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安倍元首相が核共有に続き9条批判の火事場泥棒! 一方でプーチンには「野心でなくロシアの安全確保のために行動」と“犬”発言
https://lite-ra.com/2022/03/post-6168.html
2022.03.07 安倍元首相が核共有に続き9条批判の一方でプーチンの言い分を代弁 リテラ
2016年に訪日したプーチン大統領と安倍首相(当時)(官邸ホームページより)
この男は、まだ「火事場泥棒」発言を続けるつもりらしい。安倍晋三元首相がロシアのウクライナ侵略に乗じて、今度は憲法9条攻撃を行った。
3日、自民党安倍派の会合で、共産党の志位和夫委員長が〈プーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条〉とツイッターに投稿したことをあげつらって、「空想の世界だ」「思考停止」などと批判したのである。
しかも、安倍はこのとき、性懲りも無く、またぞろ非核三原則の見直しや核シェアリングも主張したらしい。
まったく火事場泥棒にも程がある、と言うしかない。そもそも、今回、志位委員長は、右派連中がウクライナ問題にかこつけて9条改憲を煽るなか、憲法9条があれば、日本でプーチンのような好戦的な政治家がトップに座っても(つまり、安倍のような男が再び総理になっても、ということだ)日本はロシアのように他国に侵略する国家にはならない、と極めて真っ当な指摘をしたにすぎない。安倍は、それを無理やり捻じ曲げて解釈して「空想」などと決めつけたのである。
おそらく、安倍は維新の松井一郎代表やその他の極右言論人、ネトウヨと同様、「憲法9条では国を守れないことが、ロシアのウクライナ侵攻ではっきりした」などと言うために、志位委員長の発言を利用したのだろうが、この論理自体が頭の悪い話のすり替えでしかない。
ウクライナに憲法9条のような条文があって、ロシアから侵略されたというなら話はわかるが、当然ながらウクライナには9条はない。軍事についても絶対的な軍事費には差があるが、GDP比で言えば、ロシアが世界10位に対し、ウクライナは世界11位と、おろそかにしていたわけではない。
むしろ、今回の事態ではっきりしたのはむしろ、それなりの軍事力を持っていても、狂った独裁者が率いる国家による侵略を抑止できるわけではないという現実だろう。
また、連中は9条のせいで侵略されっぱなしになるというようなデマをふりまいているが、日本国憲法9条の現行の解釈でも自衛権を認められている。今回のウクライナ侵攻のようながあれば、もちろん侵略に対して、武力で対抗できる。
ようするに、憲法9条とウクライナがロシアから侵略を受けたこととは何の関係もないのだ。それを憲法9条さえなければ、他国から侵略を受けなくなるなどというのは、それこそ「思考停止」で「空想の世界」に浸っているのはおまえらのほうだ、という話だろう。
■非核三原則見直しや、核シェアリングに、安全保障の専門家からも「非現実的」の声
非核三原則見直しや、核シェアリングの主張も同様だ。維新・松井一郎代表の発言を批判した先日の記事でも指摘したが、今回のウクライナ侵略で露呈したのは、核が侵略者によって一方的な恫喝に使われれば抑止力にはならないという「核抑止論の限界」だ。
それを、過去に隣国を侵略した日本が核共有するなど核軍拡を進めれば、それこそ核攻撃を受ける口実を与えることになるだろう。だいたい、欧州の核共有は核拡散防止条約(NPT)発効前からのものであり、日本の核共有は非核三原則だけではなくNPTや原子力基本法に違反する可能性があるのだ。
実際、安倍元首相らがゴリ押しする「核共有」に対しては、軍事戦略や安全保障の専門家からも「非現実的」という批判が飛び出している。
たとえば、アメリカの政策研究機関・ハドソン研究所の研究員である村野将氏は、松井代表の発言を伝えたニュース記事を引用した上で、〈非核三原則が昭和の価値観なら、NATOの核共有は冷戦の価値観。かつては有用だったが、今は軍事的価値がなくなり、核同盟としての政治的象徴だけが残っている。つまるところ、核使用に関するもっと深い協議枠組みが必要なだけであって、核が日本国内の地上施設にある合理性はない(というかむしろ危険)〉〈今更、核持ち込みを認めてもメリットは特にありません〉と投稿。
また、国際政治学者である神保謙・慶應義塾大学総合政策学部教授も〈核共有(シェアリング)を情緒的な半核武装論として議論するのは日本の抑止力を低下させる〉とし、〈核共有論者の根拠は、核共有によって日本が半独自の懲罰的抑止力を持ち、また核の存在によって敵国の攻撃コストを高め、米国による拡大抑止の効果を高める、と想像。ただ核共有の核兵器は米管理下にあり、二重鍵のマスター鍵は常に米国が持つ。日本独自の抑止力という目的は排除して考える必要がある〉と指摘。〈核共有の議論を見据える前に考えるべきは、日米の核拡大抑止の信頼性を十分に高める努力をすることだ〉と警鐘を鳴らした。
さらに、日朝首脳会談を実現させた立役者として知られる田中均・元外務審議官は、〈敵基地攻撃能力や核シェアリングについてそもそも「タブー」など無い。既に議論は行われ、ミサイル防衛システム導入や米国拡大核抑止の強化に繋がってきた。台湾有事可能性やウクライナ危機を前に、本来議論すべきは安保環境を改善する外交の在り方。反中、反韓、反ロ、反北朝鮮だけで良いわけがない〉と投稿している。
だいたい、安倍元首相は世界的な危機に乗じたこんな火事場泥棒的な動きをする暇があったら、過去にプーチンにこびへつらい増長させた責任を感じて、自ら説得に乗り出すべきだろう。
■何度でもいう、安倍元首相は在任中の“プーチンの犬”ぶりの責任をとるべきだ
何度でも言うが、安倍元首相は首相在任中、プーチンに尻尾を振り続ける“プーチンの犬”としか思えないような姿勢を貫いてきた。
それは、北方領土返還のための交渉戦略というレベルではない。ロシアがウクライナのクリミア半島を侵略したあとも、安倍はプーチンの利益になることなら、国際社会の秩序なんて平気で無視。返還交渉が1ミリも進まないどころか、逆に領土の実効支配を強化されても、文句ひとつ言わずプーチンに媚びへつらい、経済支援という名の貢ぎものを続けてきたのである。
典型的なのが、2016年12月のプーチン大統領の訪日だろう。安倍首相の地元・山口県に招待して豪華接待、一気に北方領土交渉進展を目論んだもののプーチン大統領に2時間40分も待たされ、大恥をかかされただけで、何一つ具体的な進展も得ることができなかった。
ところが、安倍首相はなんの見返りもないまま、ロシアとの共同経済活動という名目で約3000億円の投入を約束してしまった。
また、2018年の日露首脳会談でも、安倍首相は「(2島引き渡しを明記した1956年の)日ソ共同宣言が基礎」と強調、「2島は確実に取り戻す、ということだ」としたが、会談翌日に当のプーチン大統領に2島について「宣言で、主権がどちらになるかは記されていない」と、引き渡しを完全否定される始末。さらには、翌年1月におこなわれた日露外相会談後のラブロフ外相の会見でも、2島返還以前に“主権は我々にある”と念押しされた挙げ句、“北方領土と呼ぶな”とまで言われてしまった。
ところが、安倍政権は、このロシアのやりたい放題、言いたい放題にほとんど抗議すらできず、それどころか、それまで毎年、2月7日の「北方領土の日」に政府が新聞各紙に広報広告を打ち〈北方領土は日本固有の領土です〉と宣言していたのに、2019年には「日本固有の領土」の文言を削除するところまで後退させてしまった。
まさに、金だけ貢いでプーチンの言いなり状態。しかし、それでも安倍首相のプーチン愛は冷めず、2019年の9月の日露会談では、冒頭、プーチンに向かって「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」「ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか」などとできの悪いラブレターのようなメッセージを読んで失笑を買う始末だった。
■クリミア併合で欧米が経済制裁に動く中、安倍政権はプーチン系企業支援を画策
しかも、安倍政権は、ロシアのために西側諸国の経済制裁を破るような動きまでやろうとしていた。
ロシアは2014年のウクライナ・クリミア半島侵攻後の時点で、西側諸国から経済制裁受け、経済が悪化。制裁対象となっていたプーチンに近い国営石油会社「ロスネフチ」が経営難に陥っていた。
ところが、なんと、日本政府は西側の経済制裁を破り、年金積立金を使って「ロスネフチ」を支援しようとしていたことが、ロイターのスクープで明らかになったのだ。
ロイターは、プーチンの側近でもあるロスネフチ会長のセチンのメモを入手。2018年11月「独自スクープ! ロシア国営銀行がロスネフチの資金を秘密裏に調達 外国の買い手が難色を示した後に(Exclusive :Russian state bank secretly financed Rosneft sale after foreign buyers balked)」という記事のなかで、「湾岸から日本へ」という見出しをつけて、2016年末ごろの日本側の経緯を以下のように、レポートしている。
〈ロシア政府関係者、ロスネフチに近い関係筋、そしてセチンが証人となった全く別件の裁判で浮上したセチンの会話記録によると、セチンは東に向かい日本の政府関係者と会談を始めた。会談は主に、日本の経済産業相・世耕弘成となされた。
交渉が合意に至った場合、その株式の購入者は、管理対象資産が1.4兆ドル以上をもつGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、または独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)のいずれかになっていた、とこの件に詳しい3人の関係者がロイターに話した。(中略)
結局、取引は破綻した。
日本の経済産業省は質問に応じなかった。ロスネフチは、ロイターの取材に対し、日本との件に関しては、回答しなかった。JOGMECの広報は「回答できない」と言った。GPIFは、「直接関与していないため政府間の問題についてコメントすることはできない」と述べた。〉
そう、日本は一時、安倍元首相の側近である世耕弘成経産相(当時)が乗り出して、政府系ファンドにこの株を買わせようとしていたというのだ。経済制裁の対象となって、経営不振にあえいでいる企業の株を引き受けようとするとは、正気の沙汰とは思えないが、これも安倍首相の強い意向が働いていたといわれ、政権はかなり本気で動いていたようだ。
■安倍政権がプーチン系企業支援に使おうとしていたのは、日本国民の年金積立金だった
もちろん、記事にもあったように、この日本と交渉は最終的には決裂した。しかし、日本側が「制裁対象国の国営企業株を取得するのはまずい」と断ったわけではない。ロイターは決裂の経緯をこう報じている。
〈裁判で再生されたセチンの会話記録によると、日本が第二次世界大戦末期から続くロシアとの領土問題の進展とリンクさせようと要求したことで、交渉は暗礁に乗り上げてしまった。〉
ようするに、日本政府は安倍首相がぶちあげた北方領土の返還交渉を進展させるため、間接的にでも経済制裁に反する可能性のある企業の株を政府系機関に購入させようとしていたのだ。
しかも、信じられないのが、その取得先の政府系機関としてGPIFの名前が真っ先に上がっていたことだ。ロイターの記事にもあるように、GPIFというのは、年金積立金 管理運用独立行政法人のこと。国民が積み立てた年金を資産運用しているのだが、その金額は130〜160兆円にものぼり、「世界最大の機関投資家」ともいわれる。
GPIFは以前は、国民の年金を減らしてしまう危険性を考えて、株式などリスクのある投資をほとんどしていなかったが、第二次安倍政権になって株式への投資を全体の半分にまで増やした。この背景には、世界最大の機関投資家であるGPIFに大量に株を買わせれば、株価が上がり、景気が回復したという印象を与えることができるという安倍政権の計算があったといわれる。
ようするに、国民の大事な年金を世論操作と政権維持に利用してきたというわけだが、安倍政権はそれだけでなく、「北方領土問題進展」で自分たちの得点を稼ぐために、年金の金を使おうとしたのである。
しかも、このロマネスフチの株購入は頓挫したものの、安倍政権は経済支援する気満々だったはずだ。
安倍政権のこうした姿勢がプーチンとロシアを増長させてきた部分もあるのではないか。
だとすれば、安倍はその責任を感じて、ロシアやプーチンを厳しく批判する、もしくは自ら説得役を買って出るのが筋というものだろう。
■侵略後もプーチンの言い分を代弁し、「プーチン説得」を求められても「G7がやる」と他人事の安倍
ところが、安倍元首相は責任を取るどころか、ウクライナ危機後も“プーチンの犬”的な姿勢を続けている。
ロシアが実際にウクライナに侵略した直後こそ、アリバイ的にロシアを批判するようなコメントを出した安倍だったが、実はその直前までは、侵略が確実視されていたのに、プーチンのことをまともに批判しなかったばかりか、むしろ岸田政権に対してロシアの顔色を伺うよう圧力をかけ続けてきたフシさえある。
安倍元首相は、2月8日に岸田首相と会談、ウクライナ情勢や対露外交についてアドバイスしたと報道されたが、実際はこの時、北方領土交渉への影響を持ち出し、ロシアを刺激しないようけん制したのではないかといわれている。
また、岸田首相が2月15日夜、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行うと、安倍は2月17日の安倍派会合ですかさずそのことにふれたうえ、「(岸田首相は)おそらく近いうちにプーチン大統領にも日本の考え方を伝えるだろう」と語った。これは、ウクライナだけでなくロシアにもきちんと対応しろ、と圧力をかける発言だったとしか考えられない。
先日、安倍首相の子分である高市早苗・自民政調会長が、林芳正外相がロシアの経済発展相と日露経済をめぐり協議したことについて、「ロシア側を利することになる」「ロシアの術中に見事に自分からはまっていった」などと攻撃していたが、むしろ、こうした弱腰路線を後押ししたのは、安倍元首相だったのである。
しかも、目を疑ったのは、2月27日の『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ)での発言だ。安倍元首相はこの番組で核シェアリングを持ち出したのだが、実はその一方で、プーチンの代弁者としか思えないような発言を繰り返していた。安倍は首脳会談などで、プーチンがNATOの東方拡大への不満を伝えていたことなどを明らかにしたうえで、こう擁護したのである。
「プーチンとしては(NATOに対する)不信感のなかで、領土的野心ではなく、ロシアの防衛、安全の確保の観点から行動を起こしているのだろう」
一応、「正当化しない」とはエクスキューズしていたが、こんな分析をすること自体、安倍の本音はいまも、プーチンの味方なのである。
ところが、その安倍、「安倍さんに説得してほしいという声が国民から上がっている」とふられると、こう答えたのだ。
「もちろん説得できたら私も説得したいんですが」「まずは今、G7の首脳たちも結束を固め、その上でプーチンに対する説得を行っている。あるいは外交的な要求、要請、交渉を行っていくんだろうと思います」
あれだけ盟友関係を強調していたくせに、完全に他人事の対応。しかも、それでいて、自分の政治的野望である憲法9条改正と核武装にだけは、ウクライナ侵略を利用するのだから始末におえない。まさにこういう人間のことを「亡国の政治家」というのだろう。
はっきり言っておく。憲法9条がこの国に必要なのは、安倍晋三のような政治家がいるからだ。
(編集部)
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