http://www.asyura2.com/22/senkyo285/msg/754.html
Tweet |
※2022年3月10日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年3月10日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
「プーチンはいかなる代償も顧みず、殺戮の道を歩み続ける決意を固めたようだ」
ロシア軍のウクライナ侵攻をめぐり、8日、ホワイトハウスでこう演説した米国のバイデン大統領。ウクライナ国旗と同じ青と黄のストライプのネクタイ姿で現れたバイデンは、ウクライナ国民に対して「勇気や愛国心、自由に生きるという反骨精神(を持っている)」と称賛するとともに、引き続きロシア軍に対して徹底抗戦するための支援策として、同国向けに武器供与や人道、経済的支援を行う考えを表明した。
その一方で、バイデンは同日、ロシア産の原油や液化天然ガス(LNG)、石炭などの資源について全面輸入を禁止する大統領令に署名し、即日発効。異例とも言うべき全面輸入禁止は、「SWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除」という対ロシア金融制裁に続く追加措置の一環で、資源大国ロシアのエネルギー産業に圧力を加える狙い。
バイデンは「プーチンに勝利はない」「世界の平和と安定に対するプーチンの攻撃に対抗しなければ、犠牲は明日には一層大きくなる」と自らを鼓舞するかのような言葉を使っていたが、現状、このロシア産資源の輸入禁止措置に効果があるとは思えない。
なぜなら、米国と足並みをそろえる形で禁輸を表明したのはG7(先進7カ国)のうち、英国とカナダのみ。とてもじゃないが、バイデンが胸を張るほど強固な「ロシア包囲網」を構築できたとは言い難いからだ。
原油輸入禁止は米政権の「やっている感」
そもそも、この米・英・カナダの3カ国はロシアとの原油の取引量が少ない。米国が昨年輸入した原油・石油製品に占めるロシア産の割合はわずか約7%。英国も原油消費量の約8%にとどまり、産油国のカナダはロシアから原油をほとんど輸入していない。つまり、プーチンにしてみれば、これらの国が原油の全面輸入禁止を決めようと決めまいと、「ご勝手にどうぞ」程度の受け止めでしかないのではないか。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「米国は原油の輸入国であると同時に世界有数の産油国です。ロシア産の全面輸入禁止で相場が急騰する状況は出てくるものの、あまり影響を受けない。おそらく、米国は対ロシア制裁について『やっている感』を示したいのでしょう。ただ、自国の経済は問題がなくとも、ロシアを刺激するのは間違いない。そういう意味では何のための制裁措置なのかよく分かりません」
その通りだ。バイデンが言うように、欧米が本気でプーチン政権に「代償を払わせる」ため、ロシアに対して致命的な経済ダメージを与える--のであれば、原油の約3割、天然ガスの約4割をロシア産が占めるEU(欧州連合)が全面輸入禁止に踏み切るべきだろう。そうすれば主要な外貨獲得手段を奪われたロシアは大打撃を受け、プーチン政権の崩壊も現実味を帯びてくるかもしれない。
だが、EUにとって、パイプラインで安価に輸入できるロシア産の天然ガスは、生活に欠かせない貴重なエネルギー資源。輸入禁止した場合、備蓄分などで持ちこたえられるのはせいぜい今秋までといわれているから、ロシア軍とウクライナ軍の戦闘が長期化すれば、あっという間にEU域内でエネルギーの供給不足に陥り、それこそ経済が大混乱に陥る可能性が高い。
とりわけ、ドイツはロシア産エネルギーの依存度が高く、ショルツ首相が即日禁輸は「国民生活に打撃が及ぶ」と懸念を示していたのも無理はない。プーチンはそんなEUのエネルギー事情を熟知しているからこそ、欧米が資源でどんなに揺さぶりをかけても、「やれるもんならやってみな」と強気の姿勢を保っていられるのだ。
この戦争の構図は「ウクライナNATO対ロシア」 |
ロシア軍がウクライナに侵攻してから2週間。テレビでは連日、ミサイルや戦闘機でウクライナ各地に無差別攻撃を繰り返すロシア軍や応戦するウクライナ兵士の映像を放送。逃げ惑う一般市民や血まみれで病院に運ばれる負傷者の姿を見ていると、日増しに戦闘が激化している。
米CIA(中央情報局)のバーンズ長官は8日の下院情報特別委の公聴会で、「プーチン氏はいら立ち、怒っている」「今後は民間人に死傷者が出ることに構わず、リスクを承知で攻勢を強化し、ウクライナ軍をすりつぶそうとする可能性が高い」と警告していたが、これが事実であれば、まさに背筋が凍る話だ。
停戦協議は何度やっても平行線。というよりも、協議を重ねるたびに条件を引き上げるプーチンの姿を見ていると、ハナから妥協する気はないとしか見えない。そんな正気を失った「狂ったプーチン」率いるロシア軍の凄まじい殺戮行為は一体、いつまで続くのか。間違いなく言えることは、この戦争を一刻も早く終わらせるためには、欧米が今までのように「口先非難」と「武器供与」しているだけでは限界があるということだ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は「ウクライナ領空をロシアの暗殺者から守れていない人々」などと西側諸国を強く批判していたが、もはや欧米は傍観するのではなく、停戦交渉の仲介や外交的解決に向けて積極的に乗り出すべきだろう。なぜなら、この戦争の構図は「ロシア対ウクライナ」と同時に、「ロシア対NATO(西側諸国)」でもあるからだ。
ウクライナ与党も西側諸国に失望感
軍事力を使って他国の主権を侵した上、好き勝手な要求を突きつけるプーチンの言動は論外とはいえ、そのプーチンが「自国の安全保障を脅かす」として永久放棄を強く求めていたのがウクライナのNATO加盟だ。しかし、この要求を西側諸国が拒否し、それが今回の戦争の引き金の一つになった面は否めない。
もちろん、だからといって、今回のプーチンの非人道的な残虐行為が許されるはずもないのは言うまでもない。だが、2014年に実力行使に出たクリミア併合の動きを見ても分かる通り、西側諸国は独裁者と呼ばれるプーチンをヘタに刺激すれば、どんな展開になるのかは容易に想像できたはずだ。つまり、今のような泥沼の事態を招いた責任の一因は西側諸国にもあると言っていい。
戦争前は「NATO加盟はバラ色」のごとくウクライナに秋波を送りながら、いざ戦争が始まったら知らん顔。「加盟国じゃないから派兵しない」「武器をやるから自分で何とかしろ」というのはあんまりではないか。
こうした状況に失望感を抱いたのだろう。ウクライナの与党「国民の奉仕者」は8日、ロシアが求める中立化を受け入れ、「NATOの早期加盟を断念することもあり得る」と表明。西側諸国に対しても「侵攻後もウクライナを支援するのは一部の国だけ」と呆れていたが、理解できる話だろう。
そんな口先ばかりで何もしない欧米に対し、「緊密に連携」などと通り一遍のセリフしか言えないのが日本の岸田首相だ。岸田政権はロシアに対する金融制裁の参加は決めたものの、ロシア産原油などの全面輸入禁止措置については「適切に検討」(松野官房長官)と言うばかり。この先、資源価格高騰による物価高や、緊迫しつつある安全保障環境にどう対応するのかサッパリ分からない。
福田赳夫元首相の秘書を務めた中原義正氏がこう言う。
「酷な見方かもしれないが、欧米にとって現状が続く限り、『ロシアは世界で孤立を深め、自滅していく。何もロシアと事を構えなくとも、勝てる』とみているわけだ。さらに言えば、かつてのドイツ・メルケル首相のように仲介役を担えるほどの大物政治家もいない。欧米が今の戦争に本気で介入する時はウクライナ国内の原発が事故を起こしかねないなど危機的状況が差し迫った時ぐらいだろう。日本はもともと対ロシア、対ウクライナに対して何ら一貫した政策がない上、今も考えていない。情けない話だ」
いずれにしても悲劇が早く終わることを祈るばかりだ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK285掲示板 次へ 前へ
- “プーチン大統領の手足”が裏切りの内部告発? ロシア情報機関員が訴えた衝撃の戦況(日刊ゲンダイ) :国際板リンク 赤かぶ 2022/3/11 12:00:05
(0)
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK285掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。