがないことから国際人権条約に対する理解が不十分であり、その結果、法律よりも優位にあるはずの国際人権条約が、日本の裁判実務において、直接適用されることがなく、また、国内法の解釈においても、ほとんど判断の基準として採用されていないという事態が生じている。 また、世界では、当該国に居住する者であれば国籍の有無にかかわらず、侵害された人権の回復を求めていくことのできる国内人権機関が多くの国で設置され、1993年の国際連合総会においては、国内人権機関がその権限や構成、独立性等において具備すべき基本的な要素について示した、人権の促進及び擁護のための国家機関(国内人権機関)の地位に関する原則(パリ原則)が決議された。 現在、国際連合加盟国のうち、既に120か国以上において国内人権機関が設置されているが、日本では、国内人権機関そのものがいまだに設置されていない。 そこで、当連合会は、国に対し、以下のとおり求める。 1 個人通報制度を直ちに導入すること。 日本が批准している、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」、「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」、「子どもの権利に関する条約」、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」、「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約」、「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」及び「障害者の権利に関する条約」について、日本は、個人通報制度を定めた条約に付帯する選択議定書を批准すること、あるいは、条約本体に定める個人通報条項の受諾宣言を行うこと。 2 以下を内容とする国内人権機関を早急に設置すること。 (1) 委員及び事務局の任命及び解任手続等の人事権並びに予算等の財政につき、政府の統制に置かれず、人権の促進及び擁護のための国家機関(国内人権機関)の地位(パリ原則)に関する原則を満たすよう法律で定めること。 (2) 設置される国内人権機関については、次の機能が付与された機関であること。 @ 人権救済機能として、事実関係を調査する権限を有し(公的機関に対する調査権限を含む。)、調停、勧告等の救済措置を採ることができる機関であること。 A 政策提言機能として、人権の保護及び促進の観点から、国や地方自治体の立法機関・行政機関に対し、新たな立法についての意見や、現行法の改正及び行政施策の策定や変更についての提言を行う等、人権保障を制度的に進める措置を採ることができる機関であること。 B 人権教育機能として、学校や企業、裁判官・検察官・警察官・刑事拘禁施設職員等法の適用・法の執行に携わる者、弁護士等に対して、人権教育プログラムを行うことができる機関であること。 C 国際協力機能として、人権の保護及び促進を担う国際連合及び関連機関や、他国の国内人権機関と協力することができる機関であること。 現在、社会の深刻な問題となっている子どもの人権、女性差別、障がい者差別、外国人の人権及びヘイトスピーチなどの諸問題の解決を大きく前進させるために、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」及び「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」を批准して40周年を迎える今こそ、両制度の実現が求められている。 そのため、当連合会は、日本が個人通報制度を導入し、人権の促進及び擁護のための国家機関(国内人権機関)の地位に関する原則(パリ原則)にのっとった国内人権機関を設置して、もって国際水準の人権保障システムを完備するよう求めるとともに、当連合会もその実現のため引き続き全力を尽くす決意である。 そして、日本の裁判実務において、国際人権条約をはじめとする国際人権法が、実効性を有するものとなるためには、訴訟活動に従事する弁護士自身が裁判の中で国際人権法に基づいて訴訟活動を行うことが必要である。 したがって、我々弁護士自らも国際人権法の研鑽に努めるとともに、当連合会は、今後国際人権法の研修などの組織的な取組を充実させていくことを、決意するものである。 以上のとおり決議する。 2019年(令和元年)10月4日 日本弁護士連合会 提案理由 第1 国際社会における人権保障システムの状況 1 国際社会における人権保障の潮流 国際社会は、二度にわたる世界大戦を経て、再びそのような惨劇を繰り返さず、恒久平和を実現するためには、各国における人権の確保が不可欠であること、また、歴史上まれに見る人権侵害が国内的には合法的に行われたことに鑑み、国内における人権問題を、各国の自律に委ねるのではなく、国際的に人権保障を確保するシステムの構築が肝要であることを深く理解した。そして、1945年10月には国際連合(以下「国連」という。)が設立されるとともに、1948年12月には世界人権宣言が採択された。そして、世界人権宣言でうたわれた人権保障をより具体化する作業として、国連では現在に至るまで、20を超える国際人権条約が採択されてきた。 2 人権保障システムの内容 このように、国際社会で重要な役割を担っている国際人権条約であるが、そこに認められている権利、自由が侵害された場合に、人権救済を図る手段となるのが、個人通報制度と国内人権機関である。 (1) 個人通報制度と日本の現状 個人通報制度とは、国際人権条約で保障された権利を侵害された者が、国内で裁判などの救済手続を尽くしてもなお権利が回復されない場合に、各人権条約機関(以下「条約機関」という。)に直接救済の申立てができる手続である。 日本が批准している国際人権条約のうち、個人通報制度を定めるものには、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(以下「自由権規約」という。)、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(以下「社会権規約」という。)、「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(以下「女性差別撤廃条約」という。)、「子どもの権利に関する条約」(以下「子どもの権利条約」という。)、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(以下「人種差別撤廃条約」という。)、「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約」(以下「拷問等禁止条約」という。)、「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」(以下「強制失踪条約」という。)、「障害者の権利に関する条約」(以下「障害者権利条約」という。)の計8条約がある。 そして、自由権規約、社会権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約及び障害者権利条約については、本条約に付帯する選択議定書に個人通報制度が定められており、人種差別撤廃条約、拷問等禁止条約及び強制失踪条約については本条約の中に個人通報制度を定める条項があるが、日本は、いずれについても批准あるいは受諾宣言をしていない。 しかも、上記8条約のうち、現在自由権規約委員会や子どもの権利委員会など6条約の条約機関の委員には日本から委員が選出されており、それらの委員は、個人通報制度に加入している他国の個人通報の審査に当たり勧告を行っている。 世界を見渡すと、既に約150か国で、何らかの個人通報制度を導入しているが、とりわけ、経済先進国であるG7のうち、日本を除くすべての国が何らかの個人通報制度を導入しており、経済協力開発機構(OECD)加盟36か国のうち、ほとんどすべての国が何らかの個人通報制度を導入しているのである。 また、日本に対しては、各条約機関から何度も、個人通報制度を導入するように勧告がなされ、さらには、国連人権理事会においてなされる、国連加盟国すべての国の人権状況を国連憲章、世界人権宣言及び当該国が締結している国際人権条約に基づいて審査される枠組みである、普遍的・定期的審査(一般的に、この審査を「UPR」という。)においても多くの国から勧告がなされてきた(2017年11月に行われた日本に対するUPR第3回審査では、10か国という多数の国から、女性差別撤廃条約や障害者権利条約等について個人通報制度を導入するようにと勧告がなされ、かかる勧告に対し日本政府は、2018年3月に"Accept to follow up."(フォローアップすることを受け入れる。)と回答しているところである。)。 (2) 国内人権機関と日本の現状 国内人権機関とは、人権保障と促進のために設置される国家機関であり、当該国に居住する者であれば国籍の有無にかかわらず、侵害された人権の回復を求めていくことのできる公的機関である。 国内人権機関の在り方については、1993年の国連総会において、人権の促進及び擁護のための国家機関(国内人権機関)の地位に関する原則(以下「パリ原則」という。)が決議され、その任命手続、権限、構成及び財政等のあらゆる面において政府から独立して職務を行うべきことが求められている。 そして国内人権機関には、パリ原則によって、次の権限が付与されるものとされている。 @ 人権救済機能として、人権侵害の被害者は、国内人権機関に対して人権救済の申立てを行うと、国内人権機関は事実関係を調査の上(公的機関に対しても調査を行うことができる。)、調停、勧告等の救済措置を採る。 A 政策提言機能として、国内人権機関は、人権の保護及び促進の観点から、国や地方自治体の立法、行政機関に対して、法案に対する意見、法律の改廃・立法や政策の提言等、人権保障を制度的に進める措置を採る。 B 人権教育機能として、国内人権機関は、学校や企業、裁判官・検察官・警察官・刑事拘禁施設職員等法の適用・法の執行に携わる者、弁護士等に対して、人権教育プログラムを行う。 C 国際協力機能として、国内人権機関は、人権の保護及び促進を担う国連及び関連機関や、他国の国内人権機関と協力する。 このような国内人権機関について、世界では既に120か国以上の国で設置されているが、日本では、いまだに設置されていない。 この点、当連合会は、1998年に自由権規約委員会が日本に対し「人権侵害の申立てに対する調査のための独立した仕組みを設立することを強く勧告する。」との総括所見を出して以降、国内人権機関の設置を求める活動を行ってきたが、2008年11月には「日弁連の提案する国内人権機関の制度要綱」を定め、また2014年2月には「国内人権機関の創設を求める意見書」を出すなどしているところである。 ところで、日本では、2012年に人権委員会設置法案が閣議決定され、国会に提出されたが、その直後に衆議院が解散され、同法案は審議に入る前に廃案となった。 同法案については、当連合会も一定の評価をし、同法案の議決とそれに基づく人権委員会の設置に期待をしていた。 ところが、上記のとおり同法案は廃案となり、その後現在に至るまで、同法案の再度の閣議決定や国会提出等はなされていない。 日本に対しては、各条約機関から何度も、パリ原則に準拠した国内人権機関を設置するようにとの勧告がなされるとともに、UPRにおいても多くの国から勧告がなされている。とりわけ2017年11月に行われた日本に対するUPR第3回審査では、31か国にも及ぶ多数の国から、パリ原則にのっとった国内人権機関を設置するようにとの勧告がなされている(なお、かかる勧告に対し日本政府は、2018年3月に"Accept to follow up."(フォローアップすることを受け入れる。)と回答しており、かかる観点からも、日本には積極的な措置が求められる。)。 以上のような勧告に加えて、日本も批准している障害者権利条約第33条第2項では、パリ原則にのっとった条約の実施を促進し、保護し、監視する枠組み、すなわち、障害者権利条約に関する国内モニタリングシステムの設置を締結国に求めているが、日本はいまだに同条約の求める機関の設置もしていない。 (3) 以上のように、日本では、人権保障システムとして極めて重要な役割を果たす個人通報制度と国内人権機関のいずれも存在せず、全く未整備の状況にあるのである。
|