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※2022年3月12日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年3月12日 日刊ゲンダイ2面
【プーチンは核だって使うだろう】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) March 12, 2022
暴落に次ぐ暴落 市場も見通せない戦争の決着
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/KhEZb97e3d
※文字起こし
ロシア軍によるウクライナへの電撃侵攻から半月が経過。依然として双方の主張の隔たりは大きく、停戦合意の兆しがまったく見通せない中、世界の金融市場は不安定な動きが続いている。
日本も例外ではない。11日の日経平均株価は前日に大きく上昇した反動で一時700円余り下げ、再び2万5000円を割り込んだ。前日の上げ幅は一時1000円を超えていただけに、ジェットコースター級の乱高下だ。
ウクライナ侵攻を機に原油などの資源価格が急騰し、世界的な景気減速への懸念から日米欧の主要株価指数は下落傾向にある。日本の平均株価の終値は侵攻の前営業日から1300円近く急落。年初からは4000円以上も沈んだ。
戦争の行方が見えない限り、ロシアに対する経済制裁の長期化は必至だ。ロシアからの天然資源の供給が減少し、今後も原油価格などの上昇は続くことになる。ロシアの輸出シェアは天然ガスが世界1位、原油は2位(2020年)。特に欧州経済にとって制裁はもろ刃の剣だ。
天然ガス輸出のロシア依存度は、EU全域が約4割、ドイツに限れば5割以上に上る。欧州諸国が天然資源の代替先を確保すれば、ロシアからの供給不安が解消し、原油価格も落ち着くだろうが、容易な問題ではない。ロシア依存から抜け出すには、恐らく数年はかかる。
資源価格の高騰はエネルギー輸入依存度の高い日本経済にも大ダメージだが、それを尻目に世界最大のエネルギー企業である米エクソンモービルは逆行高。年初来高値を更新。戦争と制裁の長期化を見越した投資家の貪欲さがうかがえる。
経済成長を支える「脱炭素」に急ブレーキ
厳しい金融制裁が長期に及べば欧州の銀行がロシアに貸し付けたマネーは焦げ付きかねない。その懸念からフランスやイタリアの大手銀行の一部はウクライナ侵攻後、株価が40%前後下落したほどだ。
経済評論家の斎藤満氏はこう指摘する。
「当初はロシアとウクライナの軍事力の格差から『短期決着』との見方もありましたが、ウクライナ民兵の予想以上の抵抗により、短期戦シナリオは崩壊。ロシアはウクライナと軍事衝突を重ねる一方で、西側諸国とは次元の異なる経済戦争の様相を呈しています。欧米の経済制裁は長期的には効果を得られても、直ちにプーチン大統領を屈服させることはできない。逆に欧米経済がロシアに依存するのはエネルギーだけではありません。パラジウムやニッケルなど豊富なレアメタルの供給を停止されると、EV製造など経済成長を支える『脱炭素』の流れに急ブレーキがかかる。戦争の悪影響が欧州全体や米国にも拡大し、下手すると世界経済は大恐慌以来のマイナス成長となりかねない。こうした懸念を市場関係者は冷静に織り込み、株式市場は暴落に次ぐ暴落となっても不思議ではないのです」
戦争の決着が見通せない以上、市場の投げ売りは止まりそうもない。
イラク戦争の暴走と酷似する歴史の皮肉 |
米国のバイデン大統領は今回の戦争を「民主主義VS専制主義の戦い」と強調する。世界を「正義」と「悪」に二分し、悪のプーチンへの憎しみをあおり、自らの正義を誇示している。
白黒をつけたがる「二分法」的思考は薄っぺらいナショナリズムの鼓舞と紙一重だが、日本のメディアもこの動きに追随。「世界を敵に回したプーチンに勝ち目はない」などと、希望的観測が渦巻いている。
もちろん、ロシア軍による一方的なウクライナ侵攻は明白な国際法違反だ。他国への侵略は絶対に許されず、一刻も早い停戦が望まれる。しかし、誰もが「まさか、やらないだろう」と思った無謀な戦争を始めたプーチンにそんな常識が通じないのも、また現実だ。
なぜ、プーチンが狂気の策に打って出たのか。「二分法」で思考停止に陥る前に、プーチンの頭の中を理解することは重要である。
今回の戦争は冷戦終結から30年、一貫して米国が主導し、米国の世界戦略に基づいてきた「国際秩序」に対するプーチンの挑戦だ。ウクライナ市民の惨状は、プーチンの歴史観では当然の帰結という認識なのだろう。
軍事同盟の視点で欧州を見渡せば、旧ソ連側のワルシャワ条約機構は1991年に解体したが、欧米側のNATOは残ったまま。ベルリンの壁が崩壊し、90年に当時のベーカー米国務長官は「NATOの東方拡大はしない」と旧ソ連に明確な保証を与えたが、約束は反故。ポーランドやハンガリーなどが次々にNATOに加盟した。
以降も米国主導で旧ソ連を構成したバルト3国さえ引き入れ、NATOは東方に拡大。その上、隣国のウクライナまでNATOに加われば、プーチンにとっては喉元に匕首を突きつけられたようなものだ。
「ソ連崩壊は20世紀最大の地政学的惨事」と訴え、旧ソ連の影響圏を復活させる野望を抱くプーチンにすれば、これ以上の欧米側の裏切り行為は許せなかったはずだ。
深刻なリーダー不在で欧米は及び腰
東欧はあらゆる民族、文化、言語、宗教が入り交じり、各国の利権が複雑に絡み合う土地だ。
第1次世界大戦はサラエボ事件、第2次大戦は独ソのポーランド侵攻で開始。戦後も鉄のカーテン、ベルリン危機、プラハの春、ユーゴ内戦、クリミア併合──。そして今回のウクライナ侵攻と紛争の連続で「古典地政学」の祖、英国のハルフォード・マッキンダーが20世紀初頭に「東欧を制する者は世界を制する」という教訓を残したゆえんである。
62年のキューバ危機の際、米国は核戦争覚悟で旧ソ連にミサイルの撤去を迫った。プーチンも同じ覚悟を持って、ウクライナのNATO非加盟を要求しているに違いない。欧米側が「東欧を制し、世界を制する」ことを絶対に認めるわけにはいかないためだ。
だから、ウクライナからの撤退はあり得ず、「核・生物化学兵器開発」をデッチ上げてでも、全面侵攻を辞さない構えだ。くしくも03年に米国が始めたイラク戦争の「大量破壊兵器の保有・隠蔽」と酷似した“大義名分”を掲げ、プーチンは戦禍を拡大しようとしているのだ。歴史とは皮肉なものである。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言った。
「泥沼化したイラク戦争の大失敗で、米国は自ら『世界の警察』の座から失脚し、プーチン氏を増長させたと言えます。当時も開戦に突き進むブッシュ・ジュニア大統領の暴走を世界の首脳は止められませんでしたが、今の欧米のリーダーは当時以上に弱体化しています。権力を抑制する民主主義国の宿命とはいえ、20年以上もトップに君臨するプーチン氏に対抗できる首脳が欧米にはいません。吠えるだけで弱腰のバイデン大統領は米国の衰退を象徴するかのようで、欧州もドイツのメルケル首相の退任後は強いリーダーは不在。ロシア軍がウクライナの原発を砲撃し、欧州に“核の灰”が降りかねない危険性が生じても、NATOはウクライナ上空に飛行禁止区域を設定することさえ、消極的です。『文民の保護』を定めたジュネーブ条約は第4編で原発を保護対象に規定しており、かつての米国なら条約違反の名目で間違いなくNATO軍を動かしたはず。欧米の及び腰は、ますますプーチン氏をツケ上がらせる結果を招いています」
核兵器の使用をチラつかせ、ウクライナの原発を掌握したプーチンがこの先、何をしでかすかは誰にも分からない。たとえ失脚しても、政敵不在の今、次のトップはプーチンのマトリョーシカだ。ロシアが核保有国である以上、世界の恐怖は延々と続く。
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