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「塩野義」と「ファイザー」…医師はどちらの「コロナ経口薬」を使うか どうする、どうなる「日本の医」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302196
2022/03/08 日刊ゲンダイ
上から、塩野義製薬が開発中の新型コロナウイルスの飲み薬(同社提供)、米ファイザー製の新型コロナウイルス治療薬飲み薬「パクスロビド」(同社提供)
2月25日、塩野義製薬は、コロナ治療薬(S-217622)の承認を厚労省に申請した。同社は、軽症、中等症の感染者69人を対象とした臨床試験で、「速やかにウイルス力価およびウイルスRNA量を減少」させ、「ウイルス力価の陽性患者割合をプラセボ群と比較して約60〜80%減少」させたという。
この薬は、我が国のコロナ対策にどの程度貢献するだろうか。ライバルとなるのは米ファイザー社が開発したパキロビッドパックだ。いずれもウイルス複製に必要な酵素を阻害する3CLプロテアーゼ阻害剤に分類される。
では、現時点で、両者はどのように評価されているのだろうか。
まずは薬効だ。両剤を比較した臨床試験はないため、現時点で参考になるのは基礎的な検討だけだ。残念ながら、S-217622の旗色は悪い。抗ウイルス薬の薬効の指標となるEC50(薬物の最大効果濃度の50%濃度)は、パキロビッドパックは78ナノモルに対し、S-217622は310〜500ナノモルもある。EC50は、数字が低い方が効果が高い。
一方で、臨床医にとって使いやすいのは圧倒的にS-217622だ。最大の長所は、パキロビッドパックと違い、併用禁止の薬剤がないことだ。実は、パキロビッドパックは使いにくい。それは、主成分のニルマトレルビルの濃度を上げるために、リトナビルを併用しているからだ。リトナビルは、ほかの併用薬の濃度も上げてしまうため、厚労省は32種類の薬剤の併用を禁じている。その中には降圧剤などありふれた薬も含まれる。パキロビッドパックを処方するたびに、このような薬剤を休薬しなければならないのだから、面倒だ。
では、臨床医は、どちらを使うのか。私は、現状では、パキロビッドパックに分があるのではないかと考えている。それは、「エビデンス」が多いからだ。例えば、昨年11月、ファイザー社は重症化リスクのある外来患者774人を対象とした第3相臨床試験の結果を発表した。この試験では、パキロビッドパック投与により、入院や死亡のリスクが89%も低下した。「特効薬」と言っていい。
一方で、S-217622の効果で証明されたのは、「速やかにウイルス力価およびウイルスRNA量を減少」させることくらいだ。コロナはウイルス感染による免疫反応が暴走し、重症化する。ウイルス量を減らすだけで、患者の全身状態を改善するとは限らない。このことを臨床試験で検証しなければ、多くの臨床医は、S-217622が有効とは考えない。
世界的メガファーマであるファイザーを相手に臨床開発競争をするのが大変なことは、私も理解している。ただ、塩野義には、S-217622とパキロビッドパックを比較した臨床試験を行い、その有効性を証明してもらいたい。医師、患者は、より有効な薬を待ち望んでいる。
上昌広 医療ガバナンス研究所 理事長
1968年兵庫県生まれ。内科医。東京大学医学部卒。虎の門病院や国立がん研究センター中央病院で臨床研究に従事。2005年から16年まで東京大学医科学研究所で、先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究。16年から現職。
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