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(10)維新はモンスター的集票マシン 大阪市内でコンスタントに「絶対得票率30%」たたき出す 最大ゆ党 維新“躍進”のカラクリ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302416
2022/03/12 日刊ゲンダイ
2019年大阪府知事選の得票は約227万票(C)日刊ゲンダイ
昨年10月の衆院選において維新は、大阪府内の選挙区では前回の約102万票から約158万票へと60万票近く得票を伸ばし、比例代表での得票の伸びは、前回の約93万票から約172万票へと80万票近くに上った。2016年、19年の参院選の得票が139万票前後に固定化しているように見えただけに、約172万票という比例票は、筆者にとってもかなりの衝撃だった。しかし、19年の府市クロス選での吉村知事の得票が約227万票に上ったことを鑑みれば、約172万票という数字も驚天動地というほどではないともいえる。
維新の集票力には限界というものがあるのだろうか? このことを考える上で、ヒントとなる数字がある。昨年の総選挙で、維新は大阪の19選挙区のうち、候補を擁立した15選挙区を総ナメしてみせた。前回は3議席にとどまったのだから、恐るべき“躍進”だ。ただ大阪市内の6選挙区に目を向けると、興味深い数字が見えてくるのだ。
維新は「大阪都構想」をめぐる公明党との取引で、公明が候補を擁立する大阪3区、5区、6区には候補を立てない。よって大阪市内で維新が候補を擁立したのは、1区、2区、4区の3選挙区である。この3選挙区での維新の得票は、1区11万120票、2区12万913票、4区10万7585票で、その合計は33万8618票だった。残りの3区、5区、6区に候補を擁立し、1区、2区、4区と同様に約11万票ずつ得票したと仮定したらどうだろう。約34万票と約33万票を足して約67万票というお馴染みの数字が浮かび上がってくるのだ。
これは、2度の住民投票と府市クロス選における大阪市長選で、投票率が70%近くにのぼろうと、50%そこそこであろうと、大阪市内で維新が叩き出してきた得票にくしくも一致する。これは決して偶然ではあるまい。少なくとも大阪市内では、この67万票前後という数字が、維新の得票限界なのだと推定できるのではないか。
集票力の限界値
67万票という数字を大阪市内の有権者総数で割った絶対得票率は29.6%。どうやらモンスター的集票マシンへと変貌した維新の得票限界は、この絶対得票率30%あたりにありそうである。ちなみにクロス選での吉村氏の得票、約227万票の絶対得票率も31.0%である。
大阪市内では絶対得票率30%をコンスタントに叩き出し、大阪府下でもそれに迫ろうとするモンスター的集票マシン。これこそが維新の正体なのである。(つづく)
冨田宏治 関西学院大学法学部教授
1959年、名古屋市生まれ。名古屋大法学部卒。名古屋大法学部助手、関西学院大法学部専任講師、助教授を経て99年から現職。専門は日本政治思想史。原水爆禁止世界大会起草委員長も務める。「核兵器禁止条約の意義と課題」など著書多数。「維新政治の本質」を22年3月に上梓。共著に「今よみがえる丸山眞男」「自公の罪 維新の毒」など。
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