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日本の核武装に言及する安倍元首相と橋下徹 フジテレビ対談の恐ろしさ ラサール石井 東憤西笑
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/302002
2022/03/03 日刊ゲンダイ
安倍元総理(左)と橋下徹氏(C)日刊ゲンダイ
なんともあっけなく戦争が始まった。毎日見せられる映像は悪夢のようであり、始まってから1週間が映画のように進行していく。
2日で陥落すると予想された戦闘は長引いている。予想外にロシア軍が攻めあぐねている。これが単純にロシアが弱くウクライナが強いということなのか。
作家の古谷経衡氏はロシアが前線に旧式装備の新兵たちによる小部隊を突出させているのが不思議だった。それらはウクライナ軍にたやすく撃破された。なぜこんなことをするのか。
しかしプーチン氏が核の使用をチラつかせたのを見て納得した。最初から核で恫喝(どうかつ)する計画で、何千人も死者を出した部隊は捨て駒だったのだ。彼らが負けても旧式武器と弱い兵たちで損害は最小、まことにコスパがいいという、悪魔の計画だったのだ、と古谷氏は見抜く。
救いはロシア国民が次々戦争反対を表明していることだ。市民はデモで何千人も逮捕された。それでも勇気ある芸術家やアスリートたち、大手新聞の著名記者たちも、次々と声をあげている。
戦争反対の声は全世界にあふれ、日本でも渋谷に2000人近い人々が集まった。
しかしその動きに冷や水を浴びせる人々もいる。野村修也氏は「自由と民主主義は、お題目のように唱えていれば守られるといった簡単なものではない」と書き、橋下徹氏は「日本国内で集まってもクソの役にも立たない」と言い放った。
またこの機に乗じて憲法9条問題を持ち出し、有事の時に9条では守れない、と改憲を主張する人々が続出。
要するに「戦争はいけない」と訴えるか、「力には力で対抗する、それが抑止力だ」と言うかの論争だ。それはつまり、国を維持するためにはある程度の犠牲はやむを得ない、それは意味ある死だ。という考えだ。しかしそこには必ず無意味な死が多数含まれる。あえて言う。だからやはりあらゆる戦争はしてはいけないのだ。
そんな中、プーチン氏が核をチラつかせたタイミングと前後して、フジテレビの番組で安倍元総理と橋下徹氏の対談があり、安倍氏の口から「核シェアリング」という言葉を聞いて倒れそうになった。カーシェアリングのように軽やかな響きで恐ろしい会話がなされていた。橋下氏に至っては「核武装について次の参院選の争点にするべきだ」と耳を疑うことを言う。
こんなの対談でもなんでもない。一つの主張を2人のセリフに書き分けて台本通りにしゃべっているだけ、たちの悪い2人芝居だ。
そして安倍氏が言えば問題になるような過激な発言は橋下氏に言わせる。要するにこれが維新の役割なのだ。日曜の朝に悪魔の会話を聞かされた。
もし日本が戦争に駆り立てられたら、我々はロシア市民のように投獄覚悟で反対できるだろうか。少なくとも何もせずにずるく賢く生きることだけはしたくない。
ラサール石井 タレント
1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属。
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