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※紙面抜粋
※2022年3月29日 日刊ゲンダイ2面
【ただ追随の岸田政権】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) March 29, 2022
「戦争」「制裁」で内閣支持率上昇の危うさ
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/Y79svYC6cK
※文字起こし
岸田首相がロシアへの追加経済制裁を次々打ち出している。
28日の参院決算委員会で、暗号資産の取引を通じた制裁逃れを防止するため、今国会で外為法を改正する準備を進めると表明した。24日にベルギーのブリュッセルで開かれたG7首脳会合では、貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」からロシアを除外するため、今国会で法改正を行うことも明言。一方で、ウクライナからの避難民のために、ウクライナや周辺国に対して1億ドル(約125億円)を追加で支援するという。
G7で岸田は、アジアで唯一の参加という“自負”の下、存在感を高めるのに躍起で、欧米と足並みを揃えた対ロ強硬路線をアピールした。ただ、直前のインド訪問で、対ロ制裁への温度差を認識させられてもいる。
NATO(北大西洋条約機構)加盟国ではないアジア諸国にはさまざまな立場がある。“アジアの代表”というのなら、少しはそうした説明に触れてもいいはずなのに、米国に追随一辺倒が岸田なのである。
「岸田首相はとにかくバイデン米大統領に自分を認めてもらいたくて必死です。首相就任後の最初の外遊先は何としても米国へ、ということで猛烈に外務省の尻を叩きましたが、コロナ対策を理由にしてバイデン大統領に断られ続けた。今回のG7でもバイデン大統領とは短時間の立ち話だけ。追いかけても逃げていくバイデン大統領に、岸田首相がますますすり寄っていきかねない状況です」(外交関係者)
戦争一色の報道思考力を奪う
ロシアには徹底的に厳しく、ウクライナには手厚く支援。そうした対応が内閣支持率上昇につながっていることにも岸田は気をよくしている。
25〜27日実施の日経新聞とテレビ東京の世論調査で、岸田内閣の支持率は61%となり、2月の前回調査から6ポイントもアップした。同調査で内閣支持率が上向くのは3カ月ぶりのことである。ロシアのウクライナ侵攻を巡る日本政府の取り組みを「評価する」が67%に上ったこと、新型コロナウイルスの新規感染者が減少傾向となり、まん延防止等重点措置を全面解除したこと、などが支持率回復につながったとみられる。
先週までに行われた他メディアの世論調査でもおしなべて支持率は回復基調だ。3回目ワクチン接種の遅れなど新型コロナ感染の拡大で、2月は支持と不支持が逆転する調査もあったのに、岸田政権に対する世論の不満はすっかり消え去ったかのようだ。
2.24のロシアのウクライナ侵攻以降、報道は戦争一色となり、コロナ関連のニュースは激減した。
高齢者施設でのクラスターがまだ続き、東京の新規感染者は27日と28日の2日連続で前週を上回る下げ止まり兆候が出てきているが、メディアも世論も気に留めない。
だが、この半年間で岸田政権に一体どんな成果があるというのか。「戦争」や「制裁」を理由に「岸田首相はよくやっている」というムードは極めて危うい。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「世論がプーチンの横暴に憤りを覚えるのは自然なことですが、その結果、好戦的な雰囲気が高まり、時流に乗っかって支持を回復しているのが岸田首相です。議論なく武器輸出の原則を緩めて防弾チョッキをウクライナに送りましたが、それで本当によかったのか。急激な円安で経済の先行きが不透明になり、エネルギーや食料品の価格上昇は国民生活を苦しめることになるが、岸田政権は現状、何も手を打っていないに等しい。『ウクライナを助けよう』という報道ばかりの新聞・テレビが国民から思考力を奪っている面もあります」
力と力の論理が招く安全保障のパラドックス
ポーランドで26日、欧州訪問を締めくくる演説をしたバイデンは、ロシアによるウクライナ侵攻を「民主主義と専制主義の戦い」と位置づけた。昨年の就任来繰り返し使っているこのフレーズを改めて強調。「民主主義のための戦いは、冷戦終結とともに終わりを迎えたわけではなかった。この30年で、専制主義が世界中で復活した」「第2次世界大戦の終結から築いてきたルールに基づく国際秩序に対する直接的な挑戦以外の何ものでもない」と語気を荒らげた。
戦争プロパガンダではない第三者機関の国連人権高等弁務官事務所の調査でも、ウクライナ戦争で民間人の死者はすでに1000人を超えている。第3次世界大戦を避けながら、プーチンの非道と国際法違反の暴走を止めるには、制裁によってロシアを孤立化させるしか手がない。29日にも始まる対面の停戦交渉への注目が高まる。
ただ、バイデンがこの戦争を「民主主義と専制主義の戦い」とすればするほど、世界の分断は加速する。今後、この戦争がどんな形で終結しても、国際秩序は二極化し一触即発になっていくのだろう。
ウクライナ侵攻をめぐる国連総会の緊急特別会合で24日、人道支援の強化を求める決議案が140カ国の賛成多数で可決されたが、前回の対ロ非難決議時の賛成141カ国から1カ国減り、棄権が38カ国で前回から3カ国増えた。棄権には、中国やインド、ブルネイなどアジア諸国も目立つ。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)が言う。
「確かに戦争終結後も、世界は『新東西冷戦』とでもいうような二極化になりそうな状況です。前の冷戦と異なるのは『第三世界』の影響力が比較にならないほど大きくなっていること。日本は、地政学を考えれば、インドを含めた南アジアや東南アジアなどの国々がロシアや中国の側に流れないようにすることが重要です。軍事同盟ではなく経済同盟や文化、外交によって、日本がアジアのパートナーの役割を果たすべき。長年のODA(政府開発援助)の成果を刈り取る時だとも言えます。いきなり『核共有』や『改憲』の議論に費やすのは時間の無駄としか言いようがありません」
外交努力を軽視
それでも、防衛力強化に向けた動きは加速の一途だ。岸田は国会で「敵基地攻撃能力」を持つことを検討すると明言。今月13日の自民党大会では、「憲法改正という党是を成し遂げよう」と呼び掛けた。外交・安全保障政策の長期指針である「国家安全保障戦略」などの年内改定についても「あらゆる選択肢を排除せずに検討し、防衛力を抜本的に強化する」としている。
だが、国防強化なら日本は安全なのか。そんな単純な話なのか。周辺諸国を警戒させ、より緊張が高まることはないのか。
戦争にならないための外交努力という議論が、ウクライナ戦争を前にして軽んじられる現実。世論も「勇ましさ」を求める傾向が顕著だ。日経新聞の世論調査では、ロシアへの経済制裁について「さらに強めるべきだ」が41%で、「適切だ」の44%とほぼ同率だった。
そうした空気におもねるかのように野党もゼレンスキー大統領の応援一色。オンラインの国会演説で、与野党揃ってスタンディングオベーションという大政翼賛会である。
「プーチンはウクライナにロシアの言うことを聞かせようとし、ゼレンスキーはロシアの脅威を退けるために軍備増強でNATOに頼ろうとした。力と力の論理に巻き込まれる形での軍事衝突と言えます。対立や紛争の解決のための外交努力を怠り、力と力になると、むしろリスクを高める。安全を求めて安全を損なうという、安全保障のパラドックスに陥っている。戦争当事者のどちらが正しいかの解釈の違いがあろうと、戦争によって多くの犠牲者が出るのは明らか。ウクライナを見て『日本も軍備増強を』と言う政治家がいますが、戦争にならないためにどうするのか考えるのが政治家の仕事のはずです」(五十嵐仁氏=前出)
戦争は理性を失わせる。ただ米国追随で思考停止の岸田政権。この先、訪れるかもしれないさらなる危機において、冷静な対応ができるのだろうか。
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