●阿修羅プーチン擁護派の正体 オウム帝国の正体(新潮文庫) オウムと北朝鮮 12 件のカスタマーレビュー Amazonで購入 オウムと北朝鮮の接点−−サンデー毎日2000年3月26日号の驚くべき記事 サンデー毎日2000年3月26日号に、驚くべき記事が載って居る。題名は、「驚愕スクープ!!ACIA(オウム秘密組織)メンバーの証言・北朝鮮に『サリン製造文書』が渡っていた」(同誌同号20ページ〜23ページ)と言ふ物で、オウムと北朝鮮の「社会安全部」の間の接触を脱会した信者が証言する内容と成って居る。この記事の一部を以下に引用しよう。−−「ボスが北朝鮮に渡したのは、当時、教団が取り組んでいた兵器開発の資料に間違いありません。当然、サリンの製造・実験データも入っていると思います」衝撃的な証言の主はかつてオウムの秘密組織メンバーだった元信者、X氏だ。氏は1990年前後、オウム真理教に入信して出家した。もともと「超能力やヨガに興味があった」というX氏だが、出家後所属した教団の秘密組織「ACIA(AUM・CIA)」で目の当たりにした教団の実態は、宗教活動にはほど遠い非合法活動のオンパレードだった。・・・(中略)・・・X氏は教団の建設班などに所属後、後に教団の自治大臣となる新実智光被告の指揮で非合法活動に従事した。95年3月、捜査当局による教団への一斉強制捜査を契機に、「教義に疑問を感じて」教団を脱会した。そのX氏が、地下鉄サリン事件直前、極秘で行われた教団幹部と北朝鮮工作員との密会について語ったのが、冒頭の証言である。ここでいう「ボス」とは、麻原被告ではなく、新実被告を指す。・・・(中略)・・・「ACIAメンバーの前でボスがこう言ったのです。『これから北朝鮮の人に会いに行かなければならない。機密書類を渡す約束がある』。それからボスは高橋(克也容疑者=特別手配中)に車を運転させ、新宿区内にあるホテルに向かいました。ボスには平田(信容疑者=同)も同行していたような気がします」施設に戻った新実容疑者は、ACIAのメンバーに、「(書類は)渡してきた」と言ったきり、二度とその話題に触れることはなかったという。・・・(中略)・・・X氏自身も一度、北朝鮮の工作員とみられる人物に会っている。93年の暮れ、やはり新宿駅近くの喫茶店での幹部が密談している時だったという。「ボスが2人の男を連れてきたんです。ボスが言うには、2人は『北朝鮮の社会安全部の人間だ』ということでした。社会安全部がどういう部署なのかわかりませんでしたが、2人は背広を着ていて礼儀正しく、外交官だと思っていました」・・・(中略)・・・今となっては2人の正体も目的も確かめようがないが、X氏が男たちに会った93年末といえば、オウムが初めてサリンの生成に成功した時期でもあり、何とも不気味な符号ではある。・・・(後略)−−(サンデー毎日2000年3月26日号20〜21ページより引用) この証言が本当かどうかは分からない。だが、オウム真理教と外国勢力との関係は、真剣に検証されるべき問題である。−−本書(『オウム帝国の正体』)は、オウム真理教のこうした闇の部分に肉迫しようとする、貴重な本である。問題の性質上、やむを得ないのだろうが、著者(一橋文哉)は明らかにペンネームであり、引用される証言も、大部分が匿名である。従って、冒頭のサンデー毎日の記事に引用された証言と同様、そのまま鵜呑みにする事は出来無い。しかし、坂本弁護士一家殺害事件に始まって、一連のオウム関連事件に関する検察側の発表には、不合理や不自然な点が多すぎる以上、この本に述べられた様な問題点をジャーナリズムは、徹底的に検証するべきである。本書が、一人でも多くの人に読まれる事を望む。 (西岡昌紀・内科医) Amazonで購入 卓越した取材力でオウムの正体に鋭く迫る 神奈川県警と警視庁が事件の真相に迫りながらも諸々の事情により追求を諦めざるを得なかったオウム真理教の裏にいた勢力を、著者の豊富なネットワークと国境を越えた聞き込み取材により見事に浮かび上がらせている。
オウムのまわりには暴力団に始まり、ロシアの武器商人、北朝鮮政府、統一協会、日本の政治家など様々な勢力が蠢いていた。それらをつなげていたのは"利権"である。 根っこにあるのはおそらく宗教団体に絡む利権だ。 原則的に宗教活動は非課税であり、葬儀や法要の収入、お守りやおみくじや信者からの寄付金などがすべて非課税の上、宗教活動目的での土地購入時の不動産取得税、教団研修施設名目で建てたマンションの固定資産税などが非課税となり、さらには宗教法人の経済行為は「教団維持のため」として許され、一般企業の法人税率に比べ10.5%も低い。 このため、このおいしい利権の分け前にありつこうと、暴力団や政治家が食い込んでくる。 さらにオウムの場合は、クーデターのための武装化を計画したため、拳銃から戦車、戦闘機、化学・生物兵器、果ては核兵器に至るまで、ロシアの武器商人やロシアンマフィアたちや北朝鮮勢力も絡んでくる。 オウムがロシアに武器を求めて接触する中で、ロシア側は旧式武器の売却で暴利を貪ろうとした上、オウムを利用して日本にクーデターを起こすことも画策していたようである。北朝鮮もオウムとはサリン等の毒ガス製造においてオウムが資金を提供し、北朝鮮がその金でプラントを作り、できた毒ガスをオウムが日本に持ち帰り実地テストを行なう、という協力関係があったようだ。他の宗教団体(統一教会や創価学会)も関わっていたようであるが、実際はこれらの裏にさらに別の勢力の意図が働いていた可能性もあり、真相は闇の中である。 一方、オウムに対する捜査を妨害したのは、当初はオウム利権にたかる政治家(自民党の山口敏夫)だったが、地下鉄サリン事件後は警視庁の上層部の人間の女性スキャンダルをつかんだ暴力団が、操作の手が自分たちに及ばないように警視庁に圧力をかけたようだ。これにより、一連のオウム事件はオウムの単独犯行として処理されてしまうのである。 オウムの事件を通じて、世の中が実際にはどのような力学で動いているのかを教えてくれる非常に興味深い本だ。 Amazonで購入 前半はよかったが・・・。 オウム真理教というテロ集団の残党が未だに生き残り、信者が特に事件を知らない若い世代の 間で増えているという。 この本のレビューアーたちは、主にオウムと北朝鮮の関わりについて多く言及しているようだが、 私はむしろオウムと台湾との関わり、更に暴力団や政治家との関係をもっと深く掘り下げて欲し かったと思う。 ドン引きしたのは、解説の部分である。もっと他に人はいなかったのだろうか?よりにもよって、 編集者のくせに自分が担当していた作家の生原稿を盗んで古書店に売り飛ばすようなクズを解説 にするとは・・・。従って星は一つ減らして4つとさせて頂く。 「さる関係者」行進曲 オウム真理教そのものをテーマにしていないオウム本. 何をテーマにしているのかと言えば,著者が他の本でも主張している「闇の勢力」. 問題はその信憑性だが…… ▼ オウムの早川の供述ぶりに,「陰の権力者」の存在を推測してしまう著者. 本気でオウムがクーデターを企てていた,とする公安内部の捜査報告書(よくリークしてもらえたものだ). 「オウムという金の成る木に群がる悪党が問題だ」と語る暴力団関係者. オウムを不動産占有屋として使っていた業者. オウムの子会社にソフトを受注してしまっていた警視庁. 「エリツィン政権が,資金確保のために創価や統一教会に声をかけ,最後に行き着いたのがオウムだった」と証言する旧KGB関係者. 戦車を転売して利益をあげていた「可能性」 自衛隊上層に十数人の隠れ信者中核グループがいるのではないかと観る「CIA」(その情報の出所は?) 「国松・警察庁長官を撃ったのは,プロの殺し屋ではなく,スパイか将校」と分析している「CIAエージェント」 「旧KGB人脈が,二束三文の旧式武器を高額でオウムに売りつけ,かつ,反米思想を吹き込んだ」と語る「CIA関係者」 「オウムがウラジカフカスを動かないのは,核をそこに保管しているからではないか」とする「CIA報告書」 武器商人マセンコと,オウムと繋がりのある元KGBとの間の,オウム・クーデター計画の会話を聞いたとする,「盗聴」 「北朝鮮がオウムのサリン計画に高い関心を寄せていた」(CIA関係者) サリン原材料を北朝鮮に密輸出していた,日本の会社. 指名手配中のオウム信者を匿っていた暴力団. オウムの村井殺害は,暴力団が組織と麻薬密売ルートを守るための口封じと考える「一部捜査員」. オウム井上ノートの「オウム臨時政権の閣僚名簿」の中にあった,山口敏夫と金丸信. オウムが稼ぎ出した巨額資金が二信組疑惑に群がる連中に流れた可能性が高いと見る「捜査幹部」. 「田中角栄の失脚はアメリカの陰謀」説を本気で信じているらしい著者. オウムと金丸信と北朝鮮の金塊の繋がり. オウムと統一教会の,体質やロシア・北朝鮮進出などの類似性. 「オウムによって日本に混乱を起こさせ,それに乗じて北朝鮮が軍事侵攻を企んでいた可能性」を語る「CIAエージェント」.そんな能力は北朝鮮軍にはないんだが……. 村井刺殺犯と北朝鮮スパイ辛光洙との,あまり繋がっているとは思えない「繋がり」. 「ある政治団体からクーデター計画を打ち明けられた」という「ある政治評論家の調書」. 「この話を書いたらタマ(命)取るで」と著者に言う「暴力団関係者」.それにしては,今に至るも,著者が襲われたという話は聞かないが……. オウム信者の供述の不審点から,事前準備や事後処理を行うための,「プロの別働隊」の存在を推測する著者. 暴力団組長の隠し口座にオウム関係者と見られる人物から振り込まれていた5億円. 闇に消えた「名古屋の男」. 両サリン事件直前に毒ガス・マスク・メーカー株を買い,事件直後に売却した形跡のある株価の動き.
……といったように,肝心な部分が「さる関係者」ばかりで物証があまりない. また,CIAが頻出する点も,現役諜報機関エージェントのリークは,何らかの意図がある場合が多いことから考えて,素直にそれを信用することはできない. 関心率80.75%(全ページ中,興味あるページがどれだけあるかの割合.当方基準). ただし,上記の理由により,話半分で聞くべきであり,それを勘案すると,大雑把に言って実質40.37%の価値しかないということになる. よって,「読めば?」レベル. オウム真理教深層真理召喚試論 毀誉褒貶の著しく激しい著作である。 当然であろう。カルトはカルトでもあれだけさまざまな人や物や事件が入り乱れては拡散飛び火したものの,肝心なことはそのほとんどが歴史の闇のなかに沈んでいったカルト教団は世界でも他に例がないのではないか?そんな団体について論じた書物が毀誉褒貶を招かないはずがない。
元FBIの犯罪心理捜査官であられたロバート・K・レスラー氏はオウム真理教を総評して,カルトの最期は集団自殺するのが定番だったが彼らは無差別大量テロへと向かっていった。これはカルトの攻撃性が自らの内側から外側へと向かって放出されて起きた事件であり,過去に世間を騒がせたカルト教団が起こした事件において,まったく前例のなかった暴発現象である,といった内容の見解を日本のTV mediaの前で語られておられた。この見解も今ではすでに忘れ去られてしまっているが,この一事だけでもオウム真理教という組織がいかに特異なカルト教団であるかを指し示していると思う。 これより私はいよいよ本格的に風化のはじまろうとしているオウム真理教に関する夥しい事象についての極私的と一蹴されるであろう素人見解やすでに忘れられてしまっている,または世間一般に認識されていないオウム関連をめぐる事象・仮想現実について書き込みを初めたいと思う。 当然のこととして警察関係でもオウム周辺関連人脈でもなく,またその他の報道や法曹界関係の者でもない筆者の書き綴ることなど客観性も論証もガタガタのヨレヨレ文言に過ぎないが,これらの突拍子もない素人見解が後世の有徳,または真の是正の志を懐かれたかたがたの推理と論証の多少なりともお役に立てていただくことができたのなら筆者としては望外の幸いである。 オウム真理教が政界進出に乗り出してきた1990年から地下鉄サリン事件が起き,そしてこの事件の最重要にして最重罪主犯でもある麻原彰晃こと松本智津夫が逮捕された1995年に至るまで,この国もまた激動の時代のさなかにあった。 日本人なら誰でもご存知のようにJ-POPやTVドラマまでもが現在進行形で激動の時代の大波に呑み込まれ,夥しい事件や騒動に浮きつ沈みつしながら,同じくらい夥しい数の新機軸や名作を生み出していった。 この時代―1990年代の日本はオウム関連の出来事のみならず怪しげな上昇機運がどこからともなく吹き荒れていた。 坂本堤弁護士一家失踪事件が起きて,オウムが犯行を計画し,実行したのではないかという疑惑がオウム真理教全体に日本中から浴びせられていたにも係わらず,当時ビートたけしのTVタックルやとんねるずのみなさんのおかげですに松本智津夫こと麻原彰晃とオウムの弟子たちがゲストとして招かれたことを鑑みるにオウム真理教の成長と多角的超迅速発展を可能ならしめた要因のひとつとして,藝能界やTV mediaも荷担していたことも挙げられるだろう。とは言え,ビートたけしやとんねるずをかつてのこうした過ちで責任追求や贖罪を求めるのは筋違いとは言えずともかなり酷な話しではないかと私は思う。 平成生まれのかたがたには実感が湧かないと思うが,あのオウム真理教というカルト教団の上昇と膨張の軌跡は他のカルト教団;マンソン・ファミリーやブランチ・ダビディアン(Branch Davidian),ジム・ジョーンズの人民寺院(Peoples Temple)などと成長の速さや影響力の広がり方を比較してみても一際迅速であることに驚かされる。 私がオウム真理教でまず驚いたのは坂本堤弁護士一家失踪事件が発生してオウム真理教の信徒が犯行を企てたのではないかと日本中の疑惑の眼差しを集めていたさなかに,熊本県阿蘇郡波野村で教団施設の設立のための土地取得をめぐって起きた事件(オウム真理教国土利用計画法違反事件)で日本中の情報媒体の一斉取材攻勢の集中砲火に晒されていたある日のオウム報道で見たオウムの教団施設であるサティアンの屋根の破風の真下に描かれた"オウム真理教"の文字と宇宙の創造・維持・破壊を象徴する梵字を組み合わせて構成した教団のsymbol markの見事なまでに整然とした端正さである。 このオウム真理教というカルト教団は坂本堤さん弁護士一家失踪事件発生直後の頃から露呈しているように,素人の寄せ集めのにわか新興団体ならではの杜撰さが特徴的であった。 だがそうした急ぎ寄せ集めたにわか仕込みの素人集団がしばしばというより頻繁という形容詞を用いた方が適切なくらい,オウム真理教のおこなった仕事には犯罪行為や違法行為だけでなく,合法的な範疇における仕事でもプロ並みか中にはプロ以上の仕事もおこなっていたことが記録されている情報からうかがい知ることができる。 オウムの宗教施設であるサティアンの怪しさや違法性については教団存命中から報道機関や一般人も含めて数え切れないくらい夥しい数の人間により夥しい数の指摘や見解が述べられてきたが,看板ともなる教団名やオウム真理教の教団symbol markのロゴ・マークの精緻なまでの端整さについては今まで何ぴとからも見過ごされてきたのではないかと思う。 ご存知のようにこのカルト教団では宗教関係者より理数系や化学,医学などの知的エリートたちのほうが尊重され優遇されていた。当然のこととして,信者の比率にしても宗教関係者よりはるかに数は勝っていたと思う。だがサティアンなどの教団施設の建設をおこなっていかねばならない土木業者関係に関してはどうだろう?これは私の個人的な思い込みに過ぎないのかも知れないが,にわか素人の集団の土木建築作業にしては彼らが建てたサティアンその他の夥しい宗教施設群はあまりに立派すぎるように思う。 麻原彰晃などと名乗っていた松本智津夫死刑囚はたしかに見た目とはうらはらに頭の切れる人物である。だがそれは集団や個の人間心理に関してであって,いくらなんでも土木建築の分野にまで思案が及ばないのではないかと私は思う。当時のオウムの信徒たちはすべて自分たちで作っていったなどと報道媒体の前で答えていたが,いま考えてみれば相当無理のある話である。独裁者・麻原が己れの絶対意思の統率の元にあれらの夥しい宗教施設群を建立させたと考えるより,土木建築のprofessionalたちに仕事の依頼をして宗教施設群の建設を請け負ってもらったと考えた方が理に叶っていると思う。 なるほどそう考えてみたとして,それでは一体どこの業者がこんな怪しい&不吉な噂や騒動の頻発している団体の宗教施設群の建築依頼を請け負ってくれるというのか?となるとやはり闇社会がらみの相当怪しい人脈のコネによって手引きされた堅気じゃない人間たちによる堅気じゃない人間たちのための土木建築業者しか仕事を請け負わないだろう。 その点では北朝鮮やロシアなどの闇社会とのつながりは犯罪businessだけではなくそうした実生活での物資や技術の供給面で大きな扶けとなるだろう。 あの頃からオウム真理教には北朝鮮やロシアなどの闇rootとの深い係わりも密かに囁かれてはいたが,宗教施設群の建築工事の件でもすでにそういった闇rootからの手引きがあったためにあれほど迅速で堅固な建造物を数多く建立出来たのではなかろうか? だがいくら北朝鮮やロシアの闇rootの人間たちであっても,たとえ上九一色村のような大都会から遠く離れmediaの監視の耳目が届きにくい土地柄であれ,巨大なサリンの精製plantを地上に建立する仕事を請け負ったり手伝ったりするだろうか? '95年1月1日に上九一色村でサリン残留物検出の報道が伝わるや,サリン精製plantであった第七サティアンにシヴァ大神の像を建造して偽装工作を施していたが,それまでは上九一色村の村民たちが何人もこの第七サティアンから巨大な煙突が出ていたなどの証言をしている。 私が思うにある程度まではたしかに多くの報道関係者と同様に,北朝鮮やロシアなどの闇rootからの人脈の補助というよりも強力な庇護が犯罪business以外のさまざまな面であったのだろうと見ているが,いくらなんでもこんな無謀極まりない狂気の所業を真っ昼間から村民たちの目も気にせず行っている団体の庇護を継続するのであろうかと私は考える。 そして'95年3月20日には地下鉄サリン事件が発生している。 オウム真理教の周りに集まってきた人脈や人材はまさに奇々怪々の骨頂であろう。 教団のナンバー2をめぐる権力闘争の視点から 裁判でも「犯行の背後関係は不透明な点が残されていると言わざるを得ない」とされるオウム真理教事件。1995年の地下鉄サリン事件等を受けて2018年にすべてのオウム死刑囚の死刑が執行されました。 本書では、科学者の冷徹さを備えた村井秀夫とビジネスマンの合理性や貪欲さを備えた早川紀代秀の二人の幹部が教祖の麻原の荒唐無稽な妄想を具現化し、教団ナンバー2の座をめぐる二人の権力闘争がオウムを拡大させ破滅に導いたとする見方をします。 オウムの資金力には有力政治家、ロシア高官、北朝鮮や暴力団が群がっており、教団の暗部を掌握していた村井幹部の刺殺で多くが未解決に終わってしまったことを悔やみます。
オウムと北朝鮮の闇 オウム、暴力団、北朝鮮、ロシア、政治家という役者がそろったら、あとは深い闇に一直線。そんな感じがする本書。陰謀と裏切りが重なり、当事者自身も操っているのか操られているのかわからなくなるような闇。著者はその闇に、証言を重ね合わせることで少しずつ光を当て、真実を浮かび上がらせていく。雑誌への連載をまとめたという制約上、少しまどろこしい部分はあるが、筆者の卓越した取材力が発揮された本書は読み応えがある。特に北朝鮮問題やテロがクローズアップされる現段階で、改めてオウムの果たした役割を検証しておくことが必要だと感じた。
オウム事件の背景、国際的陰謀と闇社会・政治家の利権 あの一連のオウム事件の背景には何があったか、一般には知られていないことを取材にもとづいて記述する。疑惑の次元から出るものではないが、だいたいどういうものであったか、めぼしがついてくるように書かれている。ただ、それはあくまで事件の外側の背景であって、教団発展の信仰の内部心理については追求されていない。あとがきにただ一言、「思い込みの激しい小市民が起こした犯罪」とあるのみでは、浅薄すぎてコメントのしようもない。サリン事件の直前に防毒マスクの製造企業の株価が急昇したという事実の指摘は、グリコ森永事件の時の闇社会による経済犯罪を思わせて興味深かったのと、オウムに直接つながらなくても、北朝鮮をめぐる政治家たちの利権追求の動向の話が興味深かった(この箇所が最も面白く読めた)。
オウムを笑えますか? 私は、かなりオウム真理教については調べました。 実際にアーレフの人とメール交換をするぐらい、いわゆる「悪趣味」な人間です。 そこで、一橋文哉の、この著作について、正直な感想を言わさせていただきます。 あの地下鉄サリン事件に至るまで、どう考えても、ロシア・北朝鮮の人々との交流があったとしか考えられないことが多すぎます。 単純にサリンを作るだけなら、理系で博学の人なら作れると聞きました、でも、あのようなサリンを生成するプラントは果たして、そのような大学を出たような若者たちでできるのでしょうか? また、オウムとロシアのただならぬ関係。製造しようとした銃はロシア製でした。ヘリコプターも、ロシアから購入しています。 彼らが、海外に進出して、知識を入れているのは間違いないのに、裁判ではそれを矮小化していることが、本書を読んで、そのあとに「オウム裁判」を読めば明らかです。 この間、国松長官を狙撃したとして、オウムの幹部が逮捕されましたが、結局不起訴になりました。普通に考えれば、二十五メートル離れた部分から、あれだけ正確に撃てる人間が、オウムにいるとは考えられません。サリン事件でもあれほどずさんな集団が、そんな正確な狙撃ができるならば、もっと狙撃する相手は多いと思います。 世間が、「オウムの暴走」だけで片付けるのは、とても危険な気がします。 「オウム法廷」での、数々の発言でも、海外の話は出てきません。そのあたりを、かなりきわどい切り口で書いてある本書は、「ただのカルト集団」だけで収まらない、あの連中の、もう一つの面が見えるような気がします。 「陰謀論」と、簡単に片付ける前に、一度読むことをお勧めします。
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