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※紙面抜粋
※2022年4月22日 日刊ゲンダイ2面
【何が何でも敵基地攻撃】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) April 22, 2022
本性剝き出し トチ狂ってきた自民党
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/P5tRxxbnZJ
※文字起こし
ロシア軍が2月24日にウクライナに侵攻してから間もなく2カ月。ウクライナ南東部に軍事力を集中配備したロシア軍による一斉攻撃は秒読み段階に入り、要衝マリウポリのアゾフスタル製鉄所を包囲しているロシア南部チェチェン共和国の独裁者カディロフ首長は21日未明、通信アプリ「テレグラム」に音声メッセージを投稿。「(現地時間同日)昼食前か昼食後にロシア軍が完全制圧するだろう」などと予告した。
ロシア軍はここ数日、ウクライナ部隊に投降して製鉄所を明け渡すよう呼び掛けてきたが、ゼレンスキー政権はこれを拒否。製鉄所の地下空間には、女性や子供を含む民間人が多数避難しているとされ、ロシア側の主張する「完全制圧」の先にどんな悲劇が待っているのか。世界中の人々が祈るような思いでコトの成り行きを嘆き、悲観し、注視している。
米ワシントンで20日(日本時間21日)に閉幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、欧米各国の出席者からロシアの軍事侵攻を強く非難する声が続出。しかし、ロシア側は一切聞く耳を持たなかったばかりか、同国防省は欧米を“威嚇”するかのように新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」の発射実験成功を発表。プーチン大統領も「わが軍の戦闘能力を強化し、ロシアの安全を外部の脅威から確実に守る」「攻撃的な言動でわが国を脅かそうとする者に再考を迫るだろう」などと好戦的な姿勢をエスカレートさせている。
「撃たれる前に撃つ」のは非現実的だ
「やれるもんならやってみな」とばかり、ミサイルを打ち上げて各国を挑発する今のロシアの姿勢は北朝鮮と何ら変わらない。プーチンを「金正恩の兄」などと揶揄する声が上がるのも当然だが、そんな「ロシアの脅威」を言い訳にして「日本も敵基地攻撃能力が必要」などと本性剥き出しでトチ狂っているのが自民党だ。
政府の国家安全保障戦略の改定に向けた提言案を協議した20日の自民党安全保障調査会(会長・小野寺元防衛相)の幹部会合。最大の焦点は、自衛目的で相手領域内のミサイル発射を阻止する「敵基地攻撃能力」の保有の有無だったが、大した議論もなく保有を求める方針が確認され、21日の全体会合では名称が「反撃能力」に改められることが決まった。
幹部会合では、攻撃対象はミサイル基地だけではなく、指揮統制機能などの司令部も含めることや、「防衛装備移転三原則」の見直し、国際法違反の侵略被害国に対しては「より積極的で広範な軍事支援」を可能とする制度の検討も打ち出されたが、あまりに性急すぎると言わざるを得ない。このまま突き進めば、日本がこれまで築き上げてきた「専守防衛」を逸脱する恐れがあるだけでなく、周辺国との軍拡競争にもつながり、かえって軍事的緊張を高める危険性があるからだ。
提言案では、NATO(北大西洋条約機構)が加盟国に対してGDP(国内総生産)比目標2%以上の防衛予算を求めている点を例示し、日本も同程度の防衛費増額を目指す──としたが、例えば、過去20年間で軍事予算を10倍に増やしている中国のような国を相手にした場合、どれだけカネがあっても足りないだろう。
果たして「敵基地攻撃能力の保有」は日本にとってメリットがあるのか。
元陸自レンジャー隊員の井筒高雄氏はこう言う。
「原子力潜水艦に加え、地上でも移動式のミサイル発射台があり、相手国のミサイルがどこから飛んでくるのか分からない。そんな状況下で『撃たれる前に撃つ』のは現実問題として不可能と言わざるを得ません。軍事費を増大させても、米国の言い値で武器を購入させられるだけ。それならば、原発を攻撃された場合の防御態勢をどう構築するのかや、ロシアや中国などと軍事的緊張を高めないようにどうするべきなのかを考えたほうがいいでしょう。敵基地攻撃能力か反撃能力なのか、言葉はともかく、私はメリットはないと思います」
「敵基地攻撃能力=抑止力」は「お花畑」の発想
「相手国の基地攻撃が可能になる武器を持つ」ということは、それを脅威と捉える相手国にとっては「日本を標的にする口実にもなり得る」ということ。自民党は相手国のミサイルを事前に破壊できる能力を持つことで、日本への攻撃を思いとどまらせることができる──などと考えているらしいが、そもそも、相手国がミサイルの発射準備に入った段階で、その標的が日本であるという「確証」をどんな手段で入手するというのか。
仮に情報が誤ったまま日本が相手国の基地を攻撃すれば、国際法で禁じられた「先制攻撃」を仕掛けたのと同じ。それこそプーチン・ロシア軍と変わらない。
百歩譲って、「日本国民の被害を最小限に抑えるため」に相手国のミサイル基地や司令部の攻撃が成功したとしても、ミサイル攻撃された相手国がそのまま黙って「ハイごめんなさい」で収まるはずがない。おそらく、あらゆる軍事力を行使して日本に猛反撃するのは容易に想像がつく。
今のロシア・ウクライナ紛争のような血で血を洗う戦いに突入するわけで、先の大戦でも、日本がハワイ・真珠湾を攻撃した後に何が起きたのか忘れたわけではあるまい。「被害を最小限度に抑える」どころか、どれだけ悲惨な状況を招いたのか。「敵基地攻撃能力を持てば抑止力になる」なんて、それこそ自民党右派議員がSNSなどで多用する「お花畑」の発想。幼稚で自分勝手な思い込みと言っていい。
無能政治家が闊歩するのはメディアが原因
「日本が守りを専門にして打撃力を米国に任せる構図は大きく変えないとしても、日本も少しは独自の打撃力を持つべきだと完全に確信している」
自民党内で最も「敵基地攻撃能力の保有」に前のめりになっているのが安倍元首相だ。安倍は首相時代にも、当時、配備撤回となった地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」に代わる防衛手段として「敵基地攻撃能力の保有」に意欲を示していた。この時は「北朝鮮の脅威に備えるため」だったが、今回は「ロシアのウクライナ侵攻」が理由。要するに、最初から「やる=攻撃能力保有」が前提なのだ。
繰り返すが、「敵基地攻撃能力の保有」は専守防衛の大転換につながるため、国民的な議論が欠かせない。それなのに名称変更なんて、どうでもいい話でゴマカしているのは本質的な議論から国民の目をそらして煙に巻いているのだろう。
自民党が本気で新たな安全保障政策が必要──と考えているのであれば、きちんと国民にメリット、デメリットを示した上で議論を積み重ねるべきだし、今夏の参院選の争点に掲げればいいではないか。
それなのにロシア侵攻のドサクサ紛れにどんどん進めているのだからいい度胸だ。メディアもメディアだ。ウクライナ報道に隠れて「敵基地攻撃能力の保有」について無批判に垂れ流しているが、本来はきちんと問題点を整理、指摘し、今のような進め方を「詭弁だ」と厳しく問うのが筋だ。そうしたまっとうな報道をしないから、明らかに勉強不足で勇ましいことを言うばかりの安倍のような無能政治家が闊歩する状況になるのだ。福田赳夫元首相の秘書を務めた中原義正氏がこう言う。
「敵基地という『敵』が誰なのかも定まらず、攻撃を受けるかもしれないという武器も戦術も分からず、どうやって対応するのか。安倍政権では、北朝鮮のミサイル発射に備えてアラームを鳴らす──なんてこともあったが、『敵基地攻撃能力の保有』も同じくらいバカバカしい議論だ。ロシア侵攻に国民の関心が高まる中、何かやっている感を出したいのだろう」
百害あって一利なしだ。
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