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死者最多の大阪・吉村知事が「高齢者の生活圏がー」論の根拠を会見で追及され逆ギレ なら何も言わないと会見拒否ちらつかせ
https://lite-ra.com/2022/02/post-6165.html
2022.02.27 死者最多の大阪・吉村知事が会見で追及され小学生レベルの逆ギレ リテラ
大阪府HPより
再び増加傾向に転じる可能性が指摘されるなど、まったく収束の見込みが立っていない新型コロナ第6波。とりわけ、全国トップの死亡者を出している大阪府は、22日に過去最多となる63人の死亡者数となり、昨日26日も49人と最悪の状況がつづいている。
だが、そんななかで最高責任者である吉村洋文知事は、記者から受けたごく真っ当な指摘にキレまくり、「会見拒否」さえ口にしはじめたのだ。
問題が起こったのは、22日におこなわれた囲み会見でのこと。この場で、在阪メディアのなかでは唯一と言ってもいいほど吉村府政の検証をおこなってきた毎日新聞の記者が、吉村知事のある発言を取り上げた。
その発言とは、吉村知事が生出演した読売テレビのバラエティ番組『あさパラS』(19日放送)でのもの。本サイトでも紹介したように(https://lite-ra.com/2022/02/post-6163.html)、この番組で吉村知事は責任逃れの発言を何度も繰り広げたのだが、そのなかで、東京都を上回る死亡者が大阪府で出ている問題について、吉村知事は「明確にこれが理由だというのは専門家すらもわからないというのが現実」などと言いつつ、こんな話をはじめた。
「ただ、われわれ現場で見てると、じゃあどういう状況が起きているかっていうと、やっぱり明らかに高齢者の方が重症化しお亡くなりになってる。高齢者と若い世代の生活圏が非常に近いんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいます。職場もそうだし、生活もそうだし、もともと大阪は狭いところに高齢者の施設もたくさんあるし」
大阪で死亡者が多いのは、感染を抑え込む施策を打たなかったことによって人口比で東京を上回る新規感染者を出してきたことや、保健所機能を抜本的に強化しなかったことによってまたもパンクし不全状態に陥っていることなどが指摘されている。つまり、吉村知事の失策がこれほどの死亡者を出す原因になっているのだ。にもかかわらず、吉村知事はさんざん「大阪は高齢化率が高い」だの「3世代同居率が高い」だのと主張し、これらが否定されると、今度は根拠を示すこともなく「高齢者と若い世代の生活圏が非常に近いんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいます」と言い出したのである。
ようするに吉村知事は、自身の責任逃れのために、公共の電波を使って、またも根拠もなく詭弁を弄したわけだが、22日の囲み会見では、毎日新聞の記者がこの発言を取り上げ、「どなたが発言されているんでしょうか?」と質問。すると、吉村知事は「これは僕自身がそういった考え方もあるということで発言しているということ」などとごまかしはじめたのだ。
こうしたごまかしは日常茶飯事ではあるが、しかし、毎日新聞の記者は「専門家からそういうひとつの仮説みたいなのを指摘されたわけではない?」「どなたですか?」と更問い。対して吉村知事は「……ちょっとそこは確認します」と逃げたのだ。
だが、それでも毎日新聞の記者が「大阪府の対策本部会議の委員の方とかですか?」と食い下がると、吉村知事はこんなことを言い出したのだ。
「基本的には僕自身の考え方です。さまざまな人からの意見を聞くなかで、専門家の意見としてもなかなか正確な、これだという理由が明確に判明しているのは現時点ではない。さまざまな意見の方がいらっしゃいます。たとえば現場で出られている方、まあ報道なんかも出てますけども、高齢者施設が非常に都心部にあって非常に生活圏が近いんじゃないかとおっしゃられる方もいらっしゃいます。そんな情報がいろいろ入ってきますので、そのー、専門家会議の意見かどうかっていうのは僕も定かでないですけども、そういった意見をさまざまなところから集約するなかで、僕自身として、そういう可能性があるのではないかと申し上げています。ただ、これが確実なもんだというと、そういうものではないですよっていうのは、これはつねにお伝えをしているとおりです」
まったくいい加減にもほどがある。前述したように、吉村知事は番組内で「理由は専門家すらもわからない」と言いながらも、「高齢者と若い世代の生活圏が非常に近いんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいます」と明確に発言した。当然、視聴者は「専門家のような偉い人がこういう指摘をしているのだな」と受け止めるのが自然だが、これを吉村知事は「僕自身の考えとして話した」「確実なものではないと伝えている」などと言い張ったのだ。
■吉村知事の発言に担当部局が「わからない」「公式見解でない」と返答するのが“吉村あるある”
しかも、この吉村知事の詭弁に対し、毎日新聞の記者は粘り強く質問を繰り返したのだが、それでも「僕自身の考えだ」と主張しつづけた。
毎日記者「(確実なものではないと伝えていることは)そこは承知しています。いま確認したいのは……」
吉村知事「(質問を遮り)単独の考えという意味ではなくて、さまざまな声が上がってくるなかで僕自身はそういう可能性があるんではないかということをお伝えしているだけで、それが確証あるもんではないというのは何度も伝えているとおりです」
毎日記者「基本的には知事のお考えということを、たとえばテレビ番組やこういう公的な場で、専門家に聞いたかどうかわからないけれども『高齢者と若者の距離が大阪は近いんじゃないかという見方もある』というふうに、ご自身の意見としてではなく、何か別の方の第三者の指摘として紹介されるというのは情報発信の仕方として正しいんでしょうか?」
吉村知事「いえ、僕自身の意見として伝えています」
毎日新聞記者「いえ、そういうふうにおっしゃってないじゃないですか」
吉村知事「いや、僕自身の意見として伝えています」
言っておくが、既報でも書いたように、番組内で吉村知事が「高齢者と若い世代の生活圏が非常に近いんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいます」と発言したことを受けて、番組MCのハイヒール・リンゴは「結構、大阪市内でも(高齢者施設が)ありますもんね」「おじいちゃん、おばあちゃんが近くに住んでるっていう人も多いし、まあ東京の場合はちょっと働きに出てって、田舎があってという方が多いかもしれないので、この辺の違いが出てきてるんじゃないかということですよね」などと言い出し、大阪の死亡者が多い理由は「高齢者と若い世代の生活圏が非常に近い」からだという空気がすっかりできあがったのだ。にもかかわらず、吉村知事はその発言の根拠を問われても答えられず、挙げ句、「僕自身の意見だ」と言ってごまかそうとするとは……。これでは、「僕自身の意見」として何でもでっち上げられるようになってしまうではないか。
だが、吉村知事のごまかしはこれだけでは終わらなかった。
というのも、毎日新聞の記者はさらに食い下がり、「誤解を招く発言だったし、知事ご自身の意見としては語られていなかった」と指摘。こうつづけた。
「(吉村知事が)そういった発言をされるので、(記者は)部局も含めて問い合わせはするんですけれども、担当部局も知事がおっしゃっている指摘・考え方というのは、どういったことを根拠にされているのかというのは『わからない』という回答をされています」
「われわれ府庁にいる記者からするとですね、担当部局に質問をして、知事の考え方・発言というのが『何を念頭に置いているのかわからない』という返答が返ってくるとか、『公式見解ではない』という回答がくるっていうのは“あるある”の光景ではあるんですけれども、やはり組織のトップとして発言されているので、そこは通常は組織の考え方、知事の考え方っていうのは府の考え方だというふうに認識されるものだと思うんですけど、そういう府庁内のコミュニケーションをもう少し丁寧にされるべきじゃないでしょうか」
つまり、吉村知事の発言は担当部局ともまったくコンセンサスがとれておらず、裏付けを取ろうとしても、府庁の職員が「何を念頭に置いているのかわからない」「公式見解ではない」と返答するのが「あるある」だと毎日新聞の記者は指摘したのだ。
■毎日新聞記者の追及に逆ギレし「発信できなくなる」と小学生レベルのイチャモンつける吉村知事
コロナという府民の生命にかかわる、とくに注意を要する問題においても、根拠はおろかコンセンサスさえとられていない話をテレビや会見でペラペラと喋る──。世紀のバカ発表となった「イソジン会見」が象徴的だったが、ようするに吉村知事は、自分の人気取りや責任回避のために無責任な放言を繰り返している、というわけだ。
しかし、この毎日新聞の記者の指摘を受けても、吉村知事は「『確かなものは専門家でもわかりません』というのを念頭に置いた上で、『知事としてどう考えられますか?』と言うのであれば、僕は知事としての発信をします」と宣言。さらに質問を重ねようとする記者の声をまたも遮り、キレ気味にこう口にしたのだ。
「誰かの意見が全部まとまらないと知事としての発信ができないということであれば、まったく発信できないことになりますから。さまざまな意見があるなかで知事としてはこう考えるという発信はしていく。ただ、今回もそれが本当に専門家として、これが確かだという意見もないなかで、僕自身はそう考えるということは、知事の考えとして発信することは、これからもあります。じゃないと発信できなくなりますから」
たんに府庁職員とコンセンサスをとり、何かを発信する際は根拠を示した上で「これは専門家の意見」「これは知事としての意見」として語ればいいだけの話なのに、自身の混乱を招く発信を正そうともせず、「発信できなくなる」と逆ギレする。しかも、つづけて「府の意見とは切り離して発信されるということか」と質問されると、吉村知事は「それは切り離してはいない。知事としての発信なので大阪府としての発信としてとらえていただいていい」などと言い放ったのだ。
あらためて、吉村知事の騙しの手口の悪辣さ、ごまかしの下劣さ、そして居丈高に開き直る態度には辟易とするが、しかし、このあとさらに吉村知事は、その下劣さを剥き出しにしたのである。
というのも、毎日新聞の記者の質問のあと、他社の記者が5〜11歳のワクチン接種が始まることについて知事の考えを問うたのだが、すると、吉村知事はこんなことを言い出したのだ。
「これはだから僕の考え方はいまあるんですけど、いま言ったら、『正式な見解ですか?』ってまた言われません? だからもうやめときます」
「いや、僕の考え方として言っていいですか? これ、正式見解じゃないですよって医療部に言われるかもしれないですけど、言っていいですか?」
「(毎日新聞の記者に向かって)っていうか、こういうことなんですよ、毎日新聞さん。言わないほうがいいですか? 僕、5〜11歳(へのワクチン接種)の考え方ってあるんですよ。言わないほうがいいですか?」
当然の指摘をおこなっただけの毎日新聞の記者をあてこするために、別の記者の質問に対して「言ったら『正式な見解か』と言われるから、もうやめる」と言い出す──。しかも、「言わないほうがいいですか?」と尋ねられた毎日新聞の記者が「部局とそれがやっぱり一致しないのであれば、正確にそこは……」と答えると、吉村記者はすばやくワクチン接種の質問をした記者のほうを向き、「部局にじゃあ聞いてください」と述べたのだ。まるで陰湿な学校のいじめを見ているようではないか。
■陰湿な記者攻撃にも「知事の考えを聞きたい」と尻尾をふる他社の記者たち
しかも、情けないのは他社の記者たちだ。このあと、ワクチン接種について質問した記者は「できれば知事のお考えと、メリット・デメリット、どういうふうに進めたらいいのか(を聞きたい)」と述べたのだが、ここでも吉村知事は「記者クラブで毎日新聞と調整してもらえますか? 僕、発信できなくなる。そう言われると」と発言。すると、また別の記者が「知事の考えは聞きたいです」と言い出したのだ。
挙げ句、そのあとも吉村知事のあてこすりはつづき、「部局が『公式見解と違います』って言われたら、僕は違ったことを言ってることになるんですかね?」などと毎日新聞の記者にネチネチと絡み、それでも毎日新聞の記者が「そこを明確にわかるようにおっしゃっていただければ」と毅然と答えると、吉村知事は「何でそこまで指導されないといけないのかわかりません」と半笑いで切り捨て、こう言った。
「知事としての考え方を言うときに、部局がまだ組織として形成されていない意見でも、知事としてこう考えるというのは当然あり得る話で、毎日新聞のやり方でいったらもう、この知事会見、いらなくなると思う。うん」
自分がテレビで広めた「高齢者と若い世代の生活圏が非常に近いんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいます」という発言について、根拠も示さずただごまかすだけで、挙げ句の果てには「(質問に答えるのは)やめる」「知事会見はいらなくなる」と言い、自分の正当化のために記者を孤立・分断しようと追い込む──。卑劣としか言いようがないだろう。
そして、この吉村知事のやり口は橋下徹とそっくりだ。実際、『誰が「橋下徹」をつくったか─大阪都構想とメディアの迷走』(140B)の著者である松本創氏は、こう指摘している。
〈この問答見て思い出した。2013年、橋下市長の「従軍慰安婦」発言。新聞報道に責任転嫁する橋下氏に、記者が言葉や表現の不用意さを指摘したところ、「じゃあ囲み全部やめましょうか」と激昂。「一言一句全部チェックしろと言うんだったらやめます」と打ち切りを宣言した。対応の仕方が似ている。〉
〈まあ結局、囲み取材が取りやめになることはなく、週明けの月曜日からまた普通に行われたんだけど。なんで理不尽にも報道のせいにされたことに抗議もせず、またいそいそと彼の「お言葉」を拝聴しに行くかね…と強烈な違和感を覚えたのが、だれはし取材の原点。〉
テレビでの無根拠かつ無責任な発言を見逃さず、怯まず追及をおこなった毎日新聞の記者は、当然ながらジャーナリストの責務を果たしたと言える。一方、責務を果たそうとする記者に加勢するどころか、吉村知事の放言を看過し、「知事の考えは聞きたいです」などと尻尾を振る記者たちの姿の情けなさ、醜さはどうだ。あらためて、大阪の悲惨な現状の背景には、吉村知事の共犯者たる在阪メディアの罪があると言わざるを得ないだろう。
(編集部)
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