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※紙面抜粋
※2022年4月7日 日刊ゲンダイ2面
【非戦よりも政治利用か】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) April 7, 2022
この戦争に前のめり 岸田首相と大メディアの危うさ、怖さ
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/PF9P45P8z8
※文字起こし
「ウクライナから避難してくる20人を乗せた政府専用機が、まもなく羽田空港に到着する予定です」
5日の正午前、NHKは30分弱の特別番組を組んで、林外相と一緒に訪日するウクライナからの避難民を乗せた政府専用機の到着シーンを伝えた。
ここまでの経緯とともに避難民と難民の違いなどを記者が解説。その間、はるかかなたから飛んでくる政府専用機を中継カメラがじっくり捉え、着陸の瞬間までしっかり映し出した。
かつて北朝鮮から拉致被害者が帰国した際に同じような映像が流された。だが、今回は特番を組んでまで大騒ぎするようなことなのか。すでに日本へは、自力で避難した400人ほどが入国済み。20人がなぜ特別なのか、どういう基準でどうやって集めたのかなど、政府は明らかにしていない。
難民認定0.4%(2019年)という外国人に厳しい国が、今回だけは前例のない手厚さで「避難民」を受け入れる。それも尾翼に「日の丸」が大きく塗装された政府専用機で、だ。国際社会や世論向けのアピールという“政治利用”のパフォーマンスがミエミエであり、それを公共放送が後押しして国内外に流布するという構図である。
なし崩しで一線を越えた
ウクライナでのロシアによる大量虐殺の疑いは、首都キーウ近郊のブチャにとどまらず、他の首都近郊の町も同様の被害を受けていた。ウクライナ検察当局はブチャで410人の遺体が見つかったとし、ホストメリでは住民400人が行方不明で、一部が殺害された疑いがあると当局者が話している。ボロディアンカでは少なくとも200人超の死亡が推定されると町長代行が語ったといい、「ブチャよりひどい」とも報じられている。
「お願いです。何とかして下さい。地球を平和に。災いがないように。私は生きたい。みんな生きたいだけなのです」
破壊され尽くしたブチャの瓦礫の前で、老女がこう言って泣き叫ぶ。夫を亡くした女性の切なる祈りの映像に、視聴者は誰もが胸を締めつけられたはずだ。
民間人への恐ろしい残虐行為は国際法違反。戦争犯罪は処罰されなければいけない。
プーチン大統領のロシアに対する世論の怒りはますます沸騰し、ワイドショーなどのテレビのコメンテーターらも語気を強める。
ただ、だからといって、それに乗っかり、踏み込む岸田政権に危うさはないのか。
2.24のロシアのウクライナ侵攻以降、国際社会に同調する形とはいえ、対米追従が加速し、「支援」の名の下になし崩しで一線を越え、防衛力強化などの勇ましい声が出てきていることだ。
ドサクサ紛れの防衛費増額要求
3月中旬の岸田首相のアジア歴訪は、対ロシア制裁に消極的なインドと中国への接近が見られるカンボジアを西側陣営へ取り込むための、バイデン米大統領の“名代”のようなものだった。
日本は防弾チョッキやヘルメットなど非殺傷の防衛装備をウクライナ政府に提供したが、たいした議論もなく「防衛装備移転三原則」の運用指針を変更。本来なら紛争当事国は対象にならないのに、今回のウクライナは例外だとして新たな規定を加えた。「指針変更」で何でもできれば、歯止めがかからなくなる恐れがある。
特に恐ろしいのは、自民党内で防衛費の増額を求める動きが出ていることだ。すでに自民党は防衛費について、昨秋の衆院選の公約に「GDP比2%以上も念頭に」とし、岸田も1月の本会議でGDPの1%に縛られない考えを示していた。そこへウクライナ戦争である。中国による台湾有事などを念頭に、ドサクサに紛れて大幅増額が現実になりかねない勢いなのである。
防衛ジャーナリストの半田滋氏が言う。
「国連の特別臨時総会で140カ国が賛成するなど、ロシアの不法行為を許さないという国際社会に歩調を合わせ、人道支援として身を守る防弾チョッキを送るまでは、必ずしも問題だとは思いません。ただ、過去にないことなのに野党が質問しないこともあり、政府は説明せず、丁寧な論議が行われないのは問題です。戦争に前のめりの中で、来年度の防衛費を6兆円(今年度当初予算は約5兆3687億円)にとか、敵基地攻撃で『中枢』も対象になどと発言する安倍元首相のような火事場泥棒が出てきている。一部の声のデカい人に引っ張られるのはマズい。こういう時こそ、冷静な判断が必要なのです」
物価高も円安も放置し、ひたすら人気取りに邁進
残虐なウクライナ戦争によってロシアが国際社会から孤立し、米国から目の敵にされてきた中国はますます態度を硬化して、ロシア寄りの姿勢を維持している。
新東西冷戦と呼ぶような世界情勢となり国際秩序が不安定化する中、ドサクサ紛れや火事場泥棒のような状況で、果たして日本は長期的な外交戦略を描けているのだろうか。
岸田政権の発足半年を振り返る朝日新聞の記事(4日付)が、岸田首相がプーチン個人への制裁を決断し、「安倍外交」から転換した舞台裏について書いていた。安倍が「戦後日本外交の総決算」とアピールしてきた北方領土交渉を白紙にし、岸田は「腹をくくった」のだというが、背景には、経産省VS外務省の暗闘があった。
安倍政権では経産省ラインが外交まで主導し、外務省は蚊帳の外に置かれていたが、岸田政権で外務省が復権。いま岸田は、<外務省の路線に乗っかり><国会でも記者会見でも、同省が作った資料を忠実に読み上げる>のだという。
そうした対ロ強硬路線の効果もあるのだろう。3月19〜20日の朝日新聞の世論調査で、岸田内閣の支持率は政権発足後最高の50%に達し、ウクライナ侵攻をめぐる首相の対応について「評価する」が52%となり「評価しない」の26%を大きく上回ったという。
政府専用機を利用したウクライナ避難民20人の受け入れについても、政権幹部が「実際に来る人は少ないが、国際社会と連帯の姿勢を示すことが大切だ」「結局は世論だ。一時的なことかもしれないが、ウクライナの避難民受け入れに国民の8、9割が賛成している」と話していたと、6日付の朝日新聞が報じていた。
つまり、外交においても長期的な視野や戦略より世論受けが優先されているのだ。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「避難民の受け入れに熱心なのは、ウクライナ対応で『よくやっている』となって支持率上昇につながるからです。政府はミャンマーなど一般的な難民には冷たい。入国管理政策では人権無視も甚だしい。生活困窮者は日本国内にもいて、喘いでいるシングルマザーが放置されています。注目され、人気取りになることにだけ力を注いでいるのが岸田政権の現状です」
内政はボロボロだ。食品、電気、ガス、ガソリンなど生活必需品の価格高騰が止まらない。コロナ禍からの世界的な景気回復にウクライナ戦争のダブルパンチで、国民生活は“お先真っ暗”なのに、いまだ岸田政権は、関係閣僚に物価上昇対策の具体的な検討を指示した段階。緊急対策の取りまとめは今月末だという。
急速に進んだ円安が輸入物価に悪影響を与えているが、「円安の影響はわずか」と言い張る日銀・黒田総裁が我が物顔で跋扈している。
それでも大メディアはウクライナ戦争一色だから、「勇ましさ」が内閣の支持率上昇につながる。2カ月半後に迫る参院選に向け、岸田政権はこの路線で突っ走るつもりだ。
「メディアも戦争報道で視聴率が取れるからか、結果的にウクライナ以外のニュースが少なくなり、本来なら報じられるべき岸田政権の問題を隠すような形になっています。参院選が近づいているのだから、もっと有権者に判断材料を提供する必要がある。好戦的な雰囲気が高まる中で、軍事費増額などイケイケドンドンの選挙になったら、その先が怖い」(五十嵐仁氏=前出)
政治が冷静さを失っているのなら、せめて国民の側が冷静にならなければ本当に危うい。
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