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燃料費上昇の負担軽減を急げ 運送業者や中小企業の経営圧迫 トリガー条項発動が現実的(長周新聞)
http://www.asyura2.com/22/senkyo285/msg/599.html
投稿者 赤かぶ 日時 2022 年 2 月 23 日 18:40:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

燃料費上昇の負担軽減を急げ 運送業者や中小企業の経営圧迫 トリガー条項発動が現実的
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/22771
2022年2月17日 長周新聞

 政府は1月27日、レギュラーガソリンの小売価格の全国平均が一g当り170円をこえたことを受け、価格を抑えるため石油元売り会社に補助金を出す異例の対策を初めて発動した。しかし、末端の価格上昇は抑えられず、資源エネルギー庁の2月7日調査で店頭現金価格(給油所)はガソリン171・2円、軽油151円と上昇を続け、生活や各産業に深刻な影響を与えている。なかでも燃料が経費の大半を占める物流業界は、コロナ禍で経済が停滞しているところに経費が膨張し、経営の大きな負担となっている。凍結中のトリガー条項を発動させて減税すること、もしくは上昇分を事業者に補填することなど、早期に有効な対策を求める声が上がっている。



 レギュラーガソリンで見ると、給油所の店頭現金価格は昨年1月初め136・1円だったが、2月初旬に140円台、3月に150円台となり、10月に160円台に突入した。今年に入り1月24日の調査で170円台に乗り、その後も上昇が続いている。冬場に欠かせない灯油も一缶(18g)の全国平均価格(給油所)が2月7日に2000円をこえた。昨年同時期には1500円程度だから、約500円の値上がりだ。

 下関市内では、スーパーなどに止めてある車からガソリンが盗まれる事件が増えていることが話題になったり、銭湯やクリーニング店など簡単に値上げできない事業者の経営圧迫など、コロナ禍で事業収入の減少、所得減少が続いてきた国民生活への影響は深刻さを増している。

 トラック業界が使用する軽油も昨年初めは116・6円だったのが、今年2月7日時点では151円まで上がった。2000年代初めは80円台だったのと比べると2倍近い値上がりだ。業界関係者の一人は、「今回高騰し始める前までは比較的安い価格で推移していたので、事業者は一息ついていたところだった。新型コロナの影響でメーカーが減産するなど経済が停滞し、仕事量が減っているところに燃料代が急騰しており、厳しい状況だ」と話した。

 運送事業者はおおむね、@自社でタンクを保有する(インタンク)、Aガソリンスタンドと契約する、という二つの方式で軽油を確保しているという。インタンクの場合の価格はスタンドより安い。スタンドと契約する場合も大量契約で若干の値引きがあり、一般市民の購入価格よりは安いが、船舶などに適用される軽油引取税の免税はないため「どちらかというと店頭価格に近い水準」の価格になるという。

 もっとも燃費が悪いトレーラーは1gの走行距離はわずか2`。冷凍車も同じくらいだという。ある事業者は、「下関から東京までの約1000`を往復すると、1g4`走るとしても片道250g、往復で500gが必要だ。軽油価格が1円上がると500円、10回行けば5000円、トラックが10台いれば5万円の負担増と、経費はたちまち膨れ上がっていく」と話す。

 全日本トラック協会は1月なかばより「燃料価格が1円上がるとトラック業界全体で約150億円負担が増えます!」と、荷主企業に協力を訴えるキャンペーンを開催している。

 事業者によると、軽油の価格は木曜日〜翌週水曜日の一週間が同じ価格で、翌週の価格が水曜日に発表される。このたびの元売りに対する政府の補助金は、
@1月27日(木)〜の週…3・4円/g
A2月3日(木)〜の週…3・7円/g
B2月10日(木)〜の週…5・0円/g
 で出された。しかし、「政府の補助金額以上の値上げになると売値は上がる。4円上がるところが1円に抑えられるという形にはなったが、その『4円の値上げ』が適正なのかどうかはだれにもわからない。事業者にとって値上げに変わりはなく、負担感はすごい」と語られている。

 長距離輸送を手がける事業者は、「昨年11、12月は少し荷が動いたので、その支払いが入る2、3月ごろまでは資金繰りも可能だろうが、年明けから再び荷が動かない状況が続いている。1、2月分の支払い分が入る4、5月ごろから倒れる事業者が出てくるのではないか」と話す。「車両を多く保有し、1カ月に使用する燃料が多い事業者は、交渉で若干安い価格で燃料を買っているが、車両台数の少ない事業者はスケールメリットもないため、高い金額で燃料を購入しているケースも多い。そうしたところがとくに厳しい」という。

 現在、国内物流の92%をトラックが担っている。新型コロナの初期、近づくことが恐れられた感染爆発地に必要な物資を届けたり、東日本大震災のさい、被災地に全国から救援物資などを届けることができたのも、トラック運転手たちが輸送を担ったからだ。その事業者の九割が保有台数10台未満の中小企業といわれる。「もともと大手でさえ運賃100円で利益は2円という利益の薄い業界」であり、燃料高騰はダイレクトに経営を圧迫する。

 近距離輸送を手がける事業者は、「高騰しているのは燃料だけではない。昨年末ごろから尿素水も不足し始め、こちらも高騰している。2月に落ち着くといわれていたが、まだ価格は下がっていない」と話す。大型トラックやバスなどに使われているディーゼルエンジンの排出ガス規制がおこなわれるなか、現在は国内の自動車メーカーのほとんどが、尿素水で排出ガスを浄化するシステムを搭載したトラックに切り替えており、燃料と同じく尿素水が切れるとエンジンがかからない。中国産尿素水の輸入中止や、国内生産第1位の三井化学が定期点検のため工場の稼働を止めたこと、その噂にともなう買い占めなどもあったといわれ、今年に入り2倍近い価格になったうえ、販売規制も実施されたという。石油価格の上昇とかかわってタイヤ価格も上昇するなど、経費の高騰は燃料にとどまらない。

 トラック事業者が減少すれば、コンビニにもスーパーにも食品が届かず、地方の農産物や水産物も都市部には届かない。もっとも輸送する割合が高いのが、工場から出荷される物を納品先に届けたり、輸入されてきた部品を工場に届けるといった「産業系の物資」だといわれており、この輸送網が途絶えるとどのようなことが起こるかは、コロナ禍のこの2年、さまざまな分野で露呈してきたことだ。

 トラック業界は長年、航空機のように燃料が高騰した分を運賃に上乗せする「サーチャージ制」の実施を求めてきた。関係者は「トラック業界は他産業に比べて運賃が安いため、トラックドライバーは全産業平均より労働時間が2割長く、賃金は1〜2割低い。若い担い手が集まらず、慢性的な人手不足状態にある。その一番の要因はトラック業界の社会的地位が低いことにある」と話す。近年、商品値上げの理由に「輸送コストの上昇」をあげるメーカーも出ているものの、「運賃を値上げしてもらえたという実感はない」とほとんどのトラック事業者はいう。

 コロナ禍で宅配需要が高まり、宅配業界で料金改定(値上げ)をおこなえているのは、全国ネットを持つ一割の大企業だ。「九割の中小トラック事業者は製造メーカーなどから受注して荷物を運んでおり、こちらの運賃は改善できていない」という。

減税が最も現実的な対策



 原油価格が高騰しているとはいえ、日本の場合それに何種類もの税金が上乗せされている問題がある【図参照】。例えば1月31日のレギュラーガソリン価格170・9円(1g)で考えると、ガソリン価格は98・8円。本来の道路整備財源としてのガソリン税28・7円に、「特例税率」分の25・1円が上乗せされて155・4円になる。それに石油石炭税が2・8円、さらに、これら税金も含んだ額に消費税10%(15・5円)がかかって170・9円にまでなる。支払っているガソリン代の約4割は税金だ。

 軽油引取税も本来1g当り15円だが、特例税率として17・1円上乗せされて32・1円になっている。この税金は「道路整備のための財源」というのが建前ということもあり、漁業者や船舶の場合は手続きすれば免税軽油を使用することができる。トラック業界にはこうした免税措置は適用されていない。

 事業者の一人は「せめて事業者向けに、軽油引取税の上乗せ分を免税するだけで負担はまったく変わってくる。国会議員が文通費を1カ月に100万円もらえることを考えると、国がその気になれば、物流を支えている事業者にその程度の免税をするのは簡単なのではないか」と指摘した。

 すでに燃料高騰時の減税の仕組みとして、民主党政府時代につくられた「トリガー条項」が存在している。指標となるガソリン価格の平均が連続3カ月にわたり160円/gをこえた場合、ガソリン税や軽油引取税の上乗せ分の課税措置を停止する制度だ。2010年4月に導入されたが、翌年、「東日本大震災の復興財源確保のため」として凍結されている。これを解凍して軽油引取税の上乗せ分を減税すれば一気に一g17・1円の値下げになるので、もっとも手早い方法ともいえる。

 「運賃が低い」というトラック業界が抱える構造的な問題の解決は必須であり、昨年国が運賃の料金表を公表するなど、一定の動きはなされているものの、現時点では解決に至っていない。そのなかで、中小零細のトラック事業者たちは、時間外労働の上限規制960時間への対応、月60時間をこえるドライバーに対する割増賃金率50%への引き上げの対応など、「働き方改革」にともなう経費の上昇という問題にも直面している。運賃引き上げへの対策と同時に、急騰する燃料費への対応がなされなければ、日本の物流が支え切れなくなる危機的状況となっている。

 石油元売りに対する補助金は現場の事業者を支える対策となりえておらず、減税もしくは燃料高騰分を直接トラック事業者に補填するといった実効性のある対応が求められている。
 

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コメント
1. 赤かぶ[165698] kNSCqYLU 2022年2月23日 18:40:26 : IrhQbsPtA1 : My43WnR3V2FGemc=[4305] 報告

2. 赤かぶ[165699] kNSCqYLU 2022年2月23日 18:40:47 : IrhQbsPtA1 : My43WnR3V2FGemc=[4306] 報告

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