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(7)なぜ「勝ち組」サラリーマンらが日本維新の会を熱烈支援するのか 最大ゆ党 維新“躍進”のカラクリ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302244
2022/03/09 日刊ゲンダイ
タワマンと文化住宅が隣接する大阪市内の街並みは独特(C)日刊ゲンダイ
「長谷川発言」に喝采を送り、あるいは共感を抱くのは、いったいどのような人々なのか。そこに浮かび上がってくるのは、「貧困と格差に喘ぎ、現状打破を求める若年貧困層」といった「定説」とは対照的な「勝ち組」意識を抱いた中堅サラリーマン層や自営上層の人々の姿である。
彼らは都心のタワーマンションや郊外の戸建て住宅に暮らし、かなり高額な税金、社会保険料、介護保険料、年金などを負担している。しかし、医療、子育て、福祉などの公的サービスの恩恵を受ける機会は必ずしも多くない。
彼らは日頃からジョギング、アスレチックジムなどで体を鍛え、有機野菜や減塩レシピなど健康に留意した食生活を送り、医療機関の世話にならないよう自己管理を怠らない。したがって、飲酒や健康によくない食生活など自堕落な生活の果てに自己責任で病気になった「自業自得の人工透析患者」たちが、もっぱら自分たちの負担している健康保険によって保険診療を受け、実費負担を免れていることに強い不満と敵意、さらには怨嗟や憎悪すら抱いているのだ。
弱者はシロアリ、公務員も加担
だいたい大阪の街の「地べた」にへばりつくように住んでいる「年寄り」「病人」「貧乏人」たちは、税金も、社会保険料も、介護保険料も、年金もほとんど負担していない。もっぱら彼らの負担した税金、保険料、年金をシロアリのように食い潰しつづけている。さらにそれを管理する公務員たちも、高給を取るばかりか、さまざまな無駄遣いや不正を働きながら、労働組合運動まで行って、この食い潰しに加担している。
少子高齢化による医療、福祉への公的負担の激増により国や府の財政危機が進むなか、このままでは日本は滅びかねない。それに引き換え「身を切る改革」や「官から民へ」のスローガンを掲げ、自己責任と市場原理主義にしたがって、閉塞した現在のシステムを打ち壊そうとしてくれている維新は、自分たちの希望を託せる唯一無二の改革勢力にほかならない、といったところだろう。
こうして見てみると、「勝ち組」中堅サラリーマン層が長谷川発言に共感し、こうした人物を候補に担ぐ維新を熱烈に支持する感情も、あながち理解不能ともいえまい。
こうして長谷川発言は、「貧困と格差に喘ぎ、現状打破を求める若年貧困層」などと言われてきた維新支持層についての「定説」が、実体のない都市伝説に過ぎないことを白日の下にさらしてくれているのである。(つづく)
冨田宏治 関西学院大学法学部教授
1959年、名古屋市生まれ。名古屋大法学部卒。名古屋大法学部助手、関西学院大法学部専任講師、助教授を経て99年から現職。専門は日本政治思想史。原水爆禁止世界大会起草委員長も務める。「核兵器禁止条約の意義と課題」など著書多数。「維新政治の本質」を22年3月に上梓。共著に「今よみがえる丸山眞男」「自公の罪 維新の毒」など。
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