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※紙面抜粋
※文字起こし
地獄だったに違いない。ウクライナの首都キーウ近郊のブチャで見つかった民間人の遺体の9割には、銃で撃たれた痕があったという。ロシア軍は、民間人とわかりながら殺害をつづけた可能性が高い。
さすがに、国際社会も怒りの声を上げている。主要7カ国(G7)は、「ロシア軍による恐るべき残虐な行為を最も強い言葉で非難する」との声明を発表し、「戦争の代償をさらに高めていく」と、ロシアに追加制裁を科すことを決めた。
さっそく、アメリカは、ロシア最大手の銀行やプーチン大統領の娘の資産を凍結することを決定。欧州連合(EU)も、8月以降、ロシア産石炭の輸入を禁止することで合意した。
しかし、この追加制裁に効果があるのかどうか。ロシアは痛くもかゆくもないのではないか。ロシアの生命線である<石油と天然ガス>には、まったく触れていないからだ。
今回も<石油と天然ガス>は経済制裁の対象から除外してしまった。ロシアにエネルギーの供給を依存しているヨーロッパは、これからもロシアから原油やガスを輸入するつもりだ。
ロシアは石油とガスだけで、1日に11億ドル(約1350億円)もの収入を得ている。ロシアの戦費を枯渇させるためには、<石油とガス>の輸出を止めない限り難しいのはハッキリしている。
日本の岸田首相も、8日、「断じて許されない戦争犯罪だ。非道な行為の責任を厳しく問うていく」と、ロシア軍によるジェノサイドを痛烈に批判していたが、追加制裁の中身は、ロシア産石炭の輸入を段階的に削減することやウオッカの輸入禁止だった。ロシアから輸入している液化天然ガス(LNG)は、ストップしないという。
日本も欧米も、ロシアを強く非難し、「一刻も早く戦争を止めなくてはいけない」などと口にしているが、<石油とガス>にノータッチでは、戦争を止めることなど不可能なのではないか。
「ロシアを非難している西側諸国も、要するに“返り血”を浴びる覚悟はないということでしょう。これまで実施してきた経済制裁も、ロシアに致命的な打撃を与えていない。いったん暴落したルーブルも、ウクライナ侵攻前の水準に戻っています」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
いま頃、プーチンは「まだ西側は本気になっていない」と、冷静に計算しているのではないか。
安全地帯≠ゥら叫んでいるだけの日米欧
そもそも、経済制裁だけでは“ならず者”のプーチンを止めることは無理なのではないか。
もちろん、西側諸国が軍事介入したら、第3次大戦に発展しかねないから、うかつには動けないだろう。しかし、港湾都市マリウポリでは、今も16万人の市民が取り残され、通信手段や薬、暖房、水もなく、砲撃にさらされている。早期救助を願っているのは間違いない。
ところが、アメリカも欧州も「米軍は今後も交戦することはない」「戦争がウクライナを超えてエスカレートしないようにする」と、「参戦拒否」の姿勢を崩していない。
いったい、日本も欧米もどうやってこの戦争を終わらせるつもりなのか。結局、“安全地帯”に身を置きながら「戦争犯罪者の責任を追及する」と声高に叫んでいるだけではないのか。経済制裁でさえ、“返り血”を避けようとしている。
ロシアが元凶なのは間違いないが、西側陣営だって国益第一でやっているのが実態である。
象徴的だったのが、いったんポーランドを介してウクライナ軍に戦闘機を提供する方針を示しながら、自らに火の粉がかかる恐れが出るやいなや、あっさり撤回した一件だった。この対応こそがアメリカの本性だろう。
そもそも、バイデン大統領は停戦協議の仲介に動こうともしない。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「プーチン大統領を止めるには、『いつでも反撃できるぞ』と軍事力を見せつけるしか手はなかったはずです。ところが、アメリカは自らにダメージがはね返ってくることを恐れ、中途半端に『不介入』の態度を貫いてきた。6日に、兵器の供与を加速させることができる『レンドリース法』(武器貸与法)を米上院で可決し、ようやくギアが一段上がりましたが、遅きに失しています。侵攻開始直後に打ち出していれば、プーチン大統領も慎重姿勢に転じていたかもしれません」
このままでは、まだまだウクライナ国民の虐殺はつづいてしまうのではないか。
米国の本音は戦争の長期化か
うがった見方をすれば、アメリカは戦争が長引いても構わないと考えているのではないか。戦争の長期化はアメリカにとって好都合な可能性すらあるからだ。
ロシアのウクライナ侵攻以降、原油や天然ガスだけでなく、小麦やトウモロコシといった穀物価格も高騰しているが、産油国であり農業大国でもあるアメリカにとって、この状況がビジネスチャンスとなるのは間違いない。実際、アメリカには“ウクライナ特需”が生まれつつあるという。
「米シェールガス企業が、欧州各国との長期供給契約を続々と獲得し始めています。また、世界中から米国産穀物への注文が殺到している状況です。小麦輸出が世界1位のロシアと世界2位のウクライナからの輸出がストップすれば、アメリカは小麦輸出でボロ儲けできる余地が出てきます」(在米ジャーナリスト)
アメリカにメリットがあるとしたら、この戦争は簡単に終わらないのではないか。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は、下院の公聴会で「ウクライナ戦争は非常に長期化する紛争だ。数十年単位ではなくても、数年単位でつづくだろう」と発言している。
5月以降、ぬかるんだ地面が乾燥して戦車の移動がしやすくなったら、ロシア軍は再びキーウに攻め込んでくるのではないかという指摘もある。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言う。
「これまでウクライナ軍は、防御に徹していましたが、この先、ロシア軍に制圧されているウクライナ東部に攻め込む可能性があります。ポイントは、戦車と攻撃用ドローンをNATO陣営から供給されることが決まったことです。戦車と攻撃用ドローンを使って、ロシアに奪われたドネツク・ルガンスク2州の奪還に動いておかしくない。しかし、プーチン大統領は絶対に東部2州の支配は譲らないでしょう。そうなったら、戦争はドロ沼化、長期化することになる。心配なのは、アメリカが戦争の長期化を望んでいる疑いがあることです」
いったい、この戦争の「正義」はどこにあるのか。少なくても、口先でロシアを非難しているだけでは、この戦争を止められないことは確かだ。
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