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※紙面抜粋
※2022年4月28日 日刊ゲンダイ2面
【この経済対策は死に金になる】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) April 28, 2022
シャブ漬け日本経済に対症療法の無意味
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/JjYUZi05F2
※文字起こし
「原油価格、物価高騰が社会経済活動の回復の妨げになることは何としても防がなければならない」
26日、首相官邸で会見を開き、物価高騰に対応するための「総合緊急対策」の概要を発表した岸田首相。
対策は、低所得の子育て世帯に対し、子ども1人当たり5万円の給付金を支給することや、現在1リットル当たり25円を補助している石油元売り会社への補助金の上限を同35円に引き上げることなどが柱だ。
財源として6.2兆円の国費を充て、民間支出などを含む事業規模は13.2兆円規模になる見通し。国費の主な使途は、「原油高騰対策」に1.5兆円、「エネルギーや食料などの安定供給対策」に0.5兆円。「生活困窮者支援」や「中小企業対策」でともに1.3兆円を計上する。
見逃せないのは、財源の中に国会審議を経ずに政府判断で使用できる予備費1.5兆円が盛り込まれ、うち、1.1兆円が「新型コロナウイルス対策」の予備費ということだ。本来は「コロナ対策」に使うはずだった予算が、何ら議論もないまま「物価高対策」に回されるワケで、予算の目的外支出や流用と変わらない。そもそも、コロナの「第7波」の流行も懸念されている中で、政府の「お手盛り」で勝手に使い道を変えていいはずがないだろう。
予算委で対策の目的、実効性を審議するべき
予備費は「予見し難い予算の不足に充てるため」(憲法87条)に使うものであり、これまでは自然災害などの不測の事態に備えて年間5000億円程度が予算計上されてきた。ところが、自公政権は「コロナ対策」を理由に2020年度第1次補正予算で1.5兆円、第2次補正予算で10兆円も計上。21、22両年度も5兆円ずつ積み増すなど、今や「お手盛り」状態が常態化している。
コロナ禍で停滞する経済とロシアのウクライナ侵攻を原因とする物価高は切り離せない──。
政府内ではこんな声があるらしいが、そうであれば、なおさら、予備費を使い回すのではなく、国会開会中なのだから、予算委員会を開いて物価高に対応するための実効性ある経済対策についてきちんと議論すればいい。
にもかかわらず、岸田政権が予算委を開かないのは、今夏の参院選を控え、国会で野党に突っ込まれたくないのではないか。つくづく野党、国民をなめ切った姿勢だが、おそらく自公政権にとって、予備費は「国会審議を通さずに好き勝手に使えるカネ」「選挙対策のつかみ金」という程度の位置づけなのだろう。
これではマトモな経済対策など出てくるはずがない。コロナ予備費を財源とした「年金受給者への5000円給付」なんて愚策が出てくるのも当然ではないか。今回の「総合緊急対策」だって、しょせんは選挙目当てのバラマキ策の延長に過ぎず、「死に金」になるのは目に見えている。
埼玉大学名誉教授の相澤幸悦氏(経済学、金融論)がこう言う。
「今の日本経済は不況下での物価高という異常事態。あらゆる政策を総動員する時なのに、ガソリン代の補助や低所得者向けの給付金などチマチマしたバラマキ策ばかり。参院選を控え、国民ウケを狙った象徴的な対策を選んだとしか思えません。抜本策が何もないというのが印象です」
岸田首相、黒田総裁に戦時下経済の危機感なし
そもそも、今のように「ウクライナ危機」が続く中では、円安進行の終わりが見えず、いつまで原油高が続くのかも分からない。石油元売り会社への補助金支給だって、際限なく引き上げるのも現実的ではないし、政府が支給中止を決めた途端、高値になる前にガソリンを補給しておこうと考えた客がスタンドに殺到するのは間違いない。現場や物流が大混乱するのは容易に想像できる。
しかも、円安が影響を与えているのは原油だけじゃない。他の資源や食料品など、あらゆる生活必需品の価格が上昇しており、家計を圧迫し続けている。つまり、今の円安進行に歯止めをかけない限り、抜本的な経済対策にはならないのだ。
円安の背景には、利上げに積極的な米国と、大規模な金融緩和を続けている日本との間で広がる金利差があるが、やっかいなのは円が対ドルだけではなく、他の通貨に対しても下落する「独歩安」の状態ということだ。
円安是正に向け、欧米の通貨当局と連携して相場介入する動きがあればともかく、そうした状況はみられない。日本が単独介入しても効果は期待できないから、円安進行をストップさせる具体策の一つは金融政策の修正以外にないだろう。日銀の黒田総裁が推し進める異次元緩和の見直しだ。
弊害ばかりが目立ち始めた日銀の異次元緩和
9年前から「黒田バズーカ」の名のもとに始まった異次元緩和。市場をカネでジャブジャブにすれば企業の設備投資や従業員の賃上げ、日本経済の活性化につながる、などと喧伝されたが、そんな動きはほとんど見られず、輸出中心の大企業が内部留保をため込んだだけ。
金融機関は低金利、低収益で苦境に立たされ、貸し出しは増えず、設備投資が活発化するどころか「円安」と「実体のない株高」が常態化し、「濡れ手で粟のカネ」を得ることに慣れた企業が増加。新たな商品開発やサービスを生み出しにくくなった、といった弊害も指摘されるようになった。
異次元緩和策の一環として日銀が国債の爆買いを続けたため、国債残高に占める日銀保有の割合は、黒田が総裁に就任した12年末の11%から43%(21年末)に急上昇。財務省の試算によると、金利が1%上昇すると、国債の元利払いは25年度に今の想定より3.7兆円も増えるというから、これでは欧米諸国のように利上げに踏み切りたくても軽々にできない状況になった。
円安が物価高騰に直結し、家計や企業の負担増が進むと分かりつつも、日銀に手足を縛られている──。いわば“シャブ漬け状態”にあるのが今の日本経済の実相で、とてもじゃないが、その場しのぎの対症療法では意味がないことは、岸田だって分かっているはず。だからこそ、岸田は政調会長だった18年3月の会合で、「(金融緩和は)いつまでも続けることはできない」と語っていたのではないか。
それなのに26日の会見では「日銀は2%の物価目標の下にその政策を進めている。引き続き努力を続けていただくよう期待している」なんて言っていたからワケが分からない。一事が万事この調子で、岸田はウクライナ支援でも「やっているフリ」だが、すべてが行き当たりばったりだ。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「岸田政権がまず、取り組むべきは円安をもたらしている要因をきちんと調査、分析し、止めるための対策です。さらに長期的な視点に立った経済対策も必要。例えば、食料の安全保障と言ってもいいかもしれませんが、小麦などの食料自給率を引き上げるためにはどうすればいいのか。将来の日本経済を支える成長産業は何があるのか。今こそ真剣に考える時なのです。それなのに傷口に絆創膏を貼っただけのような策ばかりだから呆れてしまう」
「日銀も日銀でしょう。原油高は自分たちのせいではない、みたいな顔をしていますが、そうではない。ウクライナ紛争前から日米欧の中央銀行による金融緩和によって市場にあふれたカネが資源=原油に回り、すでに値上がる構図ができていたわけで、今の資源高を招いた責任は中央銀行にもあるのです。そうした状況を無視し、黒田総裁は相変わらず大規模緩和を継続などと言っている。岸田首相も黒田総裁ともに戦時下経済という危機感が全く感じられません」
失政の糊塗に無意味な税金を使われる国民は大迷惑だ。
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