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※紙面抜粋
※文字起こし
円安地獄が止まらない。対ドル相場は1ドル=131円台まで下落。20年ぶりの円安水準のきっかけは、黒田日銀のトチ狂った決断だ。
「指し値オペを毎営業日実施する」──。28日正午過ぎ、金融政策決定会合後に日銀のHPに掲載された方針は、市場にビッグサプライズを与えた。
日米の金利差が主因である急速な円安進行に対し、日銀が金利の上昇を容認するなどして是正に動くのではないか。そんな観測をあざ笑うかのように、出てきたのは金利を強制的に低く抑えるオペを連日行う異例の強硬策だ。
逆に日米の金利差をますます広げ、円安を促す方針を受け、円は一気に下落。その後の黒田総裁の会見が、さらに追い打ちをかけた。
「金融緩和を続けることで、経済の回復を助ける」「金融緩和の出口を早急に探ることにはならない」と強調。円安についても「全体としてプラスとの評価を変えたわけではない」と言い切った。円安に歯止めをかけるより、金利抑制を優先するという日銀の姿勢が鮮明になると、一段と円安進行に拍車がかかった。
指し値オペとは、日銀が金利抑制のため、国債を指定した利回りで原則、無制限に買い入れる制度だ。黒田日銀は許容する長期金利の変動幅を「0.25%程度」と明示。毎営業日の指し値オペを宣言した以上、0.25%程度を超える利回りでの取引は消えてしまう。
日銀の過度な介入は市場機能を失わせるだけ。本来なら市場にゆだねるべき長期金利の水準設定をゆがめてまで、円安を一層、加速させるなんて正気の沙汰とは思えない。円安に苦しむ庶民や中小企業の悲鳴は、黒田には聞こえないようだ。
絶対に異次元緩和の非を認めない「日本橋のプーチン」の頑迷固陋もここまでくると、もはや犯罪的である。
庶民を円安の犠牲にして大企業だけが儲かる
米FRB(連邦準備制度理事会)が5月以降、国内のインフレ退治に向け、さらなる利上げに踏み切るのは確実だ。黒田日銀の愚策で円安に弾みがつき、ロシアのウクライナ侵攻以降、急激な原油や穀物価格の高騰に、庶民がいっそう苦しむハメになる。
みずほリサーチ&テクノロジーズの試算だと、4月以降、平均で1ドル=130円程度で推移した場合でも、今年の家計の出費は2人以上の世帯で、前年比6万305円も増える。大半が国内で事業を展開する中小企業にとっても、輸入資材の仕入れ価格上昇を伴う円安は大迷惑だ。
日本商工会議所が中小企業を対象にした4月中旬の調査によると、円安について53.3%が「デメリットの方が大きい」と答え、「メリットの方が大きい」はたった1.2%にとどまった。経済アナリストの菊池英博氏はこう言った。
「アベノミクスの異次元緩和の開始から9年間。黒田日銀はETF買いの官製相場などで市場を大きくゆがめ、緩和策を続けてきましたが、結局『トリクルダウン』は起きていない。円安政策が国全体の利益につながっていないためです。多少の恩恵を受けたのは輸出の多い大企業のみ。大企業は円安による原材料の輸入価格上昇分を価格に転嫁しやすい立場にありますが、下請けなどの中小企業はそうもいかない。値上げ分の負担は最終的に下請けと消費者が引き受けてきた構図です。しかも、円安で利益を上げる大企業は内部留保を貯め込むだけで、労働者の賃金は長年、横ばい続き。つまり円安政策で犠牲になるのは中小企業と庶民で、異次元緩和とは大企業や資本家だけを儲けさせる政策なのです」
危険な時代に駆られる荒療治への誘惑
そんな黒田デタラメ緩和による円安・物価高の尻ぬぐいに、庶民から吸い上げた血税を投じるとは踏んだり蹴ったりだ。岸田政権がまとめた国費6.2兆円の緊急経済対策は、対症療法的な一時しのぎばかり。「柱」と称する原油高対策に1.5兆円を投じるが、具体策は散々、これまで成果の出ていないガソリン元売り各社への補助金の拡充である。
黒田日銀が円安に向け、さらにアクセルを踏み込んでしまった限り、補助金の上限を1リットル=25円から35円に引き上げたところで、無意味だ。日銀の異次元緩和策が変わらなければ、輸入価格の上昇は止まらない。
他の主要通貨に対しても円の「独歩安」が続く「日本売り」が進み、市場はこれからどういう答えをつきつけるのか。元モルガン銀行東京支店長で「伝説のディーラー」と呼ばれた元参院議員の藤巻健史氏は、4月29日の朝日新聞紙上で「円安がさらに深刻な水準まで進む」として、こう答えていた。
「1ドルが400〜500円という水準になってもおかしくないと思う」
円を発行する日銀が債務超過に陥る危険があるからだという。経済評論家の斎藤満氏もこう指摘する。
「債券市場から自由を奪い、政府や日銀に都合のいい金利しか認めないなんて、とうとう日本も中国やロシアなど専制国家と同じ統制強化の金融市場になってしまいました。挙げ句に市場が決める金利よりも低い『高値』で国債を無制限に買い入れるなんて常軌を逸しています。それでも世界的な金利上昇やインフレ局面は避けられません。いずれ日銀が金融引き締めを迫られると、日銀が保有する国債の含み損が急に膨らんだとみなされ、事実上の債務超過に陥るリスクはある。今回の指し値オペ毎営業日実施は、その時の損失を膨張させかねない愚策です」
禁じ手の帰結は預金封鎖と新円切り替え
日銀が債務超過になったら、外資は撤退、日本国債は投げ売りで大暴落だ。そんな異次元緩和のツケが悪夢のように押し寄せてきても、当然の報いなのかもしれない。
日銀は否定するが、中央銀行が事実上、政府発行の国債を引き受け、財政を支える異次元緩和は「財政ファイナンス」の禁じ手にほかならない。歴史的にも財政ファイナンスの帰結は、必ずハイパーインフレを引き起こす。典型例が日本の敗戦直後、1946年のハイパーインフレだ。
この年、旧卸売物価指数は前年比364.5%も上昇した。主な理由は37年の日中戦争勃発から終戦までの軍事費の急拡大と、それを支えた日銀の資産膨張である。敗戦後、その清算を国際社会から一気に求められたのだ。
それでも終戦前の44年に日銀の総資産額は対名目GDP比33.5%だった。
一方、現在の日銀の資産規模は738兆4040億円に達し、対名目GDP比は130%を超える。それだけ戦後直後以上にハイパーインフレのマグマがたまりにたまっていると言えよう。
「当時のハイパーインフレに対し、政府は『預金封鎖』に『新円切り替え』という荒療治で、しのぎました。当然、それまでの円紙幣や国債は文字通り紙くずです。今の日本政府もインフレが進めば、荒療治の誘惑に駆られる。台湾有事を想定し、危険な方向に歩み出していれば、なおさらです」(斎藤満氏=前出)
前出の菊池英博氏はこう言う。
「政府・日銀が金利抑制を重視するのは参院選対策の狙いもあるのでしょう。金利が上昇すれば、大手企業の債務負担も増し、選挙に悪影響を及ぼしかねません。岸田政権もやはり、一部の資本家を最優先し、広く国民に影響を与える円安対策を後回しにしているとしか思えません」
国民軽視で参院選突入とはいい度胸だ。円安地獄に対する日銀と政府の責任は明白。その落とし前は選挙でつけなければいけない。
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